始発・終着が同じとなる「循環・環状で運転された臨時列車」を取り上げる企画。

環状、循環の厳密な定義は設けていませんが、同一駅に戻ってくるという点を軸に全国津々浦々で活躍した列車を、手元の時刻表から追ってみたいと思います。

 

25回目は、お隣の国、大韓民国から。たまたま検索でヒットしたのが、O-Trainという循環列車です。季節運転ということで無理やりこのコーナーに押し込みました。

 

O-Trainとは、中部内陸循環列車とも呼ばれ、韓国北部の江原道(カンウォンド)と慶尚北道(キョンサンブクド)にまたがる渓谷地帯を巡る観光列車として2013年に運行開始。列車名は「O(オー)」は、文字の形からイメージできる「循環」いう意味と、内陸エリアの繋がりをつくる(一つにまとめる)という意味で英語のOne(ワン)という、ダブルミーニングでつけられています。

 

 車両はヌリロと呼ばれる200000系を観光列車に改造したもので、運賃はグリーン車相当ながら、多数の利用があったようです。幾度か運転経路を変更しつつ、2020年まで残っていますが、今回のテーマである【循環運転】であったのは、そのうち1年あまりだったようですので、まさに備忘として取り上げます。

 

なお今回は、下記韓国語サイトに掲載された情報を中心に構成しました。サイト内には車両内装の写真も少しあります。

 

 

  循環臨時列車の運行概要 

 

中部内陸循環列車(중부내륙순환열차) 

起終点駅と経由線 ソウル 中央線、太白線、嶺東線
スウォン(水原) 京釜線、忠北線、中央線、太白線、嶺東線 
いづれも途中駅チェチョン(堤川)からの時計回り、反時計回りとなる
使用車両

200000系電車のアコモ改造車 ※2万ではないです。20万系です。

ACROFAN, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons

備 考

2014年8月18日に太白線列車衝突事故発生。以降は循環形式での運行は行われていない模様

 

以下、年度ごとの運転区間、編成など

列車番号は別れていますが、すべて一連の中部内陸循環列車として、ソウル、スウォンを起点・終点として運転されています。

2013

※4月12日〜? 

 ソウル → チェチョン、テベク(太白)、ヨンジュ(栄州)→チェチョン

 ソウル → チェチョン、ヨンジュ、テベク→チェチョン

 列車名等詳細不明ながら、下記ルートで2本の列車が運行されている模様(時計回り、反時計回りがぞれぞれ運行)

 

 

【5月15〜31日の毎日】

 4851列車 ソウル発7:45 → チェチョン、太白(テベク)、ヨンジュ(栄州)→チェチョン着14:49 ※時計回り

 4853列車 スウォン発7:40 → チェチョン、ヨンジュ、テベク→チェチョン着14:46 ※反時計回り

 4852列車 チェチョン発15:03 → ヨンジュ、テベク、チェチョン →スウォン着22:14 ※反時計回り

 4854列車 チェチョン発15:03 → ヨンジュ、テベク、チェチョン →ソウル着22:05 ※反時計回り

 ※4852、4854列車は、チェチョン→チェチョン(周回中)は2編成併結で運行されていた模様

 

 

【6月1〜30日の毎日】※ただし、4853、4854列車:スウォン〜チェチョン間は一部日程のみ

 4851列車 ソウル発7:45 → チェチョン、太白(テベク)、ヨンジュ(栄州)→チェチョン着14:49 ※時計回り

 4853列車 スウォン発7:40 → チェチョン、ヨンジュ、テベク→チェチョン着14:46 ※反時計回り

 4852列車 チェチョン発15:03 → ヨンジュ、テベク、チェチョン →ソウル着22:05 ※反時計回り

 4854列車 チェチョン発15:00 → テベク、ヨンジュ、チェチョン →スウォン着22:14 ※時計回り 

 

※7月1日以降の運転日は不明

 

 途中停車駅の詳細は不明ながら、地図内に記載された駅には停車している模様

 

2014

 運転日詳細は不明ながら、運転ルートは2013年踏襲で、ソウル発、スウォン発それぞれが設定されていた模様

 

 2014年7月22日に発生した衝突事故以降循環運転でのO-Trainは運行されていない模様

 

 

  運行ルートを図示すると

2013年5月15〜31日の運転ルートを図示してみました。チェチョン駅を起点に反時計、時計回りをブレンドしたルートであり、1日に3周(4852、4854が併結前提)するというなかなか個性的な列車でした。なお、図示しませんでしたが、下記図のテベクとヨンジュの間にあるプンチョン(汾川)駅〜チョラム(鉄岩)駅間で同じ観光列車である白頭大幹峡谷列車(通称:V-Train)との乗り換えが可能なダイヤになっていたようです。

 

  当時の時刻表紙面での臨時列車

 

当時の時刻表を入手でき次第、共有できればと思います。

(2013年をピンポイントで掘り出すのはなかなか難しいなw)

 

本日は以上です。

 

まとめページはこちらから

 

参考資料 韓国鉄道時刻表 2019年5月号(中国鉄道時刻研究会)

参考サイト 中部内陸循環列車、太白線列車衝突事故(ともにWikipedia)、O-Train特設サイト(韓国語)