個人の備忘として、2025年のヨーロッパ鉄道に関する年鑑を参照し、各国の現状の動きをまとめております。

 

今回は、スペインの車両、インフラ動向について、資料をもとに整理してみました。

 

なお、本記事の情報収集・翻訳・整理にはAIツールを活用していますが、内容の確認および最終的な構成・解釈については筆者自身が行っています。

 

 

 

3. 車両動向

3-1 RENFE Operadora

106系AVRIL

RENFE Operadoraでは、Talgo製106系AVRILの投入が進んだ。RENFEが発注した106系は30編成で、2024年末までにスペイン国内で使用できる編成については納入が完了している。

国内向けでは、1435mm標準軌専用のAVLO用106-001〜005、1435mm・1668mmの軌間可変に対応するAVLO用106-051〜055、同じく軌間可変のAVE用106-056〜065が用意される。AVLO用は581席、AVE用は521席を備え、いずれもASFAおよびETCS Level 2に対応する。

 

FDV, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons

 

一方、106-006〜015はフランスでの使用を想定したAVE用編成で、1435mm標準軌専用、KVBおよびTVM 430に対応し、521席を備える。これらはフランスでの認可が完了するまでRENFEが正式に受領しない方針とされ、2024年9月には106.009編成が約2年間にわたるフランスでの認可試験を終えてスペインへ戻った。

2025年は運用面でトラブルも相次いだ。1月1日には車両ソフトウェアが新年への切り替わりを認識できず、各システムを立ち上げるためのバッテリーから電圧が供給されない状態となり、106系が使用不能となった。翌朝までに不具合は解消されたものの、当日は運休や他形式による代走が発生し、RENFEの高速列車用予備車が不足していたことから、一部では地域輸送用車両も代替に使用された。

 

さらに7月21日、マドリード(Madrid)〜バルセロナ(Barcelona)間のAVLOに使用されていた106系について、動力車の台車枠に微細な亀裂が確認された。RENFEは同区間で使用していたAVLO用5編成を運用から外し、残る106系15編成についても最高速度を300km/hから250km/hへ引き下げた。

 

全編成を検査した結果、ほかに同様の亀裂は確認されなかった。原文では、同区間でOuigo Españaの108系Euro-DuplexやIryoの109系にも乗り心地に関する同様の問題がみられることから、106系の不安定な走行については線路状態が原因である可能性も指摘している。

マドリード〜バルセロナ間のAVLOは、その後103系・112系による代走が行われたが、2025年9月8日から無期限で運休となった。

 

※原文と現状とのチェック結果
2025年の台車問題はその後も継続しており、2026年9月には固定軌間の106系で追加の異常痕跡が確認されています。RENFEはTalgoと、固定軌間106系を軌間可変方式へ改造する方針を進めています。2025年時点の記述そのものに大きな齟齬はありませんが、その後は固定軌間車の台車設計を含めた対策へ発展しています。

 

 

107系AVRIL

106系に続き、RENFEでは107系AVRILの導入も進めている。

107系は、旧Talgo Trenhotelの客車編成を改装して座席車化し、106系AVRILと同系統の新造動力車を組み合わせる方式で構成される。RENFEは13編成を組成するため、26両の新造動力車を発注した。

原文では、2026年中に13編成の営業投入に必要な認証を取得した後、通常運用へ投入する計画としている。これにより、RENFEが抱える高速列車用車両不足の緩和が期待されている。

 

※原文と現状とのチェック結果
13編成・新造動力車26両という計画はRENFE公式情報と一致しています。一方、原文で想定されていた2026年中の営業投入については、2026年9月時点で営業開始を確認できません。したがって、導入時期は当初計画より遅れている可能性が高いとみられます。

 

452系Coradia Stream

近郊輸送向けでは、Alstom製452系Coradia Streamの導入が進んでいる。

RENFEは2021年に224編成を対象とする枠組み契約を締結し、当初152編成を発注した。さらに2022年に49編成を追加発注したことで、発注済みは合計201編成となった。

