イギリスの鉄道雑誌Today's Railways誌を参考に、2005年ダイヤでのヨーロッパ各国の動向に関する記事を日本語でまとめてみました。

 

今回は、オランダ、ベルギー、フランスの動きです。

 

なお、原本は英語のため、機械翻訳で日本語への変換後、当時の鉄道状況などを別に調査したうえで追記、構成を変えて文章化しております。一部ブログ筆者により情報を補足している点もあります。その点は  と緑で塗っております。

 

 

オランダ

2005年ダイヤの主な変更点

2004年12月12日からのオランダの新ダイヤに大きな変更はない。

主な変更点は以下の通り:

  • Flevolijn線(ヴェースプ〜レリスタット間)のAlmere Oostvaardersのという新駅開設。この駅はアルメレの5番目の駅で、アルメレ・ブイテン駅とレリスタッド中央駅の間に位置する。この駅には1時間に最大8本の列車が停車する。
  • アムステルダム中央駅〜アルクマール間の各駅停車は、今後アイトヘースト(Uitgeest)以遠の駅は通過する。代わりにアルクマール〜アルクマール間は、同線の快速列車が停車する。
  • ゴーダ~ユトレヒト間の各駅停車の削減
  • ピーク時間帯のロッテルダム〜ユトレヒト間の快速列車を廃止。ピーク時の運行本数がオフピーク時と同じ本数になったため、ピーク時にはロッテルダム発着の快速列車がデン・ハーグ発着の快速列車とも併結/解結する。これは、ピーク時間帯に貨物列車を通すための対応。
  • IRM製2階建て電車のさらなる納入により、デン・ハーグ中央駅〜アイントホーフェン〜フェンロー間の機関車牽引客車によるインターシティ列車は平日のみ運行
  • ドイツのPEG社(現在はArriva社所有)がエンスヘデ〜ドルトムント間の運行を引き継ぐ。エンスヘデ〜ミュンスター間は現在もDB Regio社が運行

IRM製2階建て電車、Frickrリンクより

 

 

ベルギー

2005年ダイヤ改正

ベルギー国鉄は、2005年12月の旅客サービスに関するいくつかの変更を発表した:

  • 単線である15号線 ヘレンタル〜トゥールンハウト間に、列車交換可能な新駅ティエレン駅に開設される。これにより、トゥールンハウト〜アントウェルペン〜ブリュッセル間を30分間隔運行が可能となる。
  • シント・ニクラース〜ルーヴェン/アントウェルペン間のIR列車も見直される。現在、列車は2編成の電車がメヘレンで併結/解結しているが、これに代わり、アントウェルペン〜ルーヴェン間のIR直通列車は25号線と53A号線を経由するが、メヘレンを迂回する27B線も経由する。シント・ニクラース発電車は将来、メヘレンで新しいIR列車 ヘント〜デンデルモンデ〜メヘレン〜ルーヴェン間の列車に連結される
  • インターシティ列車 ブリュッセル〜トンゲレン間は、現在建設中の35号線と36号線の直通運転により運行され、ルーヴェンは通過する
  • インターシティ列車 ブリュッセル〜コルトレイク線はブルージュ経由でオーステンデまで延長されるが、これは1998年に分割されるまでには存在していた
  • 新しいIR列車は、ポペリンゲ〜コルトレイク〜ヘント〜ブリュッセル〜ブリュッセル空港〜ルーヴェン間で運行され、ランデンへの停車も継続される。この列車は、空港線36Cと36番線を結ぶ新しい東直通カーブを利用する最初の列車となる。その他の変更点についてはまだ検討中である
  • ベルギーで最も利用者の多い旅客路線である25番線ブリュッセル〜アントウェルペン間を再編成した
  • ルクセンブルク国鉄(CFL)とベルギー国鉄(SNCB/NMBS)は、現在旅客列車が運行されていない路線:アトゥス〜ヴィルトンを1時間1本の本数で列車運行に取り組んでいる。
  • 「ブレイク」の愛称の電車(AM83型)を使用したアーヘン〜リエージュ・ギユマン駅間の1時間間隔で運行の可能性。
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フランス

TGVは増便、コライユ客車列車は減便

 2004年12月12日のダイヤ改正で、SNCFはさらに新しいTGVを導入する一方、コライユ車両で運行される従来の都市間列車を削減し続けることになる。2階建てTGVの継続導入により、TGV南東線編成(以前はオレンジのカラーリングだったもの)がTGV大西洋線用編成とレゾ編成に変わって、リール〜レンヌ/ナント間に投入されることになる。同時に、レンヌ〜マルセイユ間は2階建てTGVで運行される。

 ストラスブール〜マルセイユ間のTGV(主に在来線経由)、パリ〜アルカホン間のTGV(毎日運行)、ル・アーヴル〜マルセイユ間のTGV(毎日運行)、リール〜ボルドー間のTGV(1日6便)の運行など、従来にない区間でのサービスを開始。ディジョン〜リヨン〜トゥールーズ間のTGVはボルドーまで延長運転される。パリ〜ナント間の2本のTGVのレ・サーブル・ドロンヌへの延長運転はコストのかかるディーゼル機関車牽引が要因で取りやめ、パリ〜アラス間のTGVは1日18往復から14往復に減便される。

 コライユ列車の主な改善点は、ボルドー〜マルセイユ間に3本目の急行列車を導入、途中停車はトゥールーズとモンペリエのみとすること、さらに2005年夏にはこの路線にコライユ・テオズ車両を導入予定。

