2023年に通年で、1987〜1993年の間に運転開始されたドイツ・オーストリアを走るユーロシティの歴史を振り返りました。その参考にしたのが、Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegendenというドイツ語本であり、この続編がDie EuroCity-Zuege: Teil 2: 1993 bis 2020 として出版されています。そのため、引き続き私の後学、備忘を兼ねて原文訳を補足しながらまとめていきます。位置づけは前回に続き第2編となります。

 

第2編の16回目は、列車名のないユーロシティ、EC264/265列車を取り上げます。これは、すでにEC64/65、ミュンヘン〜ストラスブール間のユーロシティ列車 の項で取り上げている一連の列車です。

 

(以下本文を参照に日本語訳、一部表現、短縮名称等をブログ筆者で補足)

別の項で述べたように、2002年12月15日より、ミュンヘン〜シュトゥットガルト〜ストラスブール間にユーロシティ列車が追加導入された。この導入により、シュトゥットガルト〜ストラスブール間の短距離ユーロシティ列車となる列車番号EC264/265が仲間入りするが、列車番号264/265はすでに1980年代からミュンヘン〜ストラスブール間の急行列車として存在していた。

 

東行EC265はストラスブール発12:57で、車両はDB所有のプッシュプル対応編成で運行された。このEC265はEC266の折り返しとして運行されていた(ミュンヘン発列車でストラスブール着11:00)。ストラスブールからの牽引機であるDB-181.2型電気機関車は長距離列車のプッシュプル運転に非対応であるため、この機関車の真後ろにはBpmbdzf制御客車が連結される形で運行された。途中停車駅はケール、バーデン・バーデン、カールスルーエ中央駅(DB-181.2型からDB-101型への機関車交換あり)、ブルクザールで、終着シュトゥットガルト着14:49。この編成は以下の列車と共通運用されていた:

IC2562 シュトゥットガルト中央駅発17:08→カールスルーエ中央駅着17:50

IC2565 カールスルーエ中央駅発20:07→ミュンヘン中央駅着23:17

 

西行EC264は、シュトゥットガルトからの運行の前に、

IC2566 ウルム発6:01発→カールスルーエ中央駅着7:53

IC2563 カールスルーエ中央駅発10:07→シュトゥットガルト中央駅着10:49

という運用で文字通り「通勤」が存在した。

あらためて、EC264はシュトゥットガルト中央駅発13:11で、ストラスブール着15:00。その後の共通運用として、EC267 ストラスブール発16:57、ミュンヘン中央駅着21:14が控えていた。

 EC264/265は、わずか170kmの走行距離、表定速度はそれぞれ94km/h、91km/hに達し、所要時間はそれぞれ1時間49分と1時間52分であった。

 

2004年12月12日以降、EC264/265は従来制御客車が連結されていたが、自転車搭載スペース付の旧型非冷房のインターレギオ用客車に置き換えられた。共通運用のローテーション内容も変更され、EC264/265はEC166/167、EC168/169、EC266/267と2日のローテーションとなる共通運用で運行される(順序は以下の通り)。

EC168 シュトゥットガルト発5:45→ストラスブール着7:49

EC167 ストラスブール発8:58→シュトゥットガルト着10:49

EC264 シュトゥットガルト発13:11→ストラスブール着15:11

EC267 ストラスブール発16:51→ミュンヘン着21:16 <ここで1日目終了>

EC266 ミュンヘン発6:43→ストラスブール着11:02

EC265 ストラスブール発12:55→シュトゥットガルト着14:49

EC166 シュトゥットガルト発17:34→ストラスブール着19:34

EC169 ストラスブール発19:58→シュトゥットガルト着22:02

上記のシュトゥットガルト~ストラスブール間の全列車は、ブルッフザール、カールスルーエ中央駅、バーデン・バーデン、ケールに途中停車した。また、DB-181.2型機関車によって同一機関車による連続牽引されたEC168/169を除き、その他の列車はすべてカールスルーエ中央駅では機関車交換が行われた。

 

2005年12月11日に施行された2006年通年ダイヤでは、それまで在籍していた食堂車(WRmz134)に代わり、元インターレギオ用の1等・ビストロ合造車(ARkimbz)が使用され、加えて制御客車も急遽復活した。なお、編成本数が充分でないため、改正初日から前述の編成となったのは「短距離列車」であるEC264/265 シュトゥットガルト〜ストラスブール間のみとなった。この列車は、IC2264/2265 シュトゥットガルト〜カールスルーエ間、IC2273/2274 カッセル〜カールスルーエ間と共に、引き続き2日ローテーションの共通運用で運行される。

 

2006年12月9日はEC264/265の最終運行日であり、2007年夏(6月10日)のTGV東ヨーロッパ線への切り替えの約半年前に廃止されたことになる。それもそのはず、この列車は、"日中運転 "ダイヤと短距離ルートのため、美しいシュヴァーベン、バーデン、アルザス地方をほとんど空席のまま走っていたからだ。

 

 

  編成例(書籍内イラストから)

2005年夏ダイヤ

コンパートメント客車(1等、2等)、オープン座席車(2等)、食堂車

ドイツの客車列車、途中増解結なし

 

今回は以上です。

 

 

参考資料:

・Die EuroCity-Züge: Teil 2 1994-2020 /Jean-Pierre Malaspina, Martin Brandt

・Thomascook European Timetable/Thomascook

参考ページ:

Datenbank Fernverkehr (Database long-distance trains)

Harrys Bahnen

ページ内写真:Flickr(引用元は写真とセットで明記)