2023年に通年で、1987〜1993年の間に運転開始されたドイツ・オーストリアを走るユーロシティの歴史を振り返りました。その参考にしたのが、Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegendenというドイツ語本であり、この続編がDie EuroCity-Zuege: Teil 2: 1993 bis 2020 として出版されています。そのため、引き続き私の後学、備忘を兼ねて原文訳を補足しながらまとめていきます。位置づけは前回に続き第2編となります。

 

第2編の14回目は、EC64/65列車を取り上げます。

EuroCity EC64/65
 

(この写真が参考文献に掲載されているわけではありません)

(以下本文を参照に日本語訳、一部表現、短縮名称等をブログ筆者で補足)

すでに第1巻で説明したように、2003年ダイヤ改正に伴うDB長距離列車ネットワークの再設計の一環として、2002年12月14日までウィーンとパリを結んでいたEC64/65 モーツァルト号は、翌日2002年12月15日からはEC68/69としてウィーン西駅〜ミュンヘン中央駅間に運転区間を短縮されている。これにより、旧モーツァルト号のミュンヘン中央駅〜パリ東駅間はEC64/65というユーロシティ列車に振り替えられ、同時に編成担当がDBに変更された。

 

東行EC64は、ミュンヘン中央駅着11:14のEC61(ストラスブール〜ミュンヘン中央駅)の折り返し列車として、ミュンヘン中央駅発12:44で、ミュンヘン〜ストラスブール間の他列車の同様に、ミュンヘン・パーシング駅、アウグスブルク中央駅、ウルム中央駅、ゲッピンゲン、プロヒンゲン、シュトゥットガルト中央駅(15:04着/15:08発)、ブルッフザール、カールスルーエ(15:49着/16:05発、DB-101型電気機関車からDB-181.2型電気機関車に交換)に途中停車する。カールスルーエでは加えて、基本編成に早朝にストラスブールから到着したEC61のSNCF編成(B10tu×2、B9ux、A4B6u、A9u)が増結された。その後、バーデン・バーデン、ケール、ストラスブール(17:01着/17:13発、機関車はSNCF-BB15000型またはB26000型電気機関車に交換)、ナンシーに途中停車し、終着パリ東駅には21:12到着。つまり、モーツァルト号の後任列車は約1時間早い時刻表位置を走ることになる。

 

対向列車西行EC65は、かつてのモーツァルト号は、パリ東駅発6:43と従来より約1時間早く出発。途中停車駅は、シャロン=アン=シャンパーニュ、ナンシー、ストラスブール(10:44着/10:57発)、ケール、バーデン・バーデン、カールスルーエ(11:53着/12:07発)、ブルッフザール、シュトゥットガルト中央駅(12:49着/12:53発)、プロヒンゲン、ゲッピンゲン、ウルム中央駅、アウクスブルク中央駅、ミュンヘン・パーシング駅を経由してミュンヘン中央駅着15:14。次のローテーション先はEC60(16:44発ストラスブール行)である。EC64/65の所要時間は、ミュンヘン〜パリ間でそれぞれ8時間28分と8時間31分で、表定速度は両方向とも108 km/hである。

 

ただし、2006年12月10日以降、EC64(ミュンヘン発12:40→パリ着21:23)は8時間43分、EC65(パリ発6:44→ミュンヘン着12:16)は8時間32分と以前よりも所要時間が延びて、表定速度もそれぞれ105km/hと107km/hにスピードダウン。

 

EC60/61とEC266/267同様に、EC64/65の編成も、2004年12月12日以降、ミュンヘン〜カールスルーエ間では、自転車積み込みスペース装備のある制御客車を連結することで、DB-101型電気機関車との「サンドイッチ運転」に変更された。カールスルーエ〜パリ間のSNCF編成もこの日から金と土のみ連結となり、2006年12月10日からは金のみ連結に変更された。

 

2005年12月11日には、EC64/65が含まれる共通運用のローテーションが変更された。EC64/65に加え、EC60/61、EC56/57、そしてフランクフルト〜ザールブリュッケン間のインターシティ列車IC2054/2055による新しい6日間での運用ローテーションが出来上がった。

 

LGV東ヨーロッパ線開通と、それに伴う(ミュンヘン〜)シュトゥットガルト〜ストラスブール〜パリ間の列車のTGVへの置き換えは、ミュンヘン〜パリ間のEC64/65にとって致命的だった(註:EC64/65は最終運転日は明記されていない。ThomasCookRailTimetableの2007年秋ではすでに消滅している。おそらく2007年6月9日までで、翌10日からはインターシティーに格下げされていると推察)。なお、2008年12月14日から2009年12月12日にかけて、EC64という列車番号が短期間ながらドイツ〜オーストリア間(ウィーン西駅発14:20→ミュンヘン中央駅着18:33)で再登場している。

 

 

  編成例(書籍内イラストから)

2002〜03年冬ダイヤ

コンパートメント客車(1等、2等、1・2等合造)、オープン座席車(1等、2等)、食堂車

ドイツとフランスの客車列車、カールスルーエでフランス編成を増解結

 
今回は以上です。

 

 

参考資料:

・Die EuroCity-Züge: Teil 2 1994-2020 /Jean-Pierre Malaspina, Martin Brandt

・Thomascook European Timetable/Thomascook

参考ページ:

Datenbank Fernverkehr (Database long-distance trains)

Harrys Bahnen

ページ内写真:Flickr(引用元は写真とセットで明記)