Eisenbahn Österreich誌の寄稿を参考に、2005年オーストリア連邦鉄道(ÖBB)ダイヤ改正とその影響に関する寄稿について日本語にまとめてみました。なお、原本はドイツ語のため、機械翻訳で日本語、または英語に変換し、当時の鉄道状況などを別に調査したうえで文章化しております。そのため原文との若干のニュアンスの齟齬があるかもしれません。また一部文章内に下線、太文字、黄色塗りでの補足、リンク先追加している箇所はブログ筆者の判断によるものです。
国際列車について
スイス(SBB)との接続
Bahn2000プロジェクトの第一段階によるSBBダイヤの大幅変更により、クーフシュタイン以西のEC160~165およびEN464~467の列車ダイヤに変更が生じる。また、アールベルク・トンネルの一部単線運行により、線路交換(離合による待ち合わせ)が発生する。EC160/161列車および162/163列車は、適切に連続列車制御装置を運用し200km/h走行可能。EC169チューリッヒ発7:40→フェルトキルヒ着9:14、EC168フェルトキルヒ発18:46→チューリッヒ着20:20、EC668/669との接続駅が変更された。440/441列車、442/443列車、448列車は、フェルトキルヒ〜ブッフス(ザンクト・ガレン州)間での運行を取りやめる。
(アールベルクトンネルを抜ける列車のイメージ写真、Frickrより)
ドイツとの接続
リンダウ〜ザンクト・マルグレーテン経由の運行は基本的に変更なし。EC192のみ2時間繰り下げたダイヤで運行。IC118はインスブルックから5分繰り下げて運行。ザルツブルクとパッサウを経由するユーロシティ/ICEには変更なし。タウエルン線経由のユーロシティ EC 110〜115は、ザルツブルク南駅、ハライン、ゴリング・アブテナウ、ウェルフェンに追加で停車するため、所要時間が10分延び、同区間で域内列車ザルツァッハ・スプリンターと入れ替わる形で等間隔運行ダイヤに組み込まれた。ICE108はインスブルック発時刻を10分繰り上げた。EN263(※オリエント急行)はパリ〜ミュルーズ間で客車増結するため2004年夏ダイヤから30分繰り上げたダイヤで運行されている。D296/297(※リシンスキ号)は異なる時刻表位置(236/237列車(※アレッジオ・ドン・ジョバンニ号)を併結)で運行され、D 1120/1121(ヴェルグル〜ドルトムント間)は運転取りやめ。D1198はヴェルグルから10分繰り上げたダイヤで運行する。ドイツのインターシティ91号線のザルツブルク発車時間が5分繰り上げで運行されるため、ÖBBインターシティ2号線との接続に問題が生じている。
(オリエント・エクスプレスの列車サボ(2015年)のイメージ写真、Frickrより)
チェコとの接続
ズンメラウ線での越境列車に関する変更はない。D273はプレガルテンを途中停車駅に加える。最大の変更はブジェツラフの接続で予定されている。680系振り子式(ペンドリーノ)電車は現在も未解決のままの技術的問題のため、2005年中どころか2006年も運用につかないだろう(※実際に国際列車の運用についたのは2006年12月、2007年ダイヤから)。その代替のため、機関車牽引列車による、より速度遅い列車によるダイヤが合意されなければならなかった。2004年7月29日現在、この時刻表は以下の通りである:
EC71 プラハ本駅発6:00 → ウィーン南駅着10:28
EC172(※ヴィンドボナ号) ウィーン南駅発11:08 → プラハ・ホレショヴィツェ駅(15:22着/15:31発) → ベルリン東駅(20:20着/20:27発) → ハンブルク・アルトナ駅着22:45
EC 173(※ヴィンドボナ号) ハンブルク・アルトナ駅発7:04 → ベルリン東駅(9:36着/9:42発) → プラハ・ホレショヴィツェ駅(14:23着/14:32発) → ウィーン南駅着19:04
EC70 ウィーン南駅発19:34 → プラハ本駅着23:55
EC73 プラハ本駅発8:00 → ウィーン南駅着12:28
EC72 ウィーン南駅発13:34 → プラハ本駅着17:55
EC75 プラハ本駅発12:00 → ウィーン南駅着16:28
EC74 ウィーン南駅発17:34 → プラハ本駅着21:55
EC137/77 プラハ本駅発18:00 → ウィーン南駅着22:28
EC76/136 ウィーン南駅発6:08 → プラハ本駅着10:32
ポーランド方面の列車202/203列車(※ショパン号)と330/331列車(ウィーンには従来より92分早く到着)は、は、ヴェネツィア発着列車と接続している。
(チェコ鉄道のペンドリーノ列車(680系)のイメージ写真、Frickrより)
スロヴァキアとの接続
スロヴァキア鉄道は、ウィーン・マイドリンク駅に停車するIC400〜405とザルツブルク方面列車との接続を強く要望した。最終的にはウィーン西駅発8:20/15:55/21:50、ウィーン西駅着7:01/12:10/20:08というダイヤ。ウィーン南駅時代と比較して、ウィーン・マイドリンク発着と変更後の所要時間は最大10分延びる。ブラチスラヴァ・ペトルジャルカ駅での停車時間が短縮される。ウィーン〜キエフ/リヴォフ(リヴィウ)間の客車は、ER2562としてマルヒェグ経由で運行される。
ハンガリーとの接続
列車の定時運行率を向上させるため、ヘゲシャロム〜ブダペスト間の全特急列車の所要時間が5分延びる。D268/269はアラド発着の客車を、D346/347はソフィア発着の客車をそれぞれ併結する。ウィーナー・ノイシュタット~ショプロン~ソンバトヘイ~ナジカニザを経由して運行される。
