イギリスの鉄道雑誌Today's Railways誌を参考に、2005年ダイヤでのヨーロッパ各国の動向に関する記事を日本語でまとめてみました。
今回は、国際列車の動きです。
なお、原本は英語のため、機械翻訳で日本語への変換後、当時の鉄道状況などを別に調査したうえで追記、構成を変えて文章化しております。一部ブログ筆者により情報を補足している点もあります。その点は と緑で塗っております。
国際列車
タリスとICEのダイヤ改正
2004年12月12日のダイヤ改正からルーヴェン〜リエージュ間の高速新線が開通し、ブリュッセル〜ケルン〜フランクフルト間のICEのスピードアップに伴い、時刻表と(パリ〜)ブリュッセル〜ケルン間のタリスのダイヤが大幅に変更された。ドイツ方面へのICEはブリュッセル発6:25、13:28、16:28となりユーロスターとの接続が変更される。またロンドン発12:39でフランクフルト着19:58という移動が可能になるものの、それ以前の接続はできなくなっている。
反対方向(ドイツ→ブリュッセル/ロンドン)のICEはブリュッセル着11:32、15:32、21:35となり、そのうち15:32着列車は理論上17:27にロンドン到着が可能。タリスのブリュッセル発車は8:28、10:28、12:28、14:28、17:28、19:28でケルンに向かう。ケルン発列車のブリュッセル着9:32、10:32、12:32、14:32、17:32、18:32、20:32。そのうち18.32着列車は20:24にロンドン到着可能だ。
ÖBBとトレニタリア、アレグロブランドで提携を開始
オーストリア鉄道(ÖBB)とイタリアのトレニタリアは2004年12月より、アレグロ・ブランドによる国際旅客列車の共同プロモーションを開始した。アレグロ・ヨハン・シュトラウス号、アレグロ・ストラディヴァリ号、アレグロ・ドン・ジョヴァンニ号など、音楽を共通のテーマとした新しい列車名が付けられた。時刻表は改善され、ブレンナーとタルヴィジオ経由の運行本数も増加した。しかし、この提携の最大の特徴は、50ユーロ(リンツ〜ヴェネツィア)から100ユーロ(ウィーン〜ローマ)までの座席予約を含むグローバルな価格設定である。29ユーロのSparSchieneオファーでは、多くの座席が引き続き販売される。ウィーン〜ミラノ/ローマ間の夜行便はアレグロ・トスカ号と改称され、これまでイタリア〜パリ間のみで使用されていた新型寝台車エクセルシオールが使用される。
※ブログ筆者註:アレグロブランドの列車名ですが、トーマス・クック時刻表には「アレグロ」の表記はありません。
ベルギー〜イタリア間の列車が消滅
ベルギー、特にシャルルロワにはイタリア系住民が多いにもかかわらず、ベルギーとイタリアを直通する最後の直通列車、ユーロシティー列車 ヴォーバン号(ブリュッセル〜ミラノ)は、2004年12月12日のダイヤ改正をもってブリーク止まりとなった。この列車はバーゼルで南行き46分、北行き31分も途中停車している!
関連するユーロシティ列車 イリス号は、南行きのみ従来の終着がクールからチューリッヒ止まりに変更され、バーゼルで36分、北行きは42分停車する!どうやらSNCFは、スイスの新ダイヤと調和させるため、フランス側でのダイヤ修正に消極的だったようだ。
リール〜ハッセルト線
2004年12月、ベルギーのダイヤ改正の一環として、アントウェルペン〜ハッセルト〜リエージュ間の中距離列車が週末にハッセルト止まりと運転区間が短縮された。これに代わって、リール(フランス)〜ナミュール〜リエージュ〜エルスタル間のインターシティ列車ががハッセルトまで延長運転された。
チェコ〜オーストリア間に新設された列車
2004年12月12日より、チェコ鉄道(ČD)とオーストリア鉄道(ÖBB)は、プルゼン(プルゼニュ)〜チェスケー・ブジェヨヴィツェ〜ウィーン間に2組の国際列車を導入した。これにより、第二次世界大戦後に途絶えていたボヘミア西部・南部とウィーンを結ぶ伝統的な直通サービスが復活した。プルゼン〜ウィーン間356kmの所要時間は5時間00分。2006年にチェスケー・ブジェヨヴィツェ〜チェスケー・ヴェレニツェ間50kmが電化されると、所要時間はさらに20分短縮される。