452系はマドリード周辺のCercaníasおよびバルセロナ周辺のRodaliesへの投入を想定した大容量電車で、Alstomのサンタ・ペルペトゥア(Santa Perpetua)工場で製造されている。2024年4月に最初の編成が工場を出場し、2025年2月にはアレニス・デ・マール(Arenys del Mar)〜バダロナ(Badalona)間で夜間の認可試験が始まった。

原文では3両編成としていたが、Alstom公式資料では実際の編成は6両編成で、平屋車4両と2階建て車2両から構成される。全長は約100m、定員は900人以上とされる。

 

※原文と現状とのチェック結果
ここは原文とメーカー公式情報に明確な差異がありました。原文の「3両編成」は誤りで、正しくは6両編成です。201編成という発注数は公式情報と一致しています。2026年時点でも導入準備が続いており、マラガ近郊線など具体的な投入先も示されています。

 

 

453系FLIRT

Stadler製453系FLIRTも、RENFEの近郊輸送向け新型車両として導入が進んでいる。

4両編成の453.0が44編成、6両編成の453.5が35編成発注された。4両編成は両端の単層車が電動車で、中間2両が2階建てとなる。6両編成も両端の単層車が電動車で、中間4両が2階建てとなる。

 

Snooze123, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons

 

いずれも1668mm広軌、直流3000V専用で、最高速度は140km/h。2024年6月に最初の編成がStadlerのバレンシア(València)工場を出場した。

Stadlerはまず3編成の試作車を製造して認可手続きを進め、原文では2025年から量産車の納入が始まったとしている。

 

※原文と現状とのチェック結果
79編成という発注数は現在も公式情報と一致しています。2026年には最初の編成の受領と営業投入準備が具体化し、マドリードCercaníasが初期投入先として示されています。原文の「2025年から量産車の納入開始」という表現については、本格的な受領は2026年へずれ込んだとみるのが適切です。

 

 

480系

CAFでは、CercaníasおよびMedia Distancia(中距離列車)向けとして、480系電車79編成を受注している。

 

このうち32編成にはバッテリーパックが搭載される。広軌仕様車は直流3000V・交流25kVに対応し、最高速度160km/hとされる。一方、Media Distancia向け仕様は直流1500V・3000V、交流25kVの3電源に対応し、最高速度は200km/hとなる。

 

原文ではさらに、3両編成24本が136席、5両編成8本が256席を備えるとしている。ただし、ここで示される24本+8本=32本と、冒頭の総発注数79編成との関係については原文中に明確な説明がない。このため、79編成すべての編成内訳とは断定できない。

 

車両はASFAおよびETCS Level 2に対応する。1435mm標準軌用、1668mm広軌用双方の台車を装着できる設計だが、台車交換を行う場合はCAFのベアサイン(Beasain)工場で実施する必要がある。契約には15年間の保守も含まれている。

 

 

 

Talgo VI客車

RENFEは2025年9月から、余剰となったTalgo VI客車3編成をLEO Expressへ貸し出した。RENFEはLEO Expressの株式50%を保有している。

 

貸し出されるのはいずれも13両編成で、かつてバルセロナ〜マラガ、バルセロナ〜セビリア、マドリード〜アルメリア間などで使用されていた。

 

2024年12月以降、Talgo VI客車の定期的な使用は主にマドリード〜アルメリア間に縮小され、このほか週末にバルセロナ〜バレンシア間でも使用されていた。

 

Copyright:Vladimír Fišar, Leo Express

 

3-2 その他の事業者

FGC 312系FLIRT

カタルーニャ公営鉄道FGC(Ferrocarrils de la Generalitat de Catalunya)は2025年9月20日、Stadler製3両編成FLIRTの第1編成となる312.001を公開した。FGCは2023年に4編成を発注しており、原文では2026年4月までに納入される予定としている。車両は1668mm広軌、直流3000V対応で、最高速度は140km/h。

