2022年も残り2ヶ月あまりのタイミングですが、これまた長期企画を立ち上げます。その名も「日本のイベントと臨時列車(80、90年代)」です。

手元の時刻表はもとより、当時の鉄道ダイヤ情報やインターネット上の情報を参照しつつまとめてみました。

 

 第6回目は、福島県浜通りのある相馬市で毎年夏に開催される相馬野馬追に関する臨時列車の運転履歴を追っていきます。

 相馬野馬追臨は、常磐線いわき以北で設定される数少ない多客臨であり、その歴史をたどると1980年台にはすでに臨時の名称付き普通列車の設定が確認されています。また首都圏からの臨時列車もかつては佐貫(現在の龍ケ崎市)発着も存在していたなど、運用面でも興味深いことがわかります。

 

 

  お祭り、催事の概要

相馬野馬追(そうまのまおい)

会 期

毎年7月 最終土曜日、日曜日、月曜 

※祭りと神事で開催日が分かれるようです。

会 場 福島県相馬市、南相馬市
相馬中村神社、相馬太田神社、相馬小高神社の三つの妙見社の祭礼
7月24日に行われるメーンイベントは雲雀ヶ原祭場地で行われるようですが、この会場の最寄り駅が原ノ町駅となります。
お祭り、催事の概要

伝説によれば、相馬野馬追は今から一千年以上もの昔、相馬氏の遠祖とされる平将門が下総国小金ヶ原(現在の千葉県北西部)に放した野馬を敵兵に見立てて軍事演習に応用したことにはじまったと伝えられています。

その後、相馬重胤(しげたね)が現在の南相馬市に移ってからも、

代々の領主がこの行事を伝承。野馬を奉納し、

相馬地方の平和と安寧を祈る神事として、怠ることなく野馬追が行われてきました。現在は国の重要無形民俗文化財となっています。

※相馬野馬追公式サイトより抜粋

 

 

  臨時列車の運行概要

 

相馬野馬追の臨時列車(1980〜99年)

 

この臨時列車の20年間の動きをまとめると、仙台エリアからの臨時普通列車は国鉄時代から設定されていましたが、1986年から1993年にかけては一度設定はなしになります。現在でも首都圏から運転されている相馬馬追い号の原点といえるのは1994年の「ホリデー快速」です。ホリデー快速という名称は1年限りで、以降快速、急行と変遷しつつ、一時は途絶えていますが、運用する車両の融通がつかなかったのかと推察するばかりです。

 

運転日は、特記ない限り7月24日、   は前後年との違いがある箇所

1980  普通 野馬追号
  9232レ 仙台発7:23 → 原ノ町着8:52
  9243レ 原ノ町発15:20 → 仙台着17:27 
  ※客車列車を使用(形式等は不明)
1981  普通 野馬追号
  9232レ 仙台発7:23 → 原ノ町着8:52
  9243レ 原ノ町発15:19 → 仙台着17:00 
   ※客車列車を使用(形式等は不明)
1982  普通 野馬追号
  9232レ 仙台発7:23 → 原ノ町着8:52
  9243レ 原ノ町発15:19 → 仙台着17:00
   ※客車列車を使用(形式等は不明)
1983  普通 野馬追号
  9232レ 仙台発7:22 → 原ノ町着8:52
  9243レ 原ノ町発15:19 → 仙台着17:03
   ※客車列車を使用(形式等は不明)
1984  普通 野馬追号
  9232レ 仙台発7:22 → 原ノ町着8:52
  9243レ 原ノ町発15:19 → 仙台着17:01
   ※客車列車を使用(形式等は不明)
1985  普通 野馬追号 
  9224M 仙台発7:55 → 原ノ町着9:27
  9225M 原ノ町発15:35 → 仙台着17:06
  ※電車列車を使用(形式等は不明)
1986  時刻表からは運転履歴は確認できず 
1987  時刻表からは運転履歴は確認できず 
1988  時刻表からは運転履歴は確認できず 
1989  時刻表からは運転履歴は確認できず
1990  ※高萩発着の特急ひたち号103号、126号 原ノ町延長運転(7月22日〜24日)
1991  ※勝田行特急ひたち号103号、高萩発特急ひたち126号 原ノ町延長運転(7月23、24日)
1992

