Trans Europ Express(TEE)を、当時のトーマス・クック鉄道時刻表の紙面から振り返る企画です。
58回目は、イタリア国内TEEのセッテベロ(Settebello)号です。これがイタリアTEE最後の列車となります。イタリア語的に発音すればセッテベッロとも記載します。
この列車はなによりも使用された電車列車ETR300を抜きに語れません。そのためこのセッテベロ号の章のみ先に車両情報を先にお伝えします。
Frickr Ferrovie dello Stato Italiane より
使用された車両、編成
電車
【イタリア】
ETR300型電車列車
詳しい車両仕様はWikipediaページも御覧ください。
TEE化される前から活躍していたETR300ですが、7両固定編成の直流電車です。一番の特徴は、名鉄パノラマカー、小田急ロマンスカーにも影響を与えたと伝えられる前面展望と、その影響による運転席が客室上部に設置される独特の車両形態です。そのほか、編成は3ユニットで構成するにあたて、同ユニット内の連接方式を採用し、付随台車で連結される構造をとっています。
故障の場合はETR 220 AV(180km/hに改造された6編成のうちの1編成)またはETR 250の2編成連結(=8連)、場合によってはETR 220または250にALe 601連結する「混合編成」で代走する準備もされていたそうですが、代走実績は、確認できるものとして1983年12月号のトーマス・クック時刻表で「オーバーホール実施」が行われたときに発生したと推察します。写真はALe 601電車列車です。
7両編成内の構成ですが、編成両端に展望室があることを前提に、
1等車コンパートメント車 5両、編成中間に、食堂車1両、厨房・荷物室1両 という固定編成で運転されていました。
※オープン座席車はなし
なお、セッテベロ号はETR300を使用するのですが、ETR300の短編成化バージョンとしてETR250(4両編成)が存在し、その愛称はアルレッキーノ(Arlecchino)であることもあわせて触れておきます。
列車名の由来は?
運行されていた国 イタリア
運転時期と区間
1953年よりETR300の急行列車として運転開始
1974年5月26日 〜 1984年6月2日
ミラノ − ローマ
コロッセウム号に改名、同時にETR300は運用から外れる
実際の時刻表紙面
すでに取り上げたTEE列車の一覧ページです。こちらもご参考ください!
参考資料:
・Cook Continental Timetable、Thomascook International Timetable
・Das Grosse TEE-Buch 40 Jahre Trans-Europ-Express /Jörg Hajt/HEEL 1997年
・Die Geschhichte Des Trans Europe Express /Maurice Mertens、Jean-Pierre Malaspina 2009
参考サイト:TEE、Settebello (train)、イタリア国鉄ETR300電車、スコパ(ともにWikipedia)
ページ内写真:Flickr の各リンク