 

リェイダ(Lleida)〜マンレサ(Manresa)〜テラサ(Terrassa)間のRodalies向けに導入されるもので、同区間の運営がRENFEからFGCへ移管された後に使用する計画である。保守はStadlerが15年間担当する。

 

※原文と現状とのチェック結果
4編成の導入と2025年9月の第1編成公開はFGC公式情報と一致しています。一方、営業開始は当初想定されていた2026年夏から遅れ、FGCの2026年計画では2026年末の開始予定となっています。

 

 

FGC空港線用Coradia Stream

FGCでは、バルセロナ(Barcelona)〜バルセロナ・エル・プラット空港(Barcelona El Prat Airport)間の新サービス向けにも新車を導入する。

Alstom製5両編成Coradia Streamを10編成導入し、1編成あたり202席を備える。立席を含めた収容人数は656人で、Alstomが15年間の保守を担当する。

空港の両ターミナルへ15分間隔で運行し、パセジ・ダ・グラシア(Passeig de Gràcia)〜ターミナル1間を約20分で結ぶ計画である。

 

※原文と現状とのチェック結果

10編成、5両編成、定員656人、15年間の保守という基本仕様はAlstom公式情報と一致しています。第1編成は2025年10月に公開され、試験が進められています。一方、営業開始時期は当初計画から遅れ、FGCの2026年計画では2027年の開始予定となっています。

 

 

4. インフラ整備

 

4-1 バルセロナ・ラ・サグレラ駅の整備

バルセロナでは、将来の主要ターミナルとなるバルセロナ・ラ・サグレラ駅(Barcelona La Sagrera)の建設が進んだ。2025年3月23日には、最終的に8線となる1435mm標準軌の高速鉄道用線路のうち、最初の3線が使用を開始した。

 

これにより、マドリード方面から到着し、フランス方面へ向かう高速列車がラ・サグレラを経由できる線路配置が整えられた。駅の再整備は2010年に始まり、当初は2026年の完成が見込まれていたが、原文時点で工事は約80%まで進み、投資額は12億7000万ユーロに達している。完成後はバルセロナ最大規模の鉄道駅となる計画である。

 

2024年工事中の同駅、IM027, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons

 

※原文と現状とのチェック結果
ラ・サグレラ駅の工事は2026年も継続しています。ADIFの2026年ネットワーク資料では、高速線側のインフラ・軌道・架線・通信設備工事が2026年12月まで続く予定とされています。原文時点の「2026年完成見込み」より、少なくとも工事工程は長期化しています。

 

4-2 バリャドリード駅改良とブルゴス〜ビトリア=ガステイス高速線

マドリードからスペイン北部、さらにフランス国境方面へ高速鉄道網を延ばす計画では、バリャドリード(Valladolid)周辺からブルゴス(Burgos)、ビトリア=ガステイス(Vitoria-Gasteiz)方面にかけて複数の整備が進んだ。

 

2025年5月13日には、バリャドリード市街地の東側を迂回する全長17.5kmの貨物列車用新線が開業した。これにより貨物列車は、市街地とバリャドリード・カンポ・グランデ駅(Valladolid-Campo Grande)を通過せずに運転できるようになった。

 

バリャドリード・カンポ・グランデ駅(Valladolid-Campo Grande)についても大規模な改良が計画されている。2025年7月、ADIF Alta Velocidadは総額2億1580万ユーロの工事契約を3社へ発注した。高速列車用として新たに標準軌のホーム2線を整備するとともに、現在の駅舎北側に新しい駅舎を建設する。

 

バリャドリード・カンポ・グランデ駅(2020年当時)

Zarateman, CC0, via Wikimedia Commons

 

