Thomascook European Timetable 1993年秋冬号(日本語解説版)号の NewsLines のまとめです。

ブログ筆者の研究用のデータベースの公開という位置づけです。ご興味あればご参照ください。

 

※日本語版からの転記なので、原文ママとなりますが、地名、列車名、都市名については、私のブログで平時使用している表現に修正している箇所があります。あらかじめご承知おきください。

 


 

 本号は、9月26日から開始される冬ダイヤを掲載している。ただし、イギリス国鉄については、10月3日より有効となる。ポルトガルとポーランドの情報は、SER本号の校了時に間に合わなかったので、現地でご確認ください。

 

 本号に載せられたほとんどの時刻表は1994年5月28日まで有効だ。これまで独自の有効期間を採用していたイギリス国鉄も、はじめてヨーロッパの標準にあわせることになった。ただしスウェーデンだけは例外で、ダイヤは1月8日まで有効となる。本号の時刻表の多くは、とりわけフランス国鉄に関しては、予告から情報を得たもので、各国の最終的な時刻表が印刷される前に、なんらかの変更が生じた可能性はおおいにある。読者の方々は、最新情報を掲載した時刻表を定期講読されることをおすすめする。

 

 ヨーロッパ大陸の各国は、9月26日に時計を1時間遅らせるが、イギリスとアイルランドについては、10月23日まで引き続き夏時間が実施される。この間、イギリスのボートトレインは、時刻を補正するため、1時間遅く運転する。国際列車の時刻表を参照のこと。国際列車に関するその他の変更事項としては、パリ、オステンドから、ワルシャワ、モスクワに向かう東西急行(オスト・ウエスト・エクスプレス)が、冬の間週3便のみ運転するようになったことが挙げられる。スペイン国鉄もまた、クリスマスと復活祭のシーズンを除く10月中旬〜5月下旬に、バルセロナーチューリッヒ間を結ぶタルゴ列車によるパブロ・カサルス号を週3便のみ運転することに決定した。カレー〜メッス間を結ぶ便も冬の間は運休するため、ロンドン~イタリア間を結ぶ乗客は、パリ経由、もしくはオステンドとブリュッセル経由としなければならなくなる。

 

 フランスに関連する変更事項の多くは、今年夏の時刻表からアラスまで運転を開始したTGV北方路線NordEuropeに関するもので、9月26日より直通運転区間がリールまで延長されている。これによって、パリ〜リール間が1時間ほどで結ばれるようになった(Table110参照)。また、Hazebrouck〜カレー間の電化工事が終了し、TGVがはじめてカレーに乗り入れた(往路復路とも1本。Table108参照)。このTGVはリール・フランドル駅のみに停車し、従来アミアン経由の列車が所要3時間以上だったのに対して、2時間以内で結ぶようになった。パリ〜ダンケルク間を結ぶ2本の列車も、リール・フランドル経由となり、そのうち1本はコンプレに停車する。

 

 氷河急行(Table320)とスイス南東部の関連列車の夏ダイヤは10月24日まで有効だ。冬の時刻表(Table320)は、別途508ページに載っており、10月25日~5月13日のダイヤを示している。この間、氷河急行は、往路復路とも1本のみ運転するようになる。

 

 イタリアでは、ダイヤの変更はほとんどみられない。ただ、ETR450ペンドリーノ列車の多くが、これまで1等車のみだったのが、2等車も連結すると発表された。また、ローマ・オスティエンセ駅〜空港間(Table394a)を結ぶ列車に加えて、1月1日よりローマ・テルミ二駅〜空港を結ぶ便も運行するようになる。新しい連絡線は、1等車のみの編成で、8:55~18:55の間、ローマ・テルミニ駅を1時間おきに発車する。

 

 フィンランドの時刻表は、12月31日より変更される可能性がある。ここ数ヵ月の間、KouvolaとKotka間(Table493)を結ぶ列車の将来が危ぶまれていたが、年内は営業することに決定した。1月1日以降廃止されるかどうかは、まだ議決されていない。

 

 10月3日より実施されるイギリス国鉄の時刻表は、地域内路線で多くが日曜ダイヤに削減されたことを含め、いつものように多くの変更事項がみられる。Arleyトンネルの再開は、早くとも12月まで延期され、その結果、イースト・アングリアからバーミンガムに向かう(Table581)乗客は、引き続きコベントリー経由で、多くの場合列車を乗り換えなければならない。また冬の間、土曜の夜は、寝台車は運転しない。

 

 クシェットのコンパートメントは、従来男女が分けられることはなかったが、今年よりドイツのいくつかの列車で、画期的な女性専用のコンパートメントが導入された。この列車のなかには、ハンブルク~インスブルック、オーバーストドルフ、シュトゥットガルト間、ミュンヘン〜ベルリン、コンスタンツェ、シュトゥットガルト〜ドルトムント間、そしてボンケルン、ベルリン、ドレスデン間を結ぶ便が含まれる。

 

 エストニアにおける変更事項としては、ターリン〜リガ間を結ぶ夜行便と、ターリン〜モスクワ間を結ぶ夜行列車のうちの1本が廃止されたことが挙げられる。9月26日以降、ほかにも変更が生じた可能性はあるが、校了時にはっきりとした情報は得られなかった。

 

 1994年5月6日は、イギリスとフランスを結ぶ海峡トンネルが正式にオープンする日と定められている。しかしながら、「ユーロスター」の乗客輸送サービスがいつ開始されるか、はっきりとした日取りは発表されていない。実際に始まれば、当初は、ロンドン(ウォータールー国際駅)〜パリ(北駅)間を3時間で結ぶ線と、ロンドン〜ブリュッセル間を3時間10分で結ぶ線がそのルートとなるだろう。また、フォークストン〜カレー間で、乗用車ならびにトラックを運搬するシャトル便が、別に運転する。このシャトル便はユーロトンネルによって運行され、「ル・シャトル」と名付けられる。イギリスのその他の町からの夜行便ならびに直通列車については、1995年中に導入される予定。事前の情報が入り次第、お伝えしていく。

 

以上