このブログを執筆しているのは、2024年2月。

 

今回取り上げるのは、京阪神エリアの方にとっては、有名(と思われる)な冬の日本海の味覚、かにを目当てにグルメ客向けに設定された、いわゆる「かにカニエクスプレス」。その一派の列車と、その列車の運転履歴をシリーズとして振り返ってみたいと思います。

一方で最新シーズンのかにカニはまかぜ号の運転情報も付記しておくことで、かにカニ列車のリアルタイムクロニクルを構築していく予定です。

 

 

かにカニエクスプレスの登場秘話

ここで紹介するのは、今回以降シリーズ化する「かにシーズン列車」がどのような背景で誕生するのかという誕生秘話のまとまった本。著者の広尾克子氏によると「当時のJR(本文では国鉄との記載)から持ちかけられて、香住が応じた」と明記されています。JRの想定したかにカニエクスプレス企画での動員目標(1998〜99年シーズン)は1シーズンで2万人。だったが、実際はその1.5倍以上が押し寄せた模様。閑散期の列車の有効活用という点と関西の持つカニ文化が完全に合致した結果のようです。

 

 

 

 

  2023/24シーズンのかにカニはまかぜ号

 

運転区間: 大阪発 9:38→浜坂着13:11

      浜坂発15:11→大阪着18:51

※いづれも、はまかぜ号と同じ播但線経由

※全車指定席

 

運転日

2023年11月11日〜26日の土・休日

     12月1〜24日の土・休日

2024年1月5〜31日の毎日

     2月1〜29日の毎日

     3月1〜31日の毎日

 

運用に入る車両:キハ189系ディーゼル特急列車

 

参考ページ:JR西日本プレスリリースより(かにカニ日帰りエクスプレスの販売について)

 

参 考:

年末年始はかにカニはまかぜ号は運転されないものの、はまかぜ91/92号が同じ運転区間かつ一部停車駅を変更して運転されました。

運転日は2023年12月29〜31日、2024年1月2,3日

 

 

  かにカニはまかぜ号の過去の運転履歴

 

かにカニはまかぜ号は、2024年現在も運転されている臨時列車では長寿な部類に入ります。この列車の歴史は1999年冬に始まりましたが、実はそれ以前から脈々と続くかにカニ列車の歴史があります(それは別稿でまとめたいと思います)。

 

四半世紀を数える、かにカニはまかぜ号の歴史において不変なのは、大阪から但馬・城崎温泉エリアを播但線経由で接続し、利用客は、かにカニはまかぜ号とその他の定期列車との組み合わせで現地滞在時間を調整することができる日帰り可能なダイヤを組んでいる点です。

 

たとえば、日帰りでカニを満喫する旅程を立てた場合、香住や浜坂駅近くの割烹旅館に足を運びやすい時刻に到着。2〜3時間の食事を満喫した後に予約済の列車で帰宅というざっくりした流れが想定できます。そのため、この列車が旅行会社からのツアーとして販売されているのも「食事開始時間が読める(待ち時間を削減できる)」というメリットもヒット商品化している一因なのでしょうね。

 

一方で、1999/2000年シーズンの運転開始からの変化が見られるのは、車両形式と現地の始終着駅について。

 

まず使用された車両形式について、運行開始当初1シーズンのみ、エーデル鳥取向けのリゾート気動車が使用された以外は、播但線を経由する兄弟列車として、定期の特急列車はまかぜ号と共通運用として、特急型ディーゼル列車が運用に就いています。なお、現在のキハ189系に切り替わったのは2011年1月から。

 

次に始終着駅の変遷ですが、出発地となる大阪駅は現在まで変化なく、現地側は2009/10シーズンまでは香住までだったのが、2010/11シーズンから少し先にある浜坂まで運転区間を延ばした点であり、これには背景があるようですので指摘しておきたい点です。

 

はまかぜ号のWikipediaに書かれた情報によると、従来香住で運転打ち切りにしていたのは、余部橋りょうの存在が影響した模様。ご存知の通り、2009/10シーズンまで余部橋りょうは赤い鉄製橋りょうであり、これは日本海から吹き込む冬の海風の影響で運休を余儀なくされるケースもあり、安定的な運行を約束できる香住止まりとされたのが現実だったようです。その後コンクリート製に切り替わったタイミングで浜坂までの延長運転が実現した模様。

 

なお、かにカニはまかぜ号は時刻表等で当該列車を呼ぶ愛称ですが、かつてのキハ181系のヘッドマークには「かにカニエクスプレス」の名称が採用されており、表記ゆれ(?)が気になる列車ではあります。

 