さらに北東側では、ブルゴス〜ビトリア=ガステイス高速線の建設が具体化した。2025年2月18日、パンコルボ(Pancorbo)〜アメユゴ(Ameyugo)間8.4kmの工事入札が始まり、7月には3社による企業連合へ約3億9000万ユーロで発注された。

 

同区間の約77%はトンネルまたは高架橋となり、全長約4kmのモンテス・オバレネス・トンネル(Montes Obarenes)も建設される。工事は2025年末に始まり、工期は約4年半を見込む。

 

続く区間についても、ブルゴス〜バジェ・デ・ラス・ナバス(Valle de las Navas)、バジェ・デ・ラス・ナバス〜ピエルニガス(Piérnigas)、ピエルニガス〜パンコルボ、アメユゴ〜マンザノス(Manzanos)、マンザノス〜ラ・プエブラ・デ・アルガンソン(La Puebla de Arganzón)、ラ・プエブラ・デ・アルガンソン〜イルニャ・デ・オカ(Iruña de Oca)の6区間、計96.6kmについて2026年に入札する計画とされた。

 

イルニャ・デ・オカではバスクY高速線(Y Vasca)へ接続する。完成すれば、マドリード〜イルン(Irún)・アンダイエ(Hendaye)方面を高速新線で連続して結ぶルートが形成される。

 

※原文と現状とのチェック結果
ここはその後かなり進展しました。2025年に着工したパンコルボ(Pancorbo)〜アメユゴ(Ameyugo)間に続き、2026年2月にはブルゴス側のバリアンテ・フェロビアリア〜バジェ・デ・ラス・ナバス間と、マンザノス(Manzanos)〜ラ・プエブラ・デ・アルガンソン(La Puebla de Arganzón)間が入札され、さらにピエルニガス(Piérnigas)〜パンコルボ間も入札されました。7月にはブルゴス側16.7kmの工事契約も締結され、ADIF Alta Velocidadは7区間のうち4区間、計54.8kmを「進行中」としています。原文の「2026年に順次入札」という計画が具体化した形です。

 

4-3 エストレマドゥーラ高速線とポルトガル連絡

スペインとポルトガルを結ぶ鉄道では、2030年に両国で開催されるサッカー・ワールドカップを一つの節目として、マドリード〜リスボン間を直通する高速列車の実現に向けた整備が進んでいる。

 

ポルトガル側では、エヴォラ(Évora)〜エルヴァス(Elvas)〜バダホス(Badajoz)を結ぶ南部国際回廊(Corredor Internacional Sul)が建設中で、単線の広軌、交流25kV電化として整備される。RENFEの106系AVRILや130系Alviaが走行可能とされ、バダホス〜リスボン間を約2時間で結ぶことが想定されている。

 

スペイン側では、2022年に開業したバダホス〜プラセンシア(Plasencia)間のエストレマドゥーラ高速線(LAV Extremadura)へ接続する。さらにプラセンシア〜タラユエラ(Talayuela)間約70kmでは高速新線用の路盤が完成し、2025年4月には軌道敷設工事の入札手続きが始まった。ナバルモラル・デ・ラ・マタ(Navalmoral de la Mata)には保守車両の基地も設ける計画である。

 

Plazadelcamino, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons

 

将来的にはトレド付近で、ラ・サグラ(La Sagra)経由の既存高速新線へ接続してマドリードへ至る。スペイン側のエストレマドゥーラ高速線とポルトガル側の南部国際回廊がすべて完成すれば、マドリード〜リスボン間の所要時間は約4時間になるとされる。

 

※原文と現状とのチェック結果
エストレマドゥーラ方面も建設が前進しています。スペイン運輸省は2026年5月時点で、ブルゴス〜ビトリア線と並び、エストレマドゥーラ高速線やトレド(Toledo)〜タラベラ(Talavera)〜タラユエラ(Talayuela)方面の整備が2025〜2026年に進展したとしています。またADIFの資料でも、タラユエラ〜プラセンシア(Plasencia)間は高速線として整備対象に含まれています。原文にある「路盤完成後、軌道敷設へ」という段階から、工事はさらに進んでいるとみてよいです。

