1987年からTEEの後継としてはじまったユーロシティの歴史を振り返っていく企画を立ち上げました。ドイツから取り寄せた、Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegendenの翻訳を通じて、ユーロシティーの一端を知る、文字通り「備忘録」としたいと思います。

 

まとめの対象ですが、前述の書籍内では1987〜1993年の間に運転開始されたユーロシティを扱っており、その中の列車名ごとに歴史や仕様がまとめられているページとします。書籍の紹介順に倣って、18回目は、トゥーナーゼー号を取り上げます。

 

(以下原文訳、一部短縮名称等をブログ筆者で補足)

トゥーン湖 ベルナーオーバーラントにある約48km²の高山湖

 

1991年6月2日ダイヤ改正で新設されたユーロシティ EC108/109 トゥーナーゼー号は、ベルリンとスイスの都市を結ぶ最初のユーロシティの一つだった。EC108はインターラーケン〜ベルリン間だが、EC109のみ始発駅がブラウンシュヴァイク中央駅となった。

 

ドイツ鉄道(以下、DB)編成とベルン・レッチベルク・シンプロン鉄道(BLS)のBLS-Re 4/4形電気機関車に牽引される北行EC108は、インターラーケン東駅発6:39、同西駅を経由し、その名の通りトゥーン湖沿いにシュピーツ、トゥーンを経て、まずスイス連邦の首都ベルン中央駅(7:38着/7:48発、SBB-Re 4/4 II型電気機関車に機関車交換、方向転換)、オルテン経由でバーゼルSBB駅(8:59着/9:15発)、その後DBネットワークでは、バーゼル・バディッシャー駅、フライブルク、バーデンバーデン、カールスルーエ、マンハイム、マインツ、コブレンツ、ボン、ケルン、デュッセルドルフ、デュイスブルク、エッセン、ボーフム、ドルトムント、ハム、ビーレフェルト、ハノーバー、ブラウンシュバイク(17:35着/17:47、DR(旧東ドイツ国鉄)-132型ディーゼル機関車に交換)、マグデブルク、ポツダム、ベルリン・ツォー駅着20:51、ベルリン・フリードリヒ通り駅着21:03、で終着ベルリン中央駅(旧ベルリン東駅)着21:17。インターラーケン東駅とベルリン中央駅間の走行距離は1,297km、所要時間はEC 108で14時間38分、表定速度89km/hで結ばれた。

 

トゥナーゼー号の編成は下記の列車との共通運用に加わっており、そのローテーション内容は下記の通り。

IC501 ハインリヒ・デル・レーヴェ号(ベルリン〜バーゼルSBB駅)として、ベルリン発6:45。バーゼル着18:45、30分の折り返し時間を経てIC 570 ブライスガウ号としてバーゼル発19:15、フランクフルト中央駅着22:17。翌日、同じことが対向列車でも繰り返される(IC 571 ブライスガウ号 フランクフルト中央駅 - バーゼルSBB駅/IC 500 ハインリヒ・デル・レーヴェ号 バーゼルSBB駅 - ブラウンシュヴァイク中央駅)。

ローテーション4日目となるEC109はブラウンシュヴァイク発11:20からバーゼルSBB(19:45着/20:01発)、ベルン(21:12着/21:28発)を経てインターラーケン東駅着22:23で戻った。EC109は表定速度96km/hに達する(走行距離1,065km、所要時間11時間03分)。

 

次のダイヤダイヤ改正となる1992年では、EC108はブラウンシュヴァイク→ベルリン間で10分スピードアップされ、1993年5月23日からはEC109がベルリン始発で2時間繰り上げて発車し(ベルリン中央駅発6:32→インターラーケン東駅着20:21)、EC108は運行時刻を3時間繰り下げられた(インターラーケン東駅発9:39→ベルリン中央駅着23:31)。ベルリンまでの電化工事が完了したため、全線DB-103型電気機関車牽引での運行となった。 もちろん、所要時間にも好影響を与えている。EC108/109はの所要時間は全行程でそれぞれ13時間52分、13時間49分で、表定速度は両方向で94km/hに上昇。トゥナーゼー号は現在、IC504/505  カイザーシュトゥール号と4日間交代で使用された(EC108 インターラーケン東駅→ベルリン中央駅/IC505 ベルリン中央駅→バーゼルSBB駅/IC504 バーゼル・バディッシャー駅→ベルリン中央駅/EC109 ベルリン中央駅→インターラーケン東駅)。

 

1994年5月29日から1995年5月27日までのユーロシティとしてのトゥナーゼー号の最期の期間、ベルリンSバーンの改修が始まったため、ベルリン・ツォー駅発着のみとなり、所要時間が短縮された(EC108: インターラーケン東駅発9:39→ベルリン・ツォー駅着 22:54/EC109 ベルリン・ツォー駅発7:07→インターラーケン東駅着20:21)。両方向とも、表定速度は97km/hまで上昇。このときEC108/109は、IC502/503 マルク・ブランデンブルク号と共通運用した。1995年5月28日より、トゥナーゼー号はICE1形電車(ICE72/73)に切り替えられた。インターラーケン東駅〜ベルリン・ツォー駅間は、フランクフルト中央駅と、フルダとハノーファー直前のソルサム連絡線の間でビュルツブルク・ハノーファー高速線を経由するようになった。この運行経路変更により、全体の所要時間はそれぞれ10時間31分と10時間28分に短縮され、非常に良い効果が得られた。2004年12月12日の時刻表変更より、ICE72/73は無名チューリッヒ中央駅発着列車となり、2015年12月13日よりクール発着としてSBBネットワークで運行された。

 

 

  編成例(書籍内イラストから)

1991年夏ダイヤ 

コンパートメント車(1等・2等)、オープン座席車(1等・2等)、

食堂車連結、途中での増解結なし。ドイツの車両のみ。

 

今回は以上です。

 

参考資料:

・Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegenden /Jean-Pierre Malaspina, Manfred Meyer, Martin Brandt

・Thomascook European Timetable/Thomascook

参考ページ:

Datenbank Fernverkehr (Database long-distance trains)

Harrys Bahnen

ページ内写真:Flickr(引用元は写真とセットで明記)