2023年に通年で、1987〜1993年の間に運転開始されたドイツ・オーストリアを走るユーロシティの歴史を振り返りました。その参考にしたのが、Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegendenというドイツ語本であり、この続編がDie EuroCity-Zuege: Teil 2: 1993 bis 2020 として出版されています。そのため、引き続き私の後学、備忘を兼ねて原文訳を補足しながらまとめていきます。位置づけは前回に続き第2編となります。

 

第2編の21回目は、EC370/371列車を取り上げます。

Euro City 370/371

Prag〜Berlin〜Arhus/Ostseebad Binz

 

(この写真が参考文献に掲載されているわけではありません)

 

(以下本文を参照に日本語訳、一部表現、短縮名称等をブログ筆者で補足)

 ユーロシティ アロイス・ネグレッリ号の歴史で詳しく説明したように、このアロイス・ネグレッリ号2002年12月15日からハンブルクを越えてデンマークのオーフスまで延長運転される。2004年12月12日からは、ウィーン〜プラハ間の列車にこのアロイス・ネグレッリ号の名称が与えられ、従来からのプラハ〜オーフス間の列車はEC370/371として同じ時刻表で継続されるが、列車名称はない。

 

 EC370はČD-371型電気機関車牽引のČD編成でプラハ本駅発9:18、プラハ・ホレショヴィツェ駅、ウースチー・ナド・ラベム、ジェチーン、バート・シャンダウに途中停車してドレスデン中央駅(11:47着/12:03発)、ここでにDB-101型電気機関車に交換され、パドボルグまで牽引担当。引き続きドレスデン・ノイシュタット駅、ベルリン・シェーネフェルト空港駅、ベルリン・東駅(14:17着/14:21発)、ベルリン・ツォー駅、ベルリン・シュパンダウ駅、ヴィッテンベルゲ、ルートヴィヒスルスト、ハンブルク中央駅(14:21着/14:35発)、ハンブルク・ダムトール駅、ノイミュンスター、オスターレンフェルト、レンスブルク、シュレスヴィヒ、フレンスブルクに途中停車し、デンマーク国境のパドボルグ駅着18:46。ここで列車は2度目の機関車交換(DB-101型電気機関車→DSB-ME型ディーゼル機関車)を行う。パドボルグ発19:01で、ティングレフ、ロデクロ、ヴォジェンス、ヴァンドルップ・コリング、フレデリシア、ヴァイレ、ホーセンス、スカナボーに途中停車し、終着オーフスには21:27に到着する。

 

 南行EC371はオーフス発8:06分で、前述の駅に停車し、終着のプラハ中央駅には20:37に到着。所要時間は12時間09分(EC370)、12時間31分(EC371)で、走行距離1,080km、表定速度をそれぞれ89km/h、86km/h。

 

 その後、EC370のダイヤは2005年12月11日から2時間繰り下げた発車時刻に変更される[プラハ発11:22、バート・シャンダウ(13:18着/13:33発)、パドボルグ(20:43着/21:00発)、オーフス着23:32]。南行きEC371は、所要時間が数分程度の変化が確認できるのみ。

 

 2006年12月10日より、ČDが引き続き運行担当するEC370の出発時刻が1時間繰り上げられ、始発駅がプラハからウィーンとなったことで走行距離は399キロ長くなった。北行EC370はÖBB-1116型電気機関車に牽引されウィーン南駅(東駅)発6:08で、途中停車駅はホーエナウ、出発からちょうど1時間後にブジェツラフ着7:17。そこでČD-371型電気機関車に交換されて、ブルノ、チェスカー・トジェボヴァー、パルドゥビツェ、コリーン、プラハ・ホレショヴィツェ駅(10:25着/10:34発)、その後は従来通りの途中停車するが、ドレスデン・ノイシュタット駅、ベルリン東駅、ベルリン・ツォー駅、ベルリン・シュパンダウ駅に代わって、エルスターヴェルダとベルリンの新駅であるベルリン・ズュートクロイツ駅と同中央駅に停車する。終着オーフス着22:43。EC370のウィーン〜オーフス間の表定速度89km/hを記録し、1,479kmを16時間35分で走破した。この3つの数値はいずれも、ユーロシティの歴史において記録的なものである!一方、南行EC371はオーフス〜プラハ間を、若干の時刻変更(オーフス発7:04→プラハ着19:34)はあったものの、従来通りのダイヤで運行された。

 

 EC370/371はEC177/178と共通運用のローテーションが行われ、ユーロシティ列車4本に対して3日間ローテーションを賄う車両編成が提供された:

1日目:EC371 オーフス発7:04→プラハ着19:34。

2日目:EC178 プラハ本駅発6:16→ベルリン・ゲズントブルンネン着11:19/EC177 

ベルリン・ゲズントブルンネン発12:39→ウィーン南駅着22:03。

3日目:EC370 ウィーン南駅発6:08→オーフス着22:43。

 

 EC370/371の歴史は、2007年12月9日からまた新たなルート変更によって刻まれることになる。具体的には、バルト海からわずか数百メートルのところに駅があるドイツ・リューゲン州のビンツが新たな発着地となった。EC370はベルリン中央駅から北のビンツへ向かう途中、ベルリン・ゲスントブルンネン駅、ベルナウ、エーベルスヴァルデ、アンガーミュンデ、プレンツラウ、パーゼヴァルク、アンクラム、チュッソー、グライフスヴァルトでシュトラールズント(18:21着/18:29発)。 ここでバート・シャンダウ以来の方向転換が行われ、DB-101型電気機関車からDB-115型電気機関車に交換(かつての110型電気機関車は老朽化のため115型にバトンタッチ)となり、その後ベルゲン・アウフ・リューゲン、プローラを経由して終着オストゼーバード・ビンツに19:19到着。

 

 対向列車EC371はオストゼーバード・ビンツ発10:42で、終着プラハ本駅着19:31。ビンツ→プラハ間の走行距離は683km、表定速度81km/hで、所要時間8時間49分で結ばれる。ウィーン→ビンツ間結ぶEC370は、走行距離1,085kmを所要時間13時間11分で結んでいる(表定速度82km/h)。

 

 2008年12月14日以降、EC370/371は新しい列車番号EC378/379となり、名称もカール・マリア・フォン・ウェーバー号となる。

 

 

  編成例(書籍内イラストから)

2005年夏ダイヤ

コンパートメント客車(2等)、オープン座席車(1等)、食堂車

チェコの車両、パドボルグで増解結

 

今回は以上です。

 

 

参考資料:

・Die EuroCity-Züge: Teil 2 1994-2020 /Jean-Pierre Malaspina, Martin Brandt

・Thomascook European Timetable/Thomascook

参考ページ:

Datenbank Fernverkehr (Database long-distance trains)

Harrys Bahnen

ページ内写真:Flickr(引用元は写真とセットで明記)