各シーズンで共通事項:運転頻度 1日1往復(週末中心、繁忙期となる1〜3月は毎日運転)、  を塗っている箇所は前シーズンと異なる情報

運行シーズン 運転頻度/運転区間/発着時刻/所要時間 運用に入った形式など
2023/24
※今シーズン
大阪発9:38→浜坂着13:11(所要時間3:33)

浜坂発15:11→大阪着18:51(3:40)

キハ189系
2022/23 大阪発7:48→浜坂着11:33(3:45)

浜坂発15:11→大阪着18:51(3:40)

キハ189系
2021/22 大阪発7:48→浜坂着11:33(3:45)

浜坂発15:11→大阪着18:51(3:40)

※コロナによる緊急事態宣言をうけた運休情報は未反映

キハ189系
2020/21

大阪発7:48→浜坂着11:33(3:45)

浜坂発14:51→大阪着18:51(4:00)

※コロナによる緊急事態宣言をうけた運休情報は未反映

キハ189系
2019/20

大阪発7:48→浜坂着11:33(3:45)

浜坂発14:51→大阪着18:51(4:00)

キハ189系
2018/19

大阪発7:49→浜坂着11:33(3:44)

浜坂発14:51→大阪着18:51(4:00)

キハ189系
2017/18

大阪発7:49→浜坂着11:33(3:44)

浜坂発14:51→大阪着18:50(3:59)

キハ189系
2016/17

大阪発7:49→浜坂着11:33(3:44)

浜坂発14:51→大阪着18:50(3:59)

キハ189系
2015/16

大阪発7:49→浜坂着11:33(3:44)

浜坂発14:51→大阪着18:50(3:59)

キハ189系
2014/15

大阪発7:49→浜坂着11:24(3:35)

浜坂発14:51→大阪着18:50(3:59)

キハ189系
2013/14

大阪発7:49→浜坂着11:29(3:40)

浜坂発14:51→大阪着18:50(3:59)

キハ189系
2012/13

大阪発7:49→浜坂着11:41(3:52)

浜坂発14:51→大阪着18:50(3:59)

キハ189系
2011/12

大阪発7:48→浜坂着11:42(3:54)

浜坂発14:49→大阪着19:10(4:21)

キハ189系
2010/11

大阪発7:48→浜坂着12:07(4:19)

浜坂発14:49→大阪着19:10(4:21)

キハ181系(〜’10)
/189系(’11〜)
2009/10

大阪発7:48→香住着11:42(3:54)

香住発15:10→大阪着19:11(4:01)

キハ181系
2008/09

大阪発7:48→香住着11:42(3:54)

香住発15:10→大阪着19:11(4:01)

キハ181系
2007/08

大阪発7:48→香住着11:43(3:55)

香住発15:05→大阪着19:11(4:06)

キハ181系
2006/07

大阪発7:48→香住着11:43(3:55)

香住発15:05→大阪着18:55(3:50)

キハ181系
2005/06

大阪発7:48→香住着11:41(3:53)

香住発15:04→大阪着18:57(3:53)

キハ181系
2004/05

1号 大阪発7:28→香住着11:40(4:12)

3号 大阪発8:17→香住着11:40(3:23)

→運転日よって1/3号と振り分け

2号 香住発15:07→大阪着18:57(3:50)

キハ181系
2003/04

大阪発8:18→香住着11:34(3:16)

香住発15:15→大阪着18:57(3:42)

キハ181系
2002/03

大阪発8:02→香住着11:32(3:30)

香住発15:20→大阪着18:56(3:36)

キハ181系
2001/02

大阪発8:17→香住着11:33(3:16)

香住発15:25→大阪着18:54(3:29)

キハ181系
2000/01

大阪発8:02→香住着11:41(3:39)

香住発15:46→大阪着19:20(3:34)

キハ181系
1999/2000

大阪発8:02→香住着11:41(3:39)

香住発15:47→大阪着19:20(3:33)

キハ65系
(旧エーデル鳥取)
 

かにカニはまかぜ号運転はここからスタート

 

・運転時刻については、一部日程で部分的に修正されて運転されている場合があります。

・運用に入った形式は各種情報サイト、情報誌を参考にまとめたもので、運転日次第では異なっていた場合があります。

 

本日は、以上です。

 

参考ページ:鉄道コム、JR西日本プレスリリース、はまかぜ(列車)(Wikipedia)

参考資料:JR時刻表、JTB時刻表(各年)、鉄道ダイヤ情報(臨時列車運転情報)、カニという道楽〜ズワイガニと日本人の物語〜 広尾克子著 西日本出版社

写真:Frickrのリンク