2023年に通年で、1987〜1993年の間に運転開始されたドイツ・オーストリアを走るユーロシティの歴史を振り返りました。その参考にしたのが、Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegendenというドイツ語本であり、この続編がDie EuroCity-Zuege: Teil 2: 1993 bis 2020 として出版されています。そのため、引き続き私の後学、備忘を兼ねて原文訳を補足しながらまとめていきます。位置づけは前回に続き第2編となります。

 

第2編の19回目は、ハンブルク〜オーフス間のユーロシティ列車を取り上げます。

EuroCity Hamburg - Århus

(以下本文を参照に日本語訳、一部表現、短縮名称等をブログ筆者で補足)

(2011年1月1日よりスペル変更された:Århus は Aarhus となる)。

 

2002年12月15日より、ドイツ・デンマーク間にユーロシティが導入される。EC274/275は、通常の「渡り鳥ライン(ブログ筆者註:プットガルデン〜ロービュ間のフェリー航路経由の線)」経由ではなく、ハンブルクと人口27万7000人のデンマーク第2の都市オーフスを結ぶ。ここではDSB-IC3型ディーゼル列車が使用された。北行EC274はハンブルク中央駅発9:18で、ハンブルク・ダムトール駅、ノイミュンスター、レンズブルク、シュレスヴィヒ、フレンスブルクとDBネットワークに途中停車しながら411キロを北上する。その後、デンマーク入国後の最初の駅パドボルグ(11:18着/11:24発)、ユトランド半島ではティングレフ、ロデクロ、ヴォジェンス、ヴァムドルップ、コリング、フレデリシア、ヴェイレ、ホーセンス、スカナボーを経由し、終着のオーフス着13:44。IC3型ディーゼル列車は復路をEC275としてオーフス発15:30で帰路につき、往路と同じ駅に途中停車後、ハンブルク中央駅着19:50。つまり、EC274/275の表定速度はそれぞれ95km/hと89km/hである。

 

翌年(2003年)、EC274のみ、レンズブルクとシュレスヴィヒ間にあるオウシュラグ駅に途中停車する。夏季の需要増加のため、EC274は2004年6月20日〜8月22日、EC275は2004年6月19日〜8月21日で、IC3型1編成(3両)が増結され、6両編成(2ユニット)で運行された(2004年夏期も同様)。2005年ダイヤ(2004年12月12日)では、この列車番号がEC386/387に変更され、北行EC386はハンブルク中央駅発9:30(オーフス着14:00)、南行EC387はオーフス発15:30(ハンブルク中央駅着19:48)というダイヤで運行。加えてデンマークのルンデルスコフにも途中停車した。

 

最後に、EC378の運行時刻について、2006年ダイヤから順次出発時刻が繰り上げられる: 2005年12月からはオーフス発14:52(ハンブルク中央駅発19:14)、2007年1月6日からは14:27(ハンブルク中央駅発19:49)となり、所要時間が5時間22分に延び、2007年12月9日からはオーフス発14:13(ハンブルク中央駅発18:50)となる。

 

2008年3月15日〜2011年12月10日で、ICE-TD(605系)が一時的に運用に就き、ICE 386/387として時刻表に記載された(データベースでは2009年ダイヤからEC386/387がICE386/387と書き換えられていることから、一時的にユーロシティが消滅。かつ2008年ダイヤで再度列車番号がEC386/385に変更されている)。2011年12月11日以降、ユーロシティに分類されるIC3列車は、以下の時刻表の位置となり、復活する(と書かれているが、2009年ダイヤでもユーロシティとして戻っていたりで、おそらくICE-TDの不調が反映された結果ではないか)。

EC386:ハンブルク中央駅発9:30→オーフス着14:01

EC387:オーフス発14:23→ハンブルク中央駅着18:53

 

かつては夏の繁忙期に行われていた2編成(6両)での運行は過去のものとなった。また、2011年1月1日に施行されたオーフス(Aarhus)への表記変更にも注目されたい。オーフスという表記は、正確には1948年まで使われていたもので、特にインターネット上での表記をよりシンプルにするために、原点に立ち返ったのである。

 

2015年ダイヤでは、EC286/287(書籍は左記の通りだが、おそらく誤記であり、EC386/387が正と判断。以下修正した情報で明記)は2014年12月14日〜2015年8月30日で土曜日除く毎日運行された。往路の北行EC386はハンブルク中央駅発9:28でオーフス着13:59、復路は南行EC387でオーフス発14:24(ハンブルク中央駅着18:49)。所要時間はそれぞれ4時間31分、4時間25分で、表定速度は91km/hと93km/hである。

 

2013年12月13日(書籍は左記の通りだが、おそらく誤記であり、2015年12月13日が正と判断)より、従来のユーロシティ列車はIC386/387となり、2020年のダイヤではIC382/383およびIC384/385とともに、ドイツ・デンマーク間の国際列車サービスの一部となる。

 

 

  編成例(書籍内イラストから)

2014/15年冬ダイヤ

オープン座席車(1等・2等)、食堂車・ビストロ未連結、デンマークのディーゼル列車、途中増解結なし

今回は以上です。

 

 

参考資料:

・Die EuroCity-Züge: Teil 2 1994-2020 /Jean-Pierre Malaspina, Martin Brandt

・Thomascook European Timetable/Thomascook

参考ページ:

Datenbank Fernverkehr (Database long-distance trains)

Harrys Bahnen