今回も、私自身の備忘として、EISENBAHN-REVUE Internationalの2011年11月号記事を基にまとめた、イタリアのオープンアクセス運行会社、アリーナウェイズについて。

 

当時の寄稿「アリーナウェイズ終焉か?」には、2011年7月の破産にまつわる情報がまとめられており、これを見て、てっきり2024年には存在しない会社なのだと高をくくっていたところ、実は水面下では再度イタリアのオープンアクセス市場に再参入すべく準備をすすめていたことを知り、ブログでまとめることを決めました。

 

私自身知らない情報が多いので、今回はこの「アリーナウェイズ社終焉か?」の訳を通じて、経緯を知りたいと思います。ご興味あればお付き合いください。

 

まず、アリーナウェイズ(Arenaways)社について、Frickrの紹介ページには、「完全な民間企業であり、イタリアで初めて旅客鉄道輸送に起業家精神を導入した企業である」とのクレジットがあります。

 

とはいえ、2024年時点では営業路線は存在していない模様だが、2025年1月からイタリア・ピエモンテ州のローカル列車の一部運行の受託、ならびに同年12月からはイタリア国内のインターシティ列車の運行を計画している会社のようです。

 

そんなアリーナウェイズ(Arenaways)社の2011年当時の概況に関する寄稿が下記の通り。

 


 

アリーナウェイズ終焉か?

イタリアの鉄道会社アリーナウェイズ(Arenaways)社が2011年7月末に破産を申請した。ミラノ〜トリノ間と、数週間だけ運行されていたサンティア〜トリノ〜ジェノヴァ〜リヴォルノ間の列車「トレノ・デル・マーレ号(註:直訳だと海列車)」は即座に廃止された。イタリア区間でのカートレイン列車の牽引をアリーナウェイズに委託していたDB Autozug GmbH註:現在会社は解散)とEuro Express Treincharter BV(EETC)も影響を受けた。

 

2011年6月18日、アリーナウェイズ(Arenaways)社はイタリア政府傘下の鉄道会社トレニタリアへの新たな対抗策を発表。この日から、同社は9月4日まで運行予定のトレノ・デル・マーレ号を運行し、リグーリア州、トスカーナ州、チンクエ・テッレ地方の海水浴場へアクセスできるようにした。往復の料金は距離に応じて20~35ユーロ。一方、2010年11月に導入されたミラノ〜トリノ間の列車は、途中停車が許可されず、利用率が低い状況を生み出す理由の一つとなっていた。これに対しトレニタリア社は、ピエモンテ州とロンバルディア州が補助金を出している地方鉄道の利用者を奪うことになるとして弁明。

 

トレノ・デル・マーレ号が運行を開始後、すみやかにさらなるサービス拡大策である、シチリア、スペイン、ドイツ、オランダへの夜行列車の運行計画を発表。さらなるE-189型機関車のリースが検討され、RENFEから3台の近代的なタルゴ車両がリースされた。期間5年、金額1,700万ユーロの契約が2024年5月初旬に締結された(註:Wikipediaによると実際の運行はなかった模様)。しかし2011年7月31日、Arenawaysの創業者であり、Railion Italiaの前社長であるジュゼッペ・アレーナ氏は、クラウディオ・スガッツィーニ氏、ピエール・ヴィンチェンツォ・ペッレグリーノ氏、アンドレア・フランコーネ氏の3人の共同経営者が同社を去った後、破産を申請せざるを得なくなった。

 

 

DBオートツーク 恥ずべき業績

裁判所が破産手続きを開始するかどうかを決定している最中の2011年8月3日、DB Autozug GmbHはウェブサイト上で、13306列車 トリエステ〜ベルリン間のカートレイン列車の牽引機が機関車がないため、8月4日にフィラッハ発の列車しか運行できないと発表。ハンブルク発アレッサンドリア行とデュッセルドルフ発トリエステ行の週末カートレイン列車は、数日間に渡って南ドイツのレラッハ(註:スイスのバーゼルの北東にある街)を終点・始点とした。このため、自動車利用者にとっては、高速道路を利用した全ルートの実質的な代替手段ではなくなった。デュッセルドルフ〜アレッサンドリア間の列車AZ 13373/13372列車は、すでに8月7日と9日にそれぞれヴェローナ発着で運行された。

 

一方、Euro Express Treincharter BV(EETC)が提供するオランダ発リヴォルノおよびアレッサンドリア行きの「Autoslaap」13409/13401列車は、予定通りアリーナウェイズ(Arenaways)社によって運行された。破産管財人は2011年8月6日、オランダの会社が費用回収に貢献すると同意後、手続きに入った。SBBカーゴからレンタルされたRe-474型電気機関車はイタリア区間で引き続き使用された。DB Autozug GmbHは当初、費用を負担する意向はなかったものの、自社のRU Nordcargoや他の鉄道会社に代替を頼まなかった(その気もない)ため利用客は運行キャンセルという被害を受け続けた。ベルリン発のAZ13307/13306列車は、2011年8月第2週にはトリエステ発着ではなく、フィラッハ発着の運行のみを継続した。破産管財人との合意が成立し、委託していたDB Autozugの全列車が予定通り運行を再開したのは8月12日のことだった。

 

アリーナウェイズ社は2010年初めから、トレニタリア社の代わりにDB Autozug社の下請けとして列車運行を担っており、Traxx 483型電気機関車の018号機〜020号機に加え、G2000型ディーゼル機関車3台もこのためにレンタルしていた。2011年春には、MRCEによってRe484型電気機関車901号機と902号機が追加されたばかりだった。

 

アリーナウェイズ社塗色のG2000型ディーゼル機関車は下記リンクからご覧になれます。

 

 

 

今後の動向について

前途有望なアリーナウェイズ社の破産が間近に迫ったことで、イタリアのメディアや政治家も震撼し、マスコミからは鉄道輸送の真の自由化を求める批判的な声が上がった。今後数週間のうちに、アリーナウェイズの売却の可能性、ひいては約70人の従業員の将来についても交渉が行われる予定だ。

 

アリーナウェイズ社は、スペインのタルゴ列車のリース契約に加え、2009年9月にポーランドの車両製造会社ペサ(Pesa)社にローマ〜フィレンツェ間での運行用に3両編成のATR200型ディーゼル列車を発注し、2010年半ばに納入される予定だったが、今回の破産をうけて実現しなかった。

 

参考資料:EISENBAHN-REVUE International 10/2011 Arenaways bereits am Ende?

参考ページ:Arenaways(イタリア語Wikipedia)などのWikipediaページ

ページ内写真:Fickrのリンク

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