 

4-4 地中海回廊

地中海回廊(Corredor Mediterráneo)では、標準軌で連続して走行できる区間の拡大が進んだ。2025年3月には、バルセロナ〜タラゴナ(Tarragona)間のロダ・デ・ベラ・トンネル(Roda de Berà)が再開し、追加レールの敷設によって1435mm標準軌と1668mm広軌の双方に対応した。

 

これにより、標準軌車両がバルセロナからタラゴナまで地中海回廊を通して走行できるようになった。最初の具体的な利用例として、2025年3月中旬にはベルギーのアントワープ(Antwerpen)〜タラゴナ間で、Hupacによる標準軌の国際インターモーダル貨物列車が運行を開始している。

 

ここでいうインターモーダル貨物列車とは、コンテナやトレーラーなどの貨物を、鉄道・トラック・船舶など複数の輸送手段で積み替えながら運ぶ輸送方式のうち、鉄道区間を担当する列車を指す。貨物そのものを積み替えるのではなく、コンテナなどの輸送単位をそのまま載せ替えることで、長距離輸送を効率化する仕組みである。

 

※原文と現状とのチェック結果
地中海回廊では2026年も標準軌化が進んでいます。2026年6〜7月には、タラゴナ県ビラ・セカ(Vila-seca)に新しい軌間変更設備を設置する契約が相次いで発注されました。これは今後、バルセロナ〜タラゴナ〜バレンシア方面の標準軌化が進んだ際にも、R16系統のバルセロナ〜トルトサ(Tortosa)間旅客列車を維持するための設備です。原文では貨物列車の利用例が中心でしたが、その後は旅客列車の運行継続にも直結する整備が具体化しています。

 

4-5 グラナダの軌間変更設備

南部回廊では、2024年12月15日にグラナダ(Granada)郊外で軌間変更設備が使用を開始した。設備は駅から約3km離れたアルメリア(Almería)方面の非電化路線上に設けられている。

 

これにより、標準軌の高速新線と1668mm広軌の在来線をまたいで走行するAlviaによるマドリード〜グラナダ〜アルメリア間の直通運転が可能になった。旅客列車の運行内容については「旅客列車動向」で触れたが、スペイン特有の異なる軌間をまたぐ長距離列車網を拡大するうえで重要な設備となっている。

 

 

4-6 ウエスカ〜カンフラン線の近代化

ウエスカ〜カンフラン間138kmでは、2023年6月から続いていた大規模な近代化工事が終了し、2025年4月30日に路線が再開した。線路更新に加えて、列車の行き違い設備を持つ駅では待避線の有効長が延長され、従来の450mから750m級の貨物列車にも対応できるようになった。建築限界の拡大、ホームのかさ上げ、ETCSの導入も行われている。

 

当初の計画より多くの高架橋を更新する必要が生じたため、工事と運休期間は予定より約1年長引いた。この路線は、将来フランス側のベドゥ(Bedous)〜カンフラン間35kmが復旧した場合、スペイン〜フランス間を結ぶ国際鉄道路線として再び機能することが期待されている。

 

2022年当時のカンフラン駅、Jesús Cruse, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons

 

フランス側区間は1970年の事故以来列車が運行されておらず、最大の構造物が1915年完成、全長7874mのソンポール鉄道トンネル(Tunnel ferroviaire du Somport)である。スペイン政府は2025年7月、鉄道トンネル再開に必要な条件を調査するため280万ユーロを投じると発表した。

 

 

4-7 ガリシア方面の近代化

ガリシア地方では、マドリード方面からルーゴ(Lugo)へ至る鉄道の近代化が続いた。

 

