Eisenbahn-Revue International誌の寄稿を参考に、ヨーロッパ諸国に乗り入れていたロシアの寝台車の2008年当時の運行エリアの拡大に関する寄稿について日本語にまとめてみました。なお、原本はドイツ語のため、機械翻訳で日本語、または英語に変換し、当時の鉄道状況などを別に調査したうえで文章化しております。そのため原文との若干のニュアンスの齟齬があるかもしれません。また一部文章内に下線、太文字、黄色塗りでの補足、リンク先追加している箇所はブログ筆者の判断によるものです。

 

今回の寄稿の冒頭に「10年の中断を経て」との記述がありますがこれはあくまでスイス乗り入れに関するもの。記事出稿当時もモスクワからブダペスト、プラハ、ウィーンをはじめ旧ソ連との友好国との間にはロシアからの寝台車は乗り入れが行われていました。

 

とはいえ、2024年現在もウクライナ侵攻をきっかけにモスクワからの直通客車の運転は現在取りやめられています。この状況がいつまで続くのかは想像も付きません。なお、この寄稿のまとめに関連して、私が2011年8月にウィーン西駅でたまたま撮影していた当該寝台車のスナップ写真も参考資料としていくつか貼っておきます。またロシア客車を欧州各国で見かけることができること祈念してやみません。

 


 

10年以上の運行中断を経て、スイス・ロシア間に再び寝台列車が運行開始した。フランスとオランダからも、長い中断を経て再びモスクワへの直行便が運行されている。西ヨーロッパの多くの国々で夜行便が常に削減され、特にコストのかかる定期バスの運行が消滅の危機に瀕している一方で、ロシア鉄道(RZD)は反循環的な発展を遂げている。パリの記者会見でRZDの代表は、国際輸送の重要性がますます高まっていると語った。

 

バーゼル、ミュンヘン、アムステルダムからモスクワへの直行便

2007年12月24日、ダイヤ改正からちょうど2週間後、RZD(ロシア鉄道)の近代的な寝台列車が初めてバーゼルSBB駅からモスクワへ向けて出発した。この列車は2日前にモスクワを出発し、12月24日朝にバーゼルに到着したもの。200km/h対応のWLABmee(ブログ筆者註:1等・2等の両方の寝台を要する車両の意味)の近代的なエアコン付客車が使用されている。

 

これらは1994年からWaggonbau Görlitz GmbH(後のDWA)によってロシア鉄道に引き渡された。ロシアの気候や運行条件に合わせたものだが、同時に中央ヨーロッパでの運行に適用されるUIC規制にも適合している。ロシア人車掌を2名乗せ、CNL353(バーゼル〜プラハ間)はバーゼルSBB駅を18:04に出発。この車両はワルシャワ行とコペンハーゲン行のCNL/DBクシェット車も併結している。カールスルーエ、フランクフルト(マイン)南駅を経由してフルダへ向かい、そこでミュンヘンからの寝台車・クシェット車編成が加わる。ハノーファーでは、バーゼルとミュンヘンの車両が、EN347 ヤン・キープラ号のアムステルダム〜ワルシャワ間編成と併結しつつ、ミンスクとモスクワ行の車両が運行される。その後、ベルリンを経由し、ワルシャワ東駅には翌朝10:52に到着。ここから、アムステルダム、バーゼル、ミュンヘンからやってきたロシアとベラルーシの寝台車がブレストでの台車交換を経てベラルーシに入国し、夜のうちにベラルーシを通過し、モスクワ・ベラルーシ駅に到着するのはバーゼルから2日目となる現地時間10:59。したがって、アムステルダム、バーゼル、ミュンヘンからの所要時間は約40時間である。SBB(スイス国鉄)によると、バーゼルからモスクワまでの切符は3人用コンパートメントで330スイスフランから。RZDの最安値は262ユーロである。このような長距離では、鉄道と航空輸送の間に競争はほとんどないが、RZDの寝台列車の運行開始は、バーゼル〜モスクワ間の新路線就航と重なった。ロシアのトランサエロ社が12月23日から週1便運航している。

 

 

パリ〜モスクワ間でのストップオーバー(途中降機)

これは、フランス国内線の最後の寝台列車がダイヤ改正で廃止され、国際夜行列車の運行が最低限に縮小されたからである。また、ほとんどの国際列車が高速電車化されたことで、国際客車をパリまで輸送する機会はまったくといっていいほどない。

 

RŽDの寝台車は、2008年5月末から10月初めまでの木曜と土曜、さらに月曜には、CNL243でパリからベルリンに向かい、ここから7時間(!)の途中停車の後、247(ロシア内は14)列車でモスクワに向かう。帰りは、ロシアの寝台車がベルリンで12時間途中停車。ターゲットは主にロシア人旅行グループと個人旅行者で、ベルリン市内観光を含む旅が提供される。RŽDによると、モスクワからパリまでの片道切符は333ユーロから。この区間の乗務員は、フランス語の基礎、地理、歴史について特別な訓練を受けているという。

 

寝台列車でモスクワまで移動する場合、ロシアのビザを余裕を持って申請するだけでなく、ベラルーシのトランジットビザも申請しなければならない。このため、列車の旅にかかる費用と労力の両方が増大する。

 

 

参考:今回取り上げた寝台車と同じ形式の写真(2011年ウィーン西駅にて)

 

 

 

本日は以上です。

 

参考資料:Eisenbahn-Revue International 2/2008 Russische Eisenbahnen erweitern ihr Schlafwagennetz 

写真:Frickrのリンク、スナップ写真はブログ筆者が撮影したものです。