2023年に通年で、1987〜1993年の間に運転開始されたドイツ・オーストリアを走るユーロシティの歴史を振り返りました。その参考にしたのが、Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegendenというドイツ語本であり、この続編がDie EuroCity-Zuege: Teil 2: 1993 bis 2020 として出版されています。そのため、引き続き私の後学、備忘を兼ねて原文訳を補足しながらまとめていきます。位置づけは前回に続き第2編となります。

 

第2編の5回目は、マックス・ラインハルト号を取り上げます。

なお、第1編でもこの列車を取り上げておりますので、そのページリンクを貼っておきます(なぜ、2回も取り上げるのかはちょっと謎です)。

 

EC Max Reinhardt

(以下本文を参照に日本語訳、一部表現、短縮名称等をブログ筆者で補足)

マックス・ラインハルト(元マキシミリアン・ゴールドマン、1873年~1943年)オーストリアの演劇・映画監督。演劇・映画監督、芸術監督、劇場プロデューサー、劇場創設者。

 

第1巻ですでに説明したように、1985年6月2日夏ダイヤで、ドイツ連邦鉄道(以下、DB)とオーストリア連邦鉄道(以下、ÖBB)は、D260/261 シュタッフス号によってオーストリアからミュンヘン間の移動可能な時間帯を拡大し(補足:D260がミュンヘン行始発列車、D261がウィーン行最終列車)、オーストリアからミュンヘンへの日帰り訪問の滞在時間拡大を可能にした。1987年5月31日シュタッフス号はEC66/67としてユーロシティに格上げされ、4010系電車が引き続き運用に就いた。1992年5月22日をもってEC166/167はシュタッフス号の名で運行され、1992年5月23日からEC16/17 マックス・ラインハルト号となり、運用される列車もDB客車編成に変更され、DB-103型、またはDB-120型電気機関車がミュンヘン以北を牽引し終着もミュンスターまで延長された(EC16 18:14発、EC17 10:44発)。ミュンヘン以降ミュンスターまでの途中停車駅は、アウグスブルク、ウルム、シュトゥットガルト、マンハイム、マインツ、コブレンツ、ボン、ケルン、デュッセルドルフ、エッセン、ゲルゼンキルヒェン、レックリングハウゼン。この大幅な延伸運転で、1日の走行距離は466kmから1237kmに増加。EC16はウィーン〜ミュンヘン間の従来の時刻表位置を維持するが、EC17はミュンヘン中央駅発車時間が約1時間繰り上げされた(18:25発、23:05着)。

所要時間は12時間14分(EC16)、12時間21分(EC17)で、表定速度はそれぞれ93km/hと92km/hである。

 

しかし、ドイツ国内のEC/ICネットワークに統合されたのも束の間、EC16/17は1994年5月29日に早くもかつての運行ルートであるウィーン〜ミュンヘン間に戻った。なおEC17は、前年に繰り上げられた時刻表位置を維持。1996年6月2日から、マックス・ラインハルト号は機関車牽引(ÖBB-1044型電気機関車)のÖBB客車編成(Amz、WRmz、Bmz、Bmpz、Bmpz)に変更され、所要時間が若干延び、表定速度は99km/hと制限速度の100km/h以内での運行となった(EC16:ウィーン発5:50、ミュンヘン着10:35/EC17:ミュンヘン発18:25、ウィーン着23:15)。1997年には、時速95キロと96キロに減速されている(1999/2000年ダイヤ: EC16 ウィーン西駅発5:45→ミュンヘン中央駅着10:36/EC17 ミュンヘン中央駅発18:25→ウィーン西駅着23:20)。

 

2002年12月14日マックス・ラインハルト号の名を持つEC17がミュンヘン中央駅を最後に発車。2002年12月15日からは列車名なしのEC116/117として運行され、EC117のミュンヘン出発時刻は更に繰り上げられ、ミュンヘン中央駅発17:25となった(ウィーン西駅着22:05)。2006年12月10日以降、EC 116/117は最終的にICE 116/117(DB/ÖBBプールからのICE-T車両を使用)に置き換えられ、2010年12月12日以降、運用車両がレイルジェット車両(RJ 260/261)へ切り替えが行われ今に至る。オーストリアの「レイルジェット」は現在、表定速度115km/hでウィーンとミュンヘンを約4時間で結んでいる。

 

 

  編成例(書籍内イラストから)

1993/94冬ダイヤ

コンパートメント客車(1等、2等)、オープン座席車(1等、2等)、食堂車

ドイツの客車列車、途中増解結なし

 

今回は以上です。

 

 

参考資料:

・Die EuroCity-Züge: Teil 2 1994-2020 /Jean-Pierre Malaspina, Martin Brandt

・Thomascook European Timetable/Thomascook

参考ページ:

Datenbank Fernverkehr (Database long-distance trains)

Harrys Bahnen

ページ内写真:Flickr(引用元は写真とセットで明記)