 廃止の脅威にさらされている「フランス横断」路線のうち、リール〜メッツ〜ストラスブール間は廃止、TER列車に置き換えられる。これは、かつて有名だったカレー〜バーゼル間の爪痕だった。ナント〜リヨン線とナント〜ボルドー線も「切り詰め」られる。最後に、ボルドー〜リヨン間の最後のRTGターボトレインは、約1時間所要時間が延びる、コライユ客車列車に置き換えられる。

 

 

デュ・ランディ車両センターにTGV-PSE編成が増車

 2004年12月12日のダイヤ改正で、TGV-PSE編成(オレンジ色旧編成)が、TGV Réseau編成に代わり、パリ北駅〜フランス北部を結ぶ便に使用されるため、パリのデュ・ランディ車両センターに増車された。TGV-PSE編成は現在、リール〜ボルドー間に加え、トゥールーズおよびアンダイエにも足を延ばしている。これらの便は、St. Pierre-des-Corps〜ボルドー間を在来線経由で時速220kmで運行する。元々、TGV-PSE編成は直流1500V下では時速200kmに制限されていたが、現在では一部編成が高速対応すべく改造されており、対象編成にはノーズ部分に赤い長方形があることで区別される。

 

 

ラ・ヴィレット基地の配置車両の整理

2004年12月のダイヤ改正で、パリのラ・ヴィレット基地にあったBB63500形ディーゼル機関車はすべてアシェール(保線用機関車)またはヴィルヌーヴ・サン・ジョルジュ(長距離向け機関車)に移された。BB16500型とBB17000型電気機関車はパリ近郊のラ・シャペル基地に配置移動されたため、ラ・ヴィレット基地では現在、入換用機関車のみが配置されている。

BB16500型電気機関車のイメージ、Frickrのリンクより

 

 

大規模な機関車の入れ替え 

 2004年12月12日のダイヤ改正では、機関車の配置換えが発生。そのなかで最重要点は、パリ・シュド・ウエスト(Paris Sud Ouest)車両基地が閉鎖されることである。最後の17両のBB7200型電気機関車はヴィルヌーヴに移動し、同車庫のBB9200型電気機関車はトゥールとディジョンに分けられ、回送用のBB80000型電気機関車はヴィルヌーヴに配置される。ヴィルヌーヴからは、20両のBB26000型電気機関車がトゥールーズに配置換えされ、そこからパリ〜リモージュ〜トゥールーズ間の輸送が維持される。トゥールーズは最後の貨物向けSNCF-BB8500型電気機関車を失う。ボルドーでは、旅客輸送に使用されている21両のBB7200型電気機関車と貨物用24両を交換する。

 ブルターニュの多くのコライユ列車がZ21500系電車(最高時速200km/h)に置き換わるのに伴い、レンヌ車両基地に残っていたBB22200型電気機関車が去る。TERで使用されていたBB22200型電気機関車はシャンベリーに配置換えされ、BB25150型電気機関車数両が廃車される。シャンベリーでは、貨物用BB7200型電気機関車約30両がディジョンへ配置換えされ、ディジョンではBB26169〜26201号機がアヴィニョンへ配置換えされる。予想通り、2004年末には多数のCC6500型電気機関車が廃車されるが、少なくとも15両(リヨン地域TER旅客サービスに5両、貨物に10両)は引き続き運行に就く予定である。

CC6500型電気機関車、Frickrリンクより

 

 

リール地域に新型車両導入

2004年12月12日のダイヤ改正より、フランス北部のリール地域に2種類の新型車両が導入された。リール〜ウルノワ線およびリール〜アミアン〜ルーアン線には、発注中の2階建てZ24500系電車(TER 2N NG16編成のうち7編成が導入され、リール〜カレー線にはX76500系ディーゼル列車(AGC)10編成のうち4編成が導入された。

Z24500系電車(TER 2N NG)のイメージ、Frickrのリンクより

 

 

トゥールーズ地域の運輸改善

ミディ=ピレネー地域圏は、トゥールーズ地区にRER(地域急行鉄道網)の郊外路線を導入する計画を続けている。2004年12月12日より、トゥールーズから、ラ・トゥール・ド・カロル線のオーテリーヴおよびパミエへの列車が大幅に改善され、1日ほとんどの時間帯で毎時20分と50分の等間隔に出発するようになった。また、トゥールーズ~タルブ間のトゥールーズ~ミュレ間でも、従来より頻繁運転されるようになった。増便は主に信号設備更新が可能にした。

 

 

サン・マロ地区で電化工事が進行中

レンヌ〜サン・マロ間81kmの電化が現在進行中である。

パリ〜レンヌ〜サン・マロ間のTGVによる直通運行が運行可能となる2005年12月ダイヤ改正(2006年ダイヤ)までには完成予定。架線張りはレンヌ近郊ではほぼ完了しているが、サン・マロ地区ではまだ進んでいない。サン・マロ駅自体も、アクセスを改善するため、既存の駅舎から200メートルほど南に移して全面的な建て替えが行われている。

 この路線の現在の運行は、主にBB67300型ディーゼル機関車牽引のRRRプッシュプル列車と、X2100系ディーゼル列車によるレンヌ〜サンジェルマン=シュル=イル間の各駅停車。

BB67300型ディーゼル機関車牽引のRRRプッシュプル列車、Frickrリンクより

 

 

ターボトレインの華麗なる引退

2004年12月前半、SNCF- T2000系5両編成ガスタービンRTGターボトレインの営業運転終了を記念して、リヨンからグルノーブル、ル・ピュイへのチャーター運転が行われた。リヨン〜ボルドー間では多くのカメラマンが詰めかけた。最後の稼動編成は、イランに迅速に輸送され、姉妹ユニットの稼動維持に役立てられる予定である。

 

 

本日は以上です。

 

参考資料:Today's Railways の2004〜2005の各紙面内、News Round Upより当該記事をピックアップ