「日本のイベントと臨時列車(80、90年代)」をひたすら取り上げてみようという長期企画です。手元の時刻表はもとより、当時の鉄道ダイヤ情報やインターネット上の情報を参照しつつまとめてみました。

 

第24回目もひきつづき、青森県青森市で毎年8月上旬に開催されている青森ねぶた祭りに関する臨時列車の運転履歴を追っていきます。22回目、23回目は優等列車を取り扱いましたが、24回目は青森発着の普通列車による臨時列車について、80年代から90年代までの20年間を振り返ります。

 

夏の青森では、青森市内のねぶた祭りの他にも、

・弘前ねぷた祭り

・八戸三社大祭

・五所川原立佞武多(たちねぷた)

と、歴史を有する夏祭りがほぼ同時期に行われているのですが、今回は青森ねぶた祭り用と判断した列車を中心に取り上げます。

 

列車名では、青森ねぶた号が奥羽本線の臨時列車に、ねぶたまつり号が東北本線の臨時列車につけられ、その亜流で青森ねぶた盛岡号、青森ねぶた八戸号という列車も存在しています。

 

 

  お祭り、催事の概要

青森ねぶた祭り

会 期

毎年8月2〜7日

会 場 青森市内(最寄駅:青森駅)
お祭り、催事の概要

祭りのメインである山車をねぶた(ねぷた)と呼ぶそうですが、それに続いて「ハネト」と呼ばれる踊り子たちが掛け声を上げながら踊り歩くのが祭りのハイライト。ねぶたはねぶた師がここのテーマによって作成するもので、その絢爛豪華な様を観るために全国各地から観光客が集まります。言わずもがな東北三大祭りのひとつであり、1980年に国の重要無形民俗文化財に指定。

 

  臨時列車の運行概要

 

青森ねぶた祭りの臨時列車(1980〜99年)

 

優等列車による臨時列車ほどに華はないものの、民営化直前より運転履歴を確認することができます。

運転区間を大別すると、東北本線方面では八戸行が、奥羽本線方面では弘前行が基本として設定されており、年によって遠くは盛岡、大館まで足を延ばす列車も確認できています。

 

1980

 当該月の時刻表で掲載確認できず(8月号)

1981

 当該月の時刻表で掲載確認できず(8月号)

1982

 当該月の時刻表で掲載確認できず(8月号)

1983

 当該月の時刻表で掲載確認できず(8月号)

1984

 当該月の時刻表で掲載確認できず(8月号)

1985

 普通列車 青森→弘前 2本(8/3〜6) ※各駅停車

      青森→八戸 2本(8/3〜6)、1本(8/1〜7)※一部通過あり

 

1986

 当該月の時刻表で掲載確認できず(7月号)

1987

 普通 JRねぶた号 青森→八戸 1本(8/2〜7) ※電車列車、各駅停車

 

 普通 ねぶた津軽号 弘前〜青森 1本 ※客車列車、各駅停車

 

 普通 青森→八戸 1本(8/2〜7)  ※客車列車、各駅停車

 

1988

 普通 青森→弘前 1本(7/30〜8/7)、1本(7/30〜8/6)

  青森→大館 1本(7/30〜8/6)

  一部通過、使用車両はディーゼル、客車列車

 

1989

 普通 ねぶたまつり号 

  八戸→青森 1号 1本(8/2〜6)

  青森→八戸 2、4号 2本(8/2〜6)

  青森→野辺地 6号 1本(8/2〜7)

  各駅停車、使用車両は客車、電車、ディーゼル列車

 

 普通 青森ねぶた号 

  青森→弘前 1本(8/2〜6)、1本(8/2〜7)

  青森→碇ヶ関 1本(8/2〜7)

  一部通過、使用車両は電車、客車列車

 

 普通 青森→三厩 1本(8/2〜7)

  各駅停車、ディーゼル列車

 

1990

 普通 ねぶたまつり号 

  八戸→青森 1号 1本(8/2〜6)

  青森→八戸 2、4号 2本(8/2〜6)

  青森→野辺地 6号 1本(8/2〜7)

  各駅停車、使用車両は客車、電車、ディーゼル列車

 

 普通 青森ねぶた号 

  青森→弘前 4号 1本(8/2〜6)、2号 1本(8/2〜7)

  青森→大館 6号 1本(8/2〜6)

  一部通過、使用車両はディーゼル、客車列車

 

 普通 青森→三厩 1本(8/2〜7)

  各駅停車、ディーゼル列車

 

1991

 普通 ねぶたまつり号 

  八戸→青森 1号 1本(8/2〜6)

  青森→八戸 2、4号 2本(8/2〜6)

  青森→野辺地 6号 1本(8/2〜7)

  各駅停車、使用車両は客車、電車、ディーゼル列車

 

 普通 青森ねぶた号 

  青森→弘前 2号 1本(8/2〜6)

  青森→大館 4号 1本(8/2〜6)

  一部通過、使用車両はディーゼル、客車列車

 

 普通 青森→三厩 1本(8/2〜7)

  各駅停車、ディーゼル列車

 

1992

 普通 ねぶたまつり号 

  八戸→青森 1号(8/2〜7)

  青森→八戸 2号(8/2〜7)、4号(8/2〜6)

  青森→野辺地 6号(8/2〜7)

  各駅停車、使用車両は客車、電車、ディーゼル列車

 