モンフォルテ・デ・レモス(Monforte de Lemos)〜オウレンセ(Ourense)間46kmは、2022年11月から工事のため運休し、2024年11月26日に再開した。約5億5000万ユーロを投じ、トンネルの建築限界拡大や、架線を直流3000Vと交流25kVへ切り替え可能とする設備への改良が行われた。これによってマドリード〜ルーゴ方面の高速列車運行に対応する線路条件が整えられている。

 

オス・ペアレス(Os Peares)〜カナバル(Canaval)間では、道路からアクセスできない区間で路盤の強化や、岩盤を保持するための擁壁工事も必要となった。

 

オス・ペアレス高架橋、Contando Estrelas from Vigo, España / Spain, CC BY-SA 2.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0>, via Wikimedia Commons

 

さらにモンフォルテ・デ・レモス〜ルーゴ間では、オウラル(Oural)付近に全長1900mの新トンネルが建設された。1883年に建設された断面の小さい旧トンネルを代替するもので、2025年9月23日に使用を開始した。同区間については交流25kVによる電化も進められている。

 

一方、高速新線と並行する1668mm広軌のオウレンセ〜サモラ(Zamora)間では、貨物列車に加えてサモラ〜プエブラ・デ・サナブリア(Puebla de Sanabria)間のMedia Distanciaが1往復残されている。大規模構造物であるマルティン・ヒル橋とトルチャス橋の改修が決まり、全線へのGSM-R導入も計画されている。

 

 

4-8 フィゲラス〜ポルトボウなど既存幹線の改良

スペイン北東部のフィゲラス(Figueres)〜ポルトボウ(Portbou)間27.3kmでは、ADIFが2025年4月に架線設備更新を発表した。トンネル区間では従来の架線を剛体架線へ置き換え、2025年4〜10月には週末を中心に運休を伴う工事が行われた。

 

ア・コルーニャ(A Coruña)〜エル・フェロル(El Ferrol)間52kmでは、2025年6月に改良契約が発注された。既存のメーターゲージ線へレール2本を追加し、1668mm広軌の列車にも対応させる計画で、複数軌間への対応を図る特殊な改良となる。

 

 

4-9 グアダラハラ〜サラゴサ線の長期運休

広軌のグアダラハラ(Guadalajara)〜サラゴサ(Zaragoza)間では、線路改良工事のため2025年4月中旬から12月14日まで長期間にわたり運休となった。

 

工事期間中、同区間を利用する旅客列車はバスによる代行輸送となった。関連工事には貨物輸送拡大を目的とした建築限界の改良も含まれるが、旅客列車への影響が長期間に及んだことから、2025年の既存幹線工事の中でも旅行者への影響が大きい案件となった。

 

※原文と現状とのチェック結果
原文では2025年12月14日までの運休としていましたが、工事は2026年にも継続しています。ADIFは2026年7月時点で、マドリード〜サラゴサ在来線のグアダラハラ(Guadalajara)〜プラセンシア・デ・ハロン(Plasencia de Jalón)間について、4月1日から引き続き列車を運休し、道路による代行輸送を実施していると案内しています。したがって、当初想定より工期が長期化したことは明確です。

 

4-10 サンタンデール〜ビルバオ新線構想

スペイン北部では、サンタンデール(Santander)〜ビルバオ(Bilbao)間を標準軌鉄道で結ぶ構想について、2025年7月にADIFが新たな実現可能性調査を行う方針を示した。

 

 

4-11 ベニドルム〜デニア線

バレンシア州のベニドルム(Benidorm)〜デニア(Dénia)間では、長期にわたり進められていた近代化工事が2025年6月までに完了した。これにより全区間で再び旅客列車を運行できるようになり、同区間の通常運行が回復した。

 

 

4-12 ハティバ〜アルコイ線の近代化

ハティバ(Xàtiva)〜アルコイ(Alcoi)間64kmでは、2025年3月24日から近代化工事のため運休となった。総事業費は約1億6000万ユーロで、将来の電化を可能とするため建築限界を拡大するほか、軌道更新やホーム改良を実施する。工事は2026年末まで続く計画とされた。