 時刻表からは運転履歴は確認できず

1993  時刻表からは運転履歴は確認できず 
1994

 快速 ホリデー快速相馬野馬追号

  9621M 佐貫発6:00 → 原ノ町着9:56

  9630M 原ノ町発15:35 → 佐貫着20:04  

  全席自由席

  ※佐貫駅は、2020年に龍ケ崎駅に改称されています。

  

1995

 快速 相馬野馬追い号
  9621M 佐貫発6:00 → 原ノ町着9:57

  9630M 原ノ町発15:43 → 佐貫着20:04  

  全席自由席

 

 快速 相馬野馬追い号

  9226M 仙台発7:55 → 原ノ町着9:14
  9255M 原ノ町発15:35 → 仙台着16:55

  全席自由席

 

1996

 急行 相馬野馬追い号 ※急行に格上げ
  9611M 佐貫発6:47 → 原ノ町着10:12

  9612M 原ノ町発15:35 → 佐貫着19:17  

  一部指定席

 

 快速 相馬野馬追い号

  9226M 仙台発7:55 → 原ノ町着9:14
  9251M 原ノ町発14:36 → 仙台着15:45

  全席自由席


 ※いわき発着の特急スーパーひたち号3号、22号 原ノ町延長運転
1997

 急行 相馬野馬追い号
  9611M 佐貫発6:47 → 原ノ町着10:13

  9612M 原ノ町発15:35 → 佐貫着19:16  

  一部指定席

 

 快速 相馬野馬追い祭り号

  9226M 仙台発7:55 → 原ノ町着9:14
  9251M 原ノ町発14:36 → 仙台着15:46

  全席自由席

 

 ※いわき発着の特急スーパーひたち号3号、22号 原ノ町延長運転

1998

 急行 相馬野馬追い号
  9611M 佐貫発6:47 → 原ノ町着10:12

  9612M 原ノ町発15:43 → 佐貫着19:45  

  一部指定席

 

 快速 相馬野馬追い祭り号

  9226M 仙台発7:55 → 原ノ町着9:06
  9251M 原ノ町発14:28 → 仙台着15:35

  全席自由席

 

 ※いわき発着の特急スーパーひたち号3号、44号 原ノ町延長運転

1999

 ※首都圏からの臨時列車は、特急ひたち号の延長を除いて設定なし

 

 快速 相馬野馬追い祭り号

  9226M 仙台発7:55 → 原ノ町着9:06
  9251M 原ノ町発14:28 → 仙台着15:36

  全席自由席

 

 ※いわき発着の特急スーパーひたち号3号、46号 原ノ町延長運転 
※1979年以前、および2000年以降の調査は行っておりません。
 

 

  使用された車両について(推察)

1980年代の普通野馬追号については、情報はブログ執筆時点では皆無です。。推察しようと思いましたがあまりに手がかりがなさすぎなので、断念しました。読者の方で情報をお持ちの方お寄せいただければ幸いです。

 

1990年代の快速列車については、仙台車両センター所属の車両が充当されていたと考えれば451、453、455系あたりが運用にはいっていたのでしょうか。急行については、当時デビューから日の浅い651系が運用につくイメージが湧かず、妥当なのは勝田電車区の485系が充当されたのかなという推察です。事実2000年代には勝田電車区の波動用として活躍していた485系K60編成が充当されている実績もありました。

 

 

  当時の時刻表紙面での臨時列車

常磐線にはかつて多数の客車による普通列車が運転されていたのですが、その名残りが今回紹介する野馬追号にもでています。編成詳細は不明ながら、列車番号から確かに「客車列車(9232レ)」であることを物語っています。平以北は電化されていたものの、その区間を走る電車列車は朝夕一部をのぞき日中は485系のみで、客車列車、ディーゼル列車が幅を効かせているのどかな時代でした。

交通公社の時刻表 1983年7月号

 

 

1997年8月号の、急行相馬野馬追い号が掲載されている紙面です。同じ紙面内には土浦始発のスーパーひたち1号、夏の風物詩であった特急青森ねぶた号、仙台七夕号を見ると懐かしさを感じてしまいます。

JTB時刻表 1991年4月号より

 

本日は以上です。

 

まとめページはこちらから

 

参考資料 1980年〜1999年の交通公社時刻表、JTB時刻表、JR時刻表

参考ページ:Frickr