チェコおよびポーランドへの新サービス
2004年12月のダイヤ改正より、レーゲンスブルク、フュルト・イム・ヴァルト、プルゼン経由のミュンヘン〜プラハ間を結ぶ昼行の地域間急行列車が2往復導入された。ミュンヘン発6:44と16:44、プラハ発9:15と17:15。所要時間は6時間。ニュルンベルク〜プラハ間のRE列車も新設されるが、ヘッブ〜プルゼン間の工事のため、ヘッブ経由のインターシティ列車2往復は廃止。
一方、IC143/144 アムステルダム〜ベルリン間は、シュチェチン(ポーランド)まで運転区間が延長された。シュチェチン発6:16で所要時間はベルリンまで2時間半、アムステルダムまで8時間半かかる(復路はアムステルダム発11:13)。
ドレスデン〜ヴロツワフ間のインターレギオ列車は廃止された。これを一部補うため、DBレギオ社はドレスデン〜ゲルリッツ間の2便について、越境しズゴルツェレツまで延長運転し、ポーランド鉄道(PKP)も同様に、以前はズゴルツェレツ止まり2列車をドイツのゲルリッツまで延長運転した。
ドイツ・ザクセン地方からチェコへのサービスが向上
2004年12月12日から、ツヴィッカウ(ドイツ)からヨハンゲオルゲンシュタット経由カルロヴィ・ヴァリ(チェコ)行き列車が週末のみ1日2本運行されるようになり、ドイツからの日帰り旅行者はカルロヴィ・ヴァリで丸一日を過ごすことができるようになった。
ケムニッツからヴェイプルティ(チェコ)経由でチョムトフに至る路線では、ドイツ止まり列車の大半がヴェイプルティまで延長運転され、そこからチョムトフ方面への接続改善がチェコ鉄道(ČD)と合意されている。週末運行のケムニッツ〜フローハ〜チョムトフ間の直通列車の乗車率は平均80~90%を誇る。
シュチェチンへのDBインターシティ列車 ... そしてDBとBBXがオストバーンの運命を復活させる?
2005年ダイヤから、ドイツ鉄道(DB)はシュチェチン〜ベルリン〜アムステルダム間にインターシティ列車を導入する。
ポーランド国鉄(PKP PR)がコストシン(またはコスチン)、ゴジュフ、クルツィズ(Krzyz)間のローカル輸送サービスに望みをつないでいるようだが、そこをDBとBBX(ベルリンの運輸会社BVG、ルータールバーン、ブランデンブルクの貨物運輸会社ITBのコンソーシアム)が、これを引き継ごうと競っている。旧オストバーンのこの区間と同様の路線の入札は2006年に行われる予定だ。DBの列車はすでにキーツ(Küstrin-Kietz)〜コストシン間の2.5キロでポーランド乗り入れており、安くて清潔なため、ベルリン発着のポーランド利用客に好まれている。DBは、カリーニングラードまでのオストバーン全域で定期直通列車を運行することを理想としている。PKP広報は現在、自社のサービスを改善することで、DBやBBXの侵入に対抗すると発表している。
ドレスデン〜プラハ間のユーロシティ、機関士無交代へ
チェコ鉄道(ČD)とドイツ鉄道(DB)は、2005年ダイヤから、ドイツのドレスデンとチェコ共和国のプラハを結ぶすべてのユーロシティ列車について、バート・シャンダウ/ジェチャン間の国境で乗務員交代なく、終着までČDまたはDBの機関士が乗務することで合意した。ČDとRailionによる貨物列車運行についても同様の規定が適用される。貨物列車の牽引はČD-372型電気機関車またはRailionの180型複電圧電気機関車が担当し、両国間のユーロシティ列車はすべて160km/h対応に改造されたČD-371型電気機関車が牽引する。
ČD-371型電気機関車は、数年前からドレスデン行きのユーロシティ列車はじめその他の旅客列車で通常使用されており、EC170/171列車でベルリンまで運行されている。Railionの180型電気機関車は現在、チェコのメルニーク〜ニンブルク間で定期運行されており、国境から179km離れたクトナー・ホラでは一般貨物で、プラハ・ウリネヴェス駅ではコンテナ貨物列車で運行されている。ČD-371型電気機関車は、2005年ダイヤで所属がジェチーンからプラハに移動した。
本日は以上です。
参考資料:Today's Railways の2004〜2005の各紙面内、News Round Upより当該記事をピックアップ