 

※原文と現状とのチェック結果
工事は予定どおり継続しており、ADIFの2026年ネットワーク資料でも2025年3月〜2026年12月の全線運休として掲載されています。2026年9月時点でも、アルコイ(Alcoi)〜ハティバ(Xàtiva)間は道路代行輸送となっています。原文の「2026年末まで工事」という見通しに、現時点で大きな変更は確認されませんでした。

 

4-13 コスタ・デル・ソル新線構想

コスタ・デル・ソルでは、既存のマラガ(Málaga)〜フエンヒローラ(Fuengirola)間Cercaníasを、マルベーリャ(Marbella)〜エステポナ(Estepona)方面へ延伸する構想が改めて動き始めた。

 

2025年5月には、フエンヒローラ〜マルベーリャ〜エステポナ間約60kmの新線について、実現可能性調査の契約が入札された。マラガ〜フエンヒローラ間の近郊鉄道は1975年に開業したが、マルベーリャ方面への延伸はこれまで実現していない。沿線の大部分が都市化されているため、新線の多くを地下で建設することが想定され、原文では建設費を約38億ユーロとしている。

 

 

4-14 スペイン〜モロッコ海峡トンネル構想

スペイン政府は2025年5月、スペインとモロッコを鉄道トンネルで結ぶ長年の構想について、新たな実現可能性調査を行う方針を示した。計画ではジブラルタル海峡付近に全長約60kmのトンネルを建設することが想定されている。ただし、原文では具体的な着工時期や開業時期には触れられておらず、2025年時点では実現可能性を検討する段階にとどまる。

 

EOF

 

参考資料:Spoorwegen 2026/Richard Latten/Uitgeverij De Alk BV(オランダ語書籍)

現状確認のために確認したサイト

【RENFE】

  • https://grupo.renfe.com/es/es/sala-de-prensa/noticias/2026/09/renfepropone-a-semaf-nuevas-medidas-de-seguimiento
  • https://grupo.renfe.com/es/es/sociedades/viajeros/los-trenes-del-futuro
  • https://grupo.renfe.com/es/es/sala-de-prensa/noticias/2026/04/recta-final-renfe-comience-recibir-nuevos-trenes-cercanias
  • https://grupo.renfe.com/es/es/sala-de-prensa/noticias/2026/04/renfe-licita-construccion-base-mantenimiento-mostoles

 

【Alstom】

  • https://www.alstom.com/solutions/rolling-stock/regional-trains/coradia-max-regional-trains-optimised-modularity-and-capacity
  • https://www.alstom.com/es/alstom-en-espana
  • https://www.alstom.com/sites/alstom.com/files/2025/10/23/20251024_PR_%20Alstom_FCG_first_ten_trains_unveil_ES.pdf

【FGC】

  • https://transparencia.fgc.cat/ca/novetats/noticies/ferrocarrils-de-la-generalitat-presenta-el-primer-dels-quatre-trens-que-donaran-servei-a-la-linia-lleida-terrassa-lestiu-de-202656390
  • https://transparencia.fgc.cat/ca/informacio-publica/plans-i-programes/plans-i-programes-generals-sectorials/plans-i-programes-propis/plans-i-programes-propis-iii/pla-daccio-2026-grup-fgc.pdf/view

 

【ADIF】

  • https://www.adif.es/documents/d/adif/20260331_07_dr_adif_2026_rtc-1
  • https://www.adif.es/w/adjudicacion-instalaciones-seguridad-cambiador-vila-seca
  • https://www.adif.es/w/adjudicacion-construccion-cambiador-ancho-vilaseca-tarragona
  • https://www.adif.es/w/interrupcion-servicio-guadalajara-plasencia-jalon-2

 

【ADIF Alta Velocidad】

  • https://www.adifaltavelocidad.es/w/adif-contrata-segundo-tramo-lav-burgos-vitoria-136-millones