 普通 青森ねぶた号 

  青森→弘前 2号 1本(8/2〜7)

  青森→大館 4号 1本(8/2〜7)

  一部通過、使用車両はディーゼル、客車列車

 

 普通 青森→三厩 1本(8/2〜7)

  各駅停車、ディーゼル列車

 

1993

 普通 ねぶたまつり号 

  八戸→青森 1号(8/3〜7)

  青森→八戸 2号(8/3〜7)

  青森→野辺地 4号(8/2〜6)、6号(8/5、6)

  各駅停車、使用車両は客車、電車、ディーゼル列車

 

 普通 青森ねぶた号 

  青森→弘前 2号 1本(8/2〜7)

  青森→大館 4号 1本(8/2〜7)

  一部通過、使用車両はディーゼル、客車列車

 

 普通 青森→三厩 1本(8/5、6)

  各駅停車、ディーゼル列車

    

1994

 普通 ねぶたまつり号 

  八戸〜青森 1、2号(8/3〜7)

  青森→野辺地 4号(8/5、6)、6号(8/5、6)

  各駅停車、使用車両は客車、電車、ディーゼル列車

 

 普通 青森ねぶた盛岡号

  9546M 青森発21:11 → 盛岡着23:59(8/4〜6)

 

 普通 青森ねぶた号 

  弘前→大館 2号(8/2〜7)

  青森→弘前 4号(8/2〜7)

  一部通過、使用車両は電車列車

 

1995

 普通 ねぶたまつり号 

  八戸〜青森 1、2号(8/3〜7)

  青森→野辺地 4号(8/2、3)、6号(8/5、6)

  各駅停車、使用車両は客車、電車、ディーゼル列車

 

 普通 青森ねぶた盛岡号

  9542M 青森発21:25 → 盛岡着23:59(8/4〜6)

 

 普通 青森ねぶた号 

  青森→弘前 2号(8/2〜7)

  一部通過、使用車両は電車列車

 

1996

 普通 ねぶたまつり号 

  八戸〜青森 1、4号(8/3〜7)

  青森→野辺地 2号(8/2、3)、6号(8/5、6)

  使用車両は客車、電車、ディーゼル列車

 

 普通 青森ねぶた盛岡号

  9540M 青森発21:25 → 盛岡着23:59(8/4〜6)

 

 普通 青森ねぶた号 

  青森→弘前 2号(8/2〜7)

  使用車両は電車列車

 

1997

 普通 ねぶたまつり号 

  八戸〜青森 1、4号(8/3〜7)

  青森→野辺地 2号(8/4〜6)、6号(8/2〜6)

  使用車両は客車、電車、ディーゼル列車

 

 普通 青森ねぶた八戸号

  青森→八戸(8/2、3)

  使用車両は電車

 

 普通 青森ねぶた号 

  青森→弘前 2号(8/2〜7)

  使用列車は電車列車

 

1998

 普通 ねぶたまつり号 

  八戸〜青森 1、4号(8/3〜7)

  青森→野辺地 2号(8/4〜6)、6号(8/2〜6)

  使用車両は客車、電車、ディーゼル列車

 

 普通 青森ねぶた八戸号

  青森→八戸(8/2、3) ※使用車両は電車

 

 普通 青森ねぶた号 

  青森→弘前 2号(8/2〜7)

  使用列車は電車列車

 

1999

 普通 ねぶたまつり号 

  野辺地〜青森 1、6号(8/2〜6)

  青森→八戸 2号(8/2〜6)

  青森→弘前 4号(8/2〜7)

  使用車両は客車、電車、ディーゼル列車

 

※1979年以前、および2000年以降の調査は行っておりません。
 

 

  使用された車両について(推察含む)

 

今回形式写真が確認できた列車がなく、推察のかたまりとなって恐縮です。手元にあるJR化直後の書籍から、青森周辺で稼働していた定期の普通列車の形式を洗い出してみました。
 
ディーゼル列車 所属不明ながらキハ40系が大勢を占めていたと推察
客車列車 盛岡車両センター所属と思われる12系、50系客車が大半だったのでは?
電車列車 現在は701系が活躍しているのですが、これは秋田に1993年の登場しており、青森でのデビュー年までは詳細に追えていません。また、民営化前後は電車による普通列車はほぼなかったとようです。なお、長駆となる青森ねぶた盛岡号でも701系が運用についていたのでしょうか。謎は深まるばかりです。
 
 

  当時の時刻表紙面での臨時列車

 1987年8月号、東北本線紙面から。この年の列車名がなかなか特徴的なので、取り上げました。なぜか「JR」の冠が付いたJRねぶた号という、実態は何ら一般的な臨時列車がありました。列車名はないものの、ねぶた祭り期間中のみの設定された八戸行の客車列車の臨時列車も確認できます。

 ご覧の通りねぶた祭り期間中には、ここで取り上げた臨時列車以外にも、定期優等列車の増発便など、大変多くの臨時列車が設定されていました。最晩年の青函連絡船も同様に臨時便の存在が確認できますね。翌年青函トンネルが開通しますので、北海道・本州間連絡の顔ぶれもガラリと変わってしまいます。

交通公社の時刻表 1987年8月号より

 

本日は以上です。

 

まとめページはこちらから

 

参考資料 1980年〜1999年の交通公社時刻表、JTB時刻表、JR時刻表

参考ページ:青森ねぶた、国鉄50系客車(ともにWikipedia)