ThomasCook European Timetable 1997年夏号の NEWSLINEの日本語版向けまとめです。

ブログ筆者の研究用のデータベースの公開という位置づけです。ご興味あればご参照ください。

 


 

今月号の新しい記事について

1997年6月1日よりヨーロッパのほぼ全土で夏ダイヤが実される。 このダイヤは、各国の解説で特に注記がない限り、9月27日まで有効。本号より時刻表の構成を大幅に変更し、100から849 までの時刻表の番号がすべてふり直された。時刻表のデザインも変え、これまでスペースの関係で割愛してきた多くの列車ダイヤを載せることができるようになった。また、イギリスとアイルランドの時刻表が国別時刻表の巻頭にくるように、 内容を組み直したことで、理の面からみても合理的な構成になった。

 

スペインの項では、高速新幹線AVEと高速線を運転するタルゴはダイヤ改正が行われず、 現行の時刻表が8月31日まで有効となる。その他の急行列車については、バルセロナ〜バレンシア間で新しく運転するユーロメッドを含め、 基本情報は入手した。 ただ、スペインに関しては、特にローカル列車のダイヤを再確認するようおすすめする。 ポルトガル国鉄は南急行(Sud Expresso)の時刻表に若干変更がある以外、6月はダイヤ改正されない。

 

ポーランドについては、 国際列車のみ改訂することができた。 国内列車のダイヤは英語版7月号で改訂する見込みだ。 また、ハンガリーの情報は校了時に得られなかったため、時刻表はすべて変更される可能性がある。こちらも7月号で改訂する予定だ。

 

スロベニアクロアチアの時刻表は、 国際列車と接続する一部のローカル列車の情報しか入手できなかった。このため、まったく情報を得られなかった時刻表については、ボスニアの全列車も含め、 時刻表が有効でないことを示してある。

 

バルト三国については、エストニア、トピア発着の列車のダイヤは入手したが、 リトアニアは国内の情報しか得られなかった。 ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、モルドバについても一部しか情報が届かなかったため、これらの国々を結ぶ列車の時刻表は、変更される可能性がある。

 

ハンガリースロバキアを通過して西に向かう国際列車も同様だが、ポーランドとルーマニアに向かう列車ダイヤは、 新しい情報に基づいている。

 

ノルウェースウェーデンの夏ダイヤは、例年通り、他のヨーロッパ諸国より数日遅れ、ノルウェーでは6月8日、スウェーデンでは6月9日より実施される。

 

 

各国の1997年夏ダイヤでの動き

国別にダイヤの改正状況をみていくと、今年はイタリア、スイス、 デンマーク、ドイツで大幅な改訂がみられた。イタリアのダイヤ改正で最も重要な事項は、ETR500の車体を使用した新しい高速列車が、 ミラノ〜ローマ間で1時間おきに運転することだろう。この高速列車は、ES、あるいは少しまぎらわしいが「ユーロスター・イタリア」と格づけられている。これまでPの略称で表示されていたペンドリーノ列車もすべてESに格づけられた。

 

イタリアのその他の列車も、長距離列車や夜行列車を含め、時刻が書き替えられ、時刻表番号も変更になった。

 

スイスの改正事項には、ベルン〜チューリッヒ間、フラブルーベルン、チューリッヒ〜ザンクト・ガレン間、ローザンヌ〜ブリーク間といった重要な区間を30分に結ぶ便の導入が含まれる。

 

デンマークで最も大きなニュースは、長く待たれていたGreat Belt fixed link(大ベルト海峡を従来のフェリーではなくトンネルと橋で連絡)がようやく開通したことだろう。このため、 Nyborg-Kars間のフェリーは廃止される。 これはデンマークを列車で旅する人にとって画期的ことで、 コペンハーゲンとフェン島あるいはユトランド半島の町、 たとえばオーデンセ、 オーフス、 オールボー、エスビヤ(エスビャウ)といった町を結ぶ所要時間が1時間短縮されることになった。当面は、インターシティが従来通り1時間おきの運転を続けるものと思われるが、そのうちコペンハーゲン発の地域間列車がオーデンセまで直通運転するようになるだろう。 この冬からは、 インターシティ、 地域間列車ともに30分おきに運転するようになる見込みだ。

 

ドイツで最も重要な改訂事項はケルン〜ベルリン間でICEが運転を開始したことだろう。もっとも、所要時間の短縮という面からみれば、ハノーファー〜ベルリン間を結ぶ高速線の開通を待たなければならない。 この路線は今年中には完成するはずだったが、問題点が多く、 早くとも1998年秋まで待つことになるだろう。電化工事は引き続き行われ、 特にケルン〜ボン間を結ぶ地域では土、日、 12月14日のダイヤが影響を受ける。

 

ドーバー海峡トンネルは、 火災による破損部分の復旧作業が5月中旬に済み、 往路復路ともダイヤが回復している。

 

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