EC178/179列車　１９９３〜２０２０年のユーロシティ【３１】

２０２３年に通年で、１９８７〜１９９３年の間に運転開始されたドイツ・オーストリアを走るユーロシティの歴史を振り返りました。その参考にしたのが、Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegendenというドイツ語本であり、この続編がDie EuroCity-Zuege: Teil 2: 1993 bis 2020　として出版されています。そのため、引き続き私の後学、備忘を兼ねて原文訳を補足しながらまとめていきます。位置づけは前回に続き第２編となります。

 

第２編の３１回目は、EC 178／179列車を取り上げます。

 

（以下本文を参照に日本語訳、一部表現、短縮名称等をブログ筆者で補足）

すでにユーロシティ　カール・マリア・フォン・ウェーバー号での説明通り、この列車は2003年12月14日から列車名なしで運行されるが、列車番号、時刻表ルート、編成は同じである。EC178はプラハ本駅発7:08発、ズィルト島のヴェスターラント着18:33というダイヤで運行、対向のEC179はヴェスターラント発11:26、プラハ本駅着22:33。途中ドレスデン中央駅〜ヴェスターラント間で基本編成（ČD客車７両）に、運行日によって２〜４両のDB客車が増結される。プラハ中央駅〜ヴェスターラント間の途中停車駅は、プラハ・ホレショヴィツェ駅、ウースチー・ナド・ラベム、ジェチーン、バート・シャンダウ、ドレスデン中央駅、ベルリン・シェーネフェルト空港、ベルリン東駅、ベルリン・ツォー駅、ベルリン・シュパンダウ駅、ヴィッテンベルゲ、ルートヴィヒスルスト、ハンブルク中央駅、ハンブルク・ダムトール駅、イツェホー、ハイデ、フーズム、ニービュル。ハンブルク中央駅とドレスデン中央駅で機関車交換を実施（ヴェスターラント〜ハンブルク中央駅間はDB-218型ディーゼル機関車（重連）、ハンブルク中央駅〜ドレスデン中央駅間はDB-101型電気機関車、ドレスデン中央駅〜プラハ間はČD-371型交直流電気機関車がそれぞれ牽引する）。所要時間はEC178で11時間25分、EC179は11時間7分。表定速度はそれぞれ80km/hと82km/hである。

 

2004年12月12日以降、ベルリン〜ハンブルク間の線路改良工事が完成し、機関車牽引の旅客列車が最高時速200km/hで走行できるようになった。これにより、EC178の所要時間はわずか10時間46分（プラハ本駅発7:18→ヴェスターラント着18:04）、対向のEC179は10時間41分（ヴェスターラント発11:56→プラハ本駅着22:37）に短縮される。これにより、双方向の表定速度は85km/hに向上。この時点の客車担当はDBであり、EC178/179はIC2400/2401　ノルドフリースラント号（フランクフルト～ヴェスターラント間）と編成の共通運用を行っていた。

 

2005年12月11日をもって、EC178/179の北側の始発・終着駅がヴェスターラントからハンブルク・アルトナ駅に変更された。EC178はプラハ本駅発7:22、ハンブルク・アルトナ駅着14:48。対向列車EC179はハンブルク・アルトナ駅発15:14、プラハ本駅着22:21。2006年5月28日以降、EC178/179は、ベルリン南北地下トンネルの開通とベルリン中央駅の地下ホームを経由するルートで、所要時間はさらに8分または12分スピードアップ、表定速度はそれぞれ93km/hと94km/hに向上する。

 

ハンブルク・アルトナ駅での折り返し時間が短いため（14:36着／15:22発）、使用編成本数は１本のみ、これは引き続きČD客車（註：2005年12月からと推察）。機関車交換駅もドレスデン中央駅からバート・シャンダウに変更。しかし、そのわずか半年後、2006年12月10日に実施されたダイヤ改正で、EC178/179の運行区間が再び短縮、ベルリン・ゲスントブルンネン駅が北側の始発・終着駅となり、運行時刻表も双方向で約１時間ずれる。EC178はプラハ本駅発6:16、EC179はプラハ本駅着21:34でプラハに戻ってくる。EC178がベルリン・ゲズントブルンネン駅に到着後、この編成はEC177（ベルリン・ゲズントブルンネン駅〜ウィーン南駅間）として使用され、加えてEC176、EC370/371、IC2070/2071との共通運用ローテーションに組み込まれた。

 

2008年12月14日、EC178/179の無名列車期間が再び終了。EC178はヨハネス・ブラームス号、EC179はアロイス・ネグレッリ号として運行される。

 

 

  編成例（書籍内イラストから）

２００７／０８年冬ダイヤ

コンパートメント客車（２等のみ）、オープン座席車（１等のみ）、食堂車

チェコの客車、途中増解結なし

 

今回は以上です。

 

 

参考資料：

・Die EuroCity-Züge: Teil 2 1994-2020 /Jean-Pierre Malaspina, Martin Brandt

・Thomascook European Timetable/Thomascook

参考ページ：

・Datenbank Fernverkehr (Database long-distance trains)

Harrys Bahnen

ページ内写真：Flickr（引用元は写真とセットで明記）