私のブログで、ドイツ、チェコとダイヤ改正の概要をまとめてきましたが、10月20日にウィーンで行われたオーストリア連邦鉄道の2024年ダイヤ改正と今後の見通しのプレゼンテーションが行われました。その内容がプレスリリースとして発表されていましたので、まとめてみました。

 

12月10日に2024年ダイヤ改正のダイジェストとして、

  • 今後数年間で330両の新型車両を投入
  • 約61億ユーロの新型・近代的列車への投資計画
  • ナイトジェットの増便と新路線開設
  • 国内線の地域間接続便の拡大

が挙げられます。こちらを踏まえて下記記事要約をご覧ください

 

 

今後投入される新型車両について

2019年比較で長距離便利用客が20%以上増加、過去最高を記録している現在、移動を更に快適にするため、新型車両への投資として2030年までに約61億ユーロが予定されています。

 

まず、直近2023年12月ダイヤ改正からは、新世代ナイトジェット車両が導入されます。その導入路線はウィーン・インスブルック〜ハンブルク間の予定。

 

 

昼行のレイルジェットにも新型車両が導入予定であり、2024年春からブレンナー線(ミュンヘン〜インスブルック〜ボルツァーノ〜ヴェローナ)が最初の導入路線となる見込み。2025年には、さらに新型27編成がオーストリアアルプス周辺の輸送用に投入されるとのこと。2026年には発注済の2階建レイルジェット14編成が投入され、座席数が大幅に増加予定。既存のレイルジェットも2024年からアコモ改造を予定されており、レイルジェット60編成すべての近代化が順次行われるとのこと。

 

 

また、地域間サービスにおいても2階建車両「シティジェット」47編成の製造に向けて約7億4300万ユーロが投資されます。現行運行中の編成と合わせると、計109編成が出揃います。そのほか、脱炭素社会を反映し、2028年からカンプタール線の気動車が、バッテリー駆動の新型車両16編成に置き換えられます。

 

 

拡大する夜行列車ネットワーク

2024年ダイヤ改正でのないとジェットの新路線開設や既存サービスの改善により、ヨーロッパの夜行列車ネットワークを拡大し続けます。

ベルリン〜パリ・ブリュッセル間のナイトジェット2路線を新設。当初は週3便で、2024年10月からは毎日運行予定:

・NJ 40424:ベルリン中央駅発20:18(月、水、金)〜パリ東駅着10:24/NJ 40469:パリ東駅発19:12(火、木、土)〜ベルリン中央駅着8:26 

・NJ 424: ベルリン中央駅発20:18(月、水、金)→ブリュッセル南駅着9:56/NJ 425: ブリュッセル南駅発19:03(火、木、土)→ベルリン中央駅着8:26

※2024年10月以降、ウィーン〜パリ(NJ 468/469)およびウィーン〜ブリュッセル(NJ 40468/40425)のナイトジェットが毎日運転予定

 

NJ 406/407が新経路で運転されます(ミュンヘン~ザルツブルク~リンツ~ウィーン~クラクフ~ワルシャワ)。将来的にはザルツブルクとリンツからポーランドの首都へ直行できるようになるとのこと。

・NJ 456/457 グラーツ〜ウィーン〜ベルリンの経由が現在のボフミーン、ブロツラフ経由からブジェツラフ、プラハ、ドレスデンとなり所要時間を短縮します。

 

鉄道と航空機との接続も改善し、具体的な内容は以下の通り

・ウィーン空港発0:02のリンツ行毎日運行の列車が新設

・ウィーン空港発21:33のグラーツ行毎日運行の深夜便が新設

・ウィーン空港発着のすべての直通レイルジェット(RJおよびRJX)がオーストリア航空のAIRailサービスに組み込まれます。

 

 

新しい国際長距離路線

・ICE (ICE94/95)  ウィーン〜ベルリン間の直行便が追加され、同都市間直行便による接続は1日5便体制(ICE・IC含む)となります。

・ICE1218/1211 インスブルック〜ミュンヘン〜シュトゥットガルト〜フランクフルト/マイン〜ベルリン間の運行本数が、従来の週2便から毎日運転に増便されます。

・ザルツブルグ〜ミュンヘン間にRJ268/1295が新設されます。ザルツブルグ発18時台の空白を埋めることになります。

・EC102/103 ウィーン〜クラクフ間の直通列車が新設。これにはウィーン〜ヴロツワフ間の直通車両を含みます。

・グラーツ〜シュピールフェルト間の3往復をマリボル(一部はリュブリャナまで)まで延長運転します。

・フィラッハ〜リュブリャナ間に直通列車6本新設。ファラッハからウィーンおよびザルツブルグ方面への接続改善を図ります。

・繁忙期、フィラッハ〜ミュンヘン間にEC1214/1215(土のみ運行)を新設。

・ミュンヘン〜ザルツブルク〜クラーゲンフルト間のタウエルン線に、ICE-4を2編成導入。おそらく既存ユーロシティとの置換と考えられます。

 

 

オーストリア国内の一貫した接続改善と拡大

・州都間の接続の改善

・ウィーン→ザルツブルクのRJX764が夕方に毎日運行

・グラーツ〜リンツ間の直通列車(D 502/601)新設

・RJ668とRJX663 従来の区間から変更され、インスブルック〜ブレゲンツ間の中長距離列車として運行される

・ウィーン〜フィラッハ〜リーエンツ間の直通列車を新設(IC 737/736)、朝夕のダイヤ調整、週末の増発など

・ウィーン〜ザルツブルク〜ツェル・アム・ゼー〜キッツビュール〜ヴェルグル間の週末の接続を改善

 

上記以外にも、

オーストリア東部地域では、ウィーン中央駅〜バーデン・バイ・ウィーン〜ウィーナー・ノイシュタット間に新しくシティージェットを導入、ウェストバーン国内線(ウィーン〜ザンクト・ペルテン間)の30分間隔運行、ウィーン・フランツヨーゼフ駅〜クレムス間のREX 4の増便などが実施されます。

 

チロル地域では、列車増便、運転区間延長、新設の夜間帯のSバーン、新しいダイヤ施行など、新しいコンセプトでの運行されます。

 

オーストリア南部地域では、ヴォルフスベルク〜ザンクト・パウル・イム・ラヴァントタール間のフィーダー線を含むコラルム線のケルンテン州区間が運行を開始し、所要時間の短縮、ヴォルフスベルク〜クラーゲンフルト間については週末も1時間1本の運行、ラッシュ時のREX接続の追加など、通勤客への改善もあります。また、2023年12月11日からは、ポストバスによるシャトル便がブライブルクで運行される。

 

以上がブログ筆者によるプレスリリースの解釈含む要約となります。現地情報に精通させている方からはお叱りを受ける内容があるかもしれません。奇譚のないご指摘お待ちしております(勉強させていただきます)。

 

本日は以上です。

 

参考にしたページは下記よりアクセス可能です

 

参考ページ:ÖBBプレスリリースページ

参考資料:European Railway Atlas、European Rail Timetable

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