1987年からTEEの後継としてはじまったユーロシティの歴史を振り返っていく企画を立ち上げました。ドイツから取り寄せた、Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegendenの翻訳を通じて、ユーロシティーの一端を知る、文字通り「備忘録」としたいと思います。

 

まとめの対象ですが、前述の書籍内では1987〜1993年の間に運転開始されたユーロシティを扱っており、その中の列車名ごとに歴史や仕様がまとめられているページとします。書籍の紹介順に倣って、34回目は、フーゴ・フォン・ホーフマンスタールを取り上げます。

EC Hugo von Hofmannsthal

(以下原文訳、一部表現、短縮名称等をブログ筆者で補足)

フーゴ・ラウレンツ・アウグスト・ホーフマン、エドラー・フォン・ホーフマンスタール(フーゴ・フォン・ホフマンスタールと呼ばれる、オーストリアの作家、劇作家、作詞家、リブレティスト。ザルツブルク音楽祭の共同創設者。

 

フーゴ・フォン・ホフマンシュタール号の名を持つユーロシティ EC110/111は、1991年6月2日からバーデン・ヴュルテンベルク州の州都シュトゥットガルトとオーストリア・カリンシア州々都クラーゲンフルトを結ぶ。DB(ドイツ鉄道)車両で構成され、ハンブルク所属の103型電気機関車に牽引される南行EC111は、シュトゥットガルト発6:00で、ドイツ内では他に、プロヒンゲン、ウルム中央駅、アウグスブルク中央駅、ミュンヘン・パーシング駅と途中停車し、ミュンヘン中央駅(8:13着/8:25発)でÖBB(オーストリア国鉄)1044型電気機関車がフーゴ・フォン・ホフマンシュタール号を牽引を引き継ぎ、ザルツブルク中央駅経由で、ビショフスホーフェン着10:41。ここで、編成後部に繋がれていたグラーツ中央駅行の3両客車は、連結を解かれてD810で旅を続けた。ビショフスホーフェン以降もタウエルン鉄道を経由で南下を続けて、シュヴァルツァッハ・シュタット・ヴァイト、バート・ホフガシュタイン、バードガシュタイン、マルニッツ・オーバーフィラッハ(タウエルントンネル通過後)、スピッタール、フィラッハ中央駅着12:49、その2分後にはフェルデン・アム・ヴェルターゼ、ペルツシャッハ、クルムペンドルフ経由で終着のクラーゲンフルト中央駅着13:22。このため、EC111の所要時間は614kmで7時間22分(表定速度83km/h)である。対向列車の北行EC110はクラーゲンフルト発14:34でシュトゥットガルト着22:12の運行時刻で、ビショフスホーフェン駅より複雑な併結作業を行うため、反対方向と比較して17分長かった。1992年夏ダイヤからEC110は8分スピードアップされ(シュトゥットガルト着22:04)となるが、1993年5月23日からインターシティに格下げ(運行ダイヤはそのまま)。1994年夏ダイヤフーゴ・フォン・ホフマンシュタール号はダイヤから消えた。

 

1996年6月2日には、文字通り不死鳥のようにインターシティ、かつ新しい列車番号(IC190/191)、新しいルート(ミュンヘン中央駅 〜ウィーン南駅)で復活(!)。実際、ÖBB客車で構成された新しいフーゴ・フォン・ホフマンシュタール号は、バイエルンとオーストリアの大都市をリンツ経由による直通ルートではなく、タウエルンとゼメリング両鉄道を経由する715kmの迂回ルートで結び、途中停車駅はザルツブルク、フィラッハ、クラーゲンフルト、ブルック・アン・デア・ムーアであった。

 

2000年5月28日夏ダイヤから、フーゴ・フォン・ホフマンシュタール号はユーロシティ(EC190/191)としてヨーロッパ鉄道のダイヤに復帰。また、クラーゲンフルト中央駅〜ミュンヘン中央駅間373kmでは、ミュンヘン〜フィラッハ間のベオグラード発着の客車3両(ユーゴスラビア国鉄の1等客車1両、ÖBBの2等客車2両)を併結し、IC290/291 としてフィラッハ以南を走るが、残りはDB車両だった。EC190/191に必要な編成は1日往復での運用(EC191:ミュンヘン中央駅7:25発→フィラッハ着11:49(IC291と車両交換)、クラーゲンフルト着12:22/EC190:クラーゲンフルト発17:26→ミュンヘン中央駅着22:34)。所要時間は4時間57分、5時間08分で、それぞれ75km/h、73km/hの表定速度を実現した。

 

2002年12月15日より、フーゴ・フォン・ホフマンシュタール号は、他の多くのユーロシティと同様に、その名前を失うが、元の列車番号EC110/111に戻り、時刻表の位置は変わっていない。ÖBBは現在、クラーゲンフルト〜ミュンヘン間での運行に必要な編成を供給している。

 

 

  編成例(書籍内イラストから)

1991年夏ダイヤ 

コンパートメント車(1等・2等)、2等オープン座席車(2等)、

半室食堂車、ビショフスホーフェンで増解結。ドイツの車両のみ。

 

今回は以上です。

 

参考資料:

・Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegenden /Jean-Pierre Malaspina, Manfred Meyer, Martin Brandt

・Thomascook European Timetable/Thomascook

参考ページ:

Datenbank Fernverkehr (Database long-distance trains)

Harrys Bahnen

ページ内写真:Flickr(引用元は写真とセットで明記)