2023年に通年で、1987〜1993年の間に運転開始されたドイツ・オーストリアを走るユーロシティの歴史を振り返りました。その参考にしたのが、Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegendenというドイツ語本であり、この続編がDie EuroCity-Zuege: Teil 2: 1993 bis 2020 として出版されています。そのため、引き続き私の後学、備忘を兼ねて原文訳を補足しながらまとめていきます。位置づけは前回に続き第2編となります。

 

第2編の4回目は、ユーロシティ・エクスプレス(ECE)を取り上げます。

EuroCityExpress 

 

(以下本文を参照に日本語訳、一部表現、短縮名称等をブログ筆者で補足)

2017年12月10日より、フランクフルト〜ミラノ間のEC/ECE52/151によるユーロシティによる直通列車が久々に復活した。これにはいくつかの特徴がある: SBBの車体傾斜式電車(RABe 503)が、新設の長距離列車に投入。その中には「ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ」の愛称名を持つRABe 503.22編成も含まれており、運行される各都市のシルエットが装飾(またはカバー)されている。最新式電車を使用するため(また、収益最大化をねらってDBネットワークで高価とされるICE料金相応を徴収する)、この新型列車はDBネットワークでは通常のユーロシティとしてではなく、「ECE」という別種別で運行される。もうひとつの特徴は、ECE52/151が進行方向によって異なるルートを走ることだ。

 

EC/ECE52はレッチュベルク・ベーストンネルを通り、ストレーザ、ドモドッソーラ、ブリッヒ、ヴィスプ、シュピーツ、トゥーン、ベルン、オルテン、バーゼルSBB駅、バーゼル・バディッシャー駅、フライブルク・イム・ブライスガウ、カールスルーエ中央駅、マンハイム中央駅に乗り入れている。

 

一方、反対方向のEC/ECE151もDBネットワークではバーデン・バーデンに停車し、ルツェルン、アルト・ゴルダウ、ベリンツォーナ、ルガーノ、キアッソ、コモ・サン・ジョヴァンニとオルテンの南を抜けるルートが故に、ゴッタルド・ベーストンネルを通過するのだ。

 

往復で運行ルートも、総運行距離も異なる(レッチュベルク・ルート経由の距離は711km、ゴッタルド・ルート経由の総走行距離は687km)にもかかわらず、所要時間は7時間34分(南行)と7時間36分とほぼ同じで、表定速度はそれぞれ93km/hと90km/hだ。両方向とも、バーゼルSBB駅とベルン(EC/ECE52のみ)とルツェルン(EC/ECE 151のみ)で2回、進行方向を強いられる。フランクフルトとバーゼル・バディッシャー駅間のDB区間では、オッフェンブルク以北の線路容量増加に伴い、121 km/h (EC/ECE52)と、さらに大幅に高速化されている。

 

EC/ECE151はフランクフルト中央駅発8:01で、その後方向転換をバーゼルSBB駅で1回目(10:54着/11:03発)、ルツェルンで2回目(12:05着/12:18発)を行い、ミラノ中央駅着15:35。一方、EC/ECE52はミラノ発11:23で、ベルン(14:24着/14:36発)、バーゼルSBB駅を経由(方向転換)して終点フランクフルト中央駅着18:59。2つの異なるルートがあるため、このユーロシティ列車は、個々の列車が走行ルート上ですれ違うことがない唯一の列車である!

 

2019年12月15日より、EC/ECE151は新しい列車番号EC/ECE451に変更。その後コロナウィルスの流行により、2020年3月16日から2020年6月7日まで(EC/ECE52)、および2020年6月8日まで(EC/ECE451(※ブログ筆者:451という番号はERTはじめ各種DBでは2020/21ダイヤで151に戻っていることを確認。そのためこの記述は誤り))、両列車は運休となった。その後、マンハイム〜シュトゥットガルト間の高速線の改修工事とそれに伴う全線運休が生じた際は、高速線北区間(ザールバッハ分岐点まで)となるマンハイム〜バーゼル間では長距離列車も利用するため、所要時間を維持(延ばさない)するため、2020年10月31日まではバーデン・バーデンを通過となった。

 

※2024年1月現在も運行中。この出版時点でのECEはフランクフルト〜ミラノ間の1往復のみだったのが、2021/22ダイヤ改正からミュンヘン〜チューリッヒ間でも運転開始している。

 

 

  編成例(書籍内イラストから)

 

※書籍内に掲載ないため省略します

 

 

今回は以上です。

 

 

参考資料:

・Die EuroCity-Züge: Teil 2 1994-2020 /Jean-Pierre Malaspina, Martin Brandt

・Thomascook European Timetable/Thomascook

参考ページ:

Datenbank Fernverkehr (Database long-distance trains)

Harrys Bahnen

ページ内写真:Flickr(引用元は写真とセットで明記)