ウィーン~ペーチ間にインターシティ列車が新設される:IC981 ウィーン南駅発6:19→ペーチ着12:54、IC982 ペーチ発15:02 → ウィーン南着21:33。なお週末に限りはケストヘイ発着の客車を併結する。
スロヴェニアとの接続
グラーツ〜マリボル間は、IC153 グラーツ発7:21→マリボル着8:26、IC152 マリボル発21:40→グラーツ着22:46によって、マリボルでEC50/51 カサノヴァ号と接続可能に。その結果マリボル以遠はヴェネチア・サンタ・ルチア(VSL)駅までの接続が可能(VSL駅14:25着、15:44発)。グラーツ〜コペル間のインターシティ列車は運転取りやめ。EC158/159でスプリット発着のカートレイン(自動車運搬客車連結列車)が季節運行される。ドボヴァ駅(EU域外国境)での国境審査時間が延長されるため、西行列車はザグレブ出発時刻を5~10分繰り上げる。セルビア鉄道域内では、IC210/211(※サヴァ号:リュブリャナ〜ベオグラード間)がそれぞれ20分と6分スピードアップしている。EN240/241(※ヴェネチア号)の編成両数は7両となる。季節運行の1194/1195列車は、クラーゲンフルトの代わりにハンブルク〜リエカ間を運行する。
(スロヴェニア鉄道のペンドリーノ列車を使用するEC50/51 カサノヴァ号のイメージ写真、Frickrより)
イタリアとの接続
現在運行中のEC30/31(※ヨハン・シュトラウス号)は時間的にかなり不便なため、ウィーン〜ベネチア間をEC30/31と反対駅から運行される日中2本のユーロシティー列車(※EC32/33、ストラディヴァリ号)が、所要時間をEC30/31より約45分短縮し、途中停車駅もわずか(オーストリア国内ではブルク・アン・デル・ムーア、クラーゲンフルト、フィラッハのみ)となる:
EC31 ウィーン南駅発6:30 → ヴェネツィア・サンタ・ルチア駅着13:27
EC30 ヴェネツィア・サンタ・ルチア駅発14:51 → ウィーン南駅着21:47
EC33 ウィーン南駅発15:30 → ヴェネツィア・サンタ・ルチア駅着22:34
EC32 ヴェネツィア・サンタ・ルチア駅発6:42 → ウィーン南駅着13:52
D1236/1237はローマ発着のカートレイン列車として運行される。ブレンナー峠路線に実質的な変更はない。
(EC32/33 ストラディバリ号のイメージ写真、Frickrより)
オーストリア国内の長距離列車、地域内列車(サマリー)
※番号はオーストリア連邦鉄道の路線番号
100(Flughafen Wien - Wien - St. Pölten - Linz)
: レーゲンスブルク発着の特急列車ラド・トランペール号が運行される。116列車と562列車は、ウィーン〜ザルツブルク間の土曜日を除いて一本化される。(※おそらく自転車運搬列車)
112(St. Pölten - Traismauer - Tullnerfeld - Tulln - Wien Franz-Josefs-Bahnhof)
:トゥルンとヘルツォーゲンブルク間の所要時間が短縮。
113(St. Pölten Hbf - Traisen - Hainfeld / Lilienfeld - Schrambach)
: 時刻表にバスが含まれない。
140(Linz Hbf - Kirchdorf a.d. Krems - Selzthal)
: インターシティ列車 IC504/507の運転取りやめ。
141(Linz Hbf - Pregarten - Freistadt - Summerau)
: リンツ〜プレガルテン間の地域列車は平日のみ運行。日曜日と祝日の地域列車は各駅停車となり、所要時間が延びる。
250(Bischofshofen - Selzthal - Leoben)
: ショーバー峠のインターシティ列車は、トライベンとロッテンマンに停車するため所要時間が7分延びる。EC668/IC514の時刻表位置が交換される。
401(Bludenz - Feldkirch - Buchs/ St. Margrethen - Bregenz - Lindau)
: 866/867列車、868/869列車は運転取りやめ。
501(Wien - Mürzzuschlag - Bruck a. d. Mur - Graz)
: ブルック・アン・デル・ミュア〜グラーツ間のインターシティ列車はスプリンター(準急)と種別変更され、ミュルツツーシュラーク発着で運転される。月〜金は、午後の急行列車がグラーツ〜シュピエルフェルト間を運行。
513(Leobersdorf - Berndorf - Weissenbach-Neuhaus)
: ヴァイゼンバッハ〜ノイハウス〜カウムベルク〜ハインフェルト間の鉄道代替サービス。
520(Wiener Neustadt Hbf - Aspang - Friedberg - Hartberg - Fehring)
:一部列車のオーヴァーヴァルト・ショッピングセンター駅への延長運転
(オーヴァーヴァルト・ショッピングセンターのイメージ写真、Frickrより)
700(Wien - Bruck a.d. Leitha - Pamhagen/ Eisenstadt/ Györ)
: 所要時間の一部短縮。
701(Wien - Bruck a.d. Leitha - Kittsee - Bratislava-Petrzalka/Hegzeshalom)
:E7623によるウィーン南駅〜ブラチスラヴァ〜ペトルジャルカ間の夜間接続が新設。
711(Wien Südbf - Bratislava hl.st.)
: 深夜の接続 ER2568/2569は廃止され、ERの全列車は2~4分所要時間が延びる。
731(Bruck a.d. Leitha - Neusiedl am See - Pamhagen - Fertöszentmiklós )
: ゼーヴィンケル〜ウィーン間の所要時間が短縮される。
800(Wien Franz-Josefs-Bahnhof - Tulln - Sigmundsherberg - Gmünd - Ceské Velenice)
:ウィーンとグミュント(ニーダーエスターライヒ州)間の既存列車の一部を利用し、ウィーン〜チェスケー・ブディェヨヴィツェ(〜プルゼン)間の2つ列車が新設。
E2129 グミュント発19:17(毎日運転)
R2130 ウィーン・フランツ・ヨーゼフ駅発6:05 → グミュント着8:24(平日のみ)
E2134 ウィーン・フランツ・ヨーゼフ駅発6:32 → グミュント着8:29(土祝日のみ、チェスケー・ブディェヨヴィツェ、プルゼン行)
E2124 ウィーン・フランツ・ヨーゼフ駅18:23発 → グミュント着20:18(土祝日のみ)
E2131 (プルゼン、チェスケー・ブディェヨヴィツェからの列車)グミュント発21:23発 → ウィーン・フランツ・ヨーゼフ駅着23:35
810(Wien Franz-Josefs-Bahnhof - Tulln - Krems a.d. Donau)
:ヴァッハウ渓谷エリアでは、クレムス〜エメルスドルフ〜メルクの代行バスが運行される。
820(St. Pölten - Herzogenburg - Krems a.d. Donau - Hadersdorf am Kamp - Horn - Sigmundsherberg)
: ホルン〜ジグムンツシャーベルク間のバスが一部運行。
900(Gänserndorf - Wien Hütteldorf)
:S7列車が1時間1本、フロリッドドルフからレオポルダウを経由し、エルツェルツォーク 〜カールシュトラーセ(またはウィーン南駅)まで延長運転される。
901(Wien - Mistelbach)
:ウィーンSバーンの急行列車は、駅改修に伴うウィーン北駅の運転系統見直しのため、ウィーン西駅発着となる。
930(Wien - Gänserndorf - Hohenau - Břeclav/Marchegg)
:ゲンゼルンドルフ〜ブジェツラフ間の地域列車が加速される。ブルノへのER運行が計画されています。ゲンゼルンドルフ〜マルヒェッグ間の地域列車がブラチスラヴァ発着に延長される。これにより、マルヒェッグ〜ブラチスラヴァ間の本数はほぼ1時間1本となる。土曜日の午後には、ゲンゼルンドルフへの往復も可能になる。
940(Wien Nord - Absdorf-Hippersdorf/Znojmo)
:所要時間が若干短縮される。ズノイモ〜ウィーン間の最終列車は1時間繰り下げて運行される。ERはレオポルダウに停車するため、この駅の北端に分岐器設置が必要となっている。本稿以降に生じる変更、未確定情報については、その都度報告する。既存の「マジック・マウンテンズ」体験列車に加え、ÖBB-Nostalgie社は、ゲリヒツベルク、ヴァッハウ、ラド・トランパーの一部の列車を、トリエステシュタール、ヴァッハウ渓谷、シュトルーデンガウ、ドナウ川、ノイジードラーゼー、エンシュタールの体験列車として引き継ぐ予定である。鉄道代行バスは通常、鉄道時刻表に含まれるべきである。しかし少なくとも、対応するバスの時刻表の番号に言及する必要がある。
参考資料:Eisenbahn Österreich 10/2004 Vorschau auf den Reisezugfahrplan 2004/2005
写真:Frickrのリンク