新たなテーマ「循環・環状で運転された臨時列車」について執筆を開始しました。
要は、始発・終着が同じとなる列車を取り上げようという企画。
環状、循環の厳密な定義は設けていませんが、同一駅に戻ってくるという点を軸に全国津々浦々で活躍した列車を、手元の時刻表から追ってみたいと思います。
8回目は、1970年代の国鉄の循環臨時急行列車。先達の皆様には有名な急行アルペン号です。私も最初この列車を知った頃には「大阪〜富山間の電車急行では?」と思ったのですが、その前に、大阪発着の循環急行という知られざるキャリアが存在していたようです。
循環臨時列車の運行概要
1号、2号という号数でどちら回りで運転されるのかが判別でき、1号が時計回り、2号が反時計回りです。
臨時列車のダイヤ設定時、特に長駆の臨時急行列車は、定期列車の合間を縫って運行されることから、定期列車先行させるため、途中駅の長時間停車が散見されるのですが、アルペン号では1号:名古屋での19分が最長であり、意外にも淡々と走り続けていた列車だったようです。
急行 アルペン号(1号、2号)
起終点駅と経由線 | 大阪 1号 東海道本線→北陸本線→信越本線→篠ノ井線→中央本線→東海道本線(時計回り) 2号 東海道本線→中央本線→篠ノ井線→信越本線→北陸本線→東海道本線(反時計回り) |
運転日 (始発駅基準) |
1号 1971年 12月25日〜1972年1月7日の毎日と 1月15日〜3月12日の土・休日 と 1月14日 1972年 3月18日〜4月 2日、4月28日〜5月 7日の毎日 と4月 8日〜4月23日、5月13日〜6月25日の土、日 と5月19日、29日 2号 1971年12月24日〜1972年1月6日の毎日 と 1月14日〜3月11日の金、土 と 1月13日、2月10日 1972年 3月17日〜4月 1日、4月27日〜5月 6日の毎日と 4月 7日〜4月22日、5月12日〜6月24日の金、土 |
使用車両・編成 |
列車情報は調査中ながら、客車については「旧型客車」、「12系客車」とそれぞれの記載があり、牽引機関車についても当時の運用について明記のある資料には出会えておりません。 |
列車番号など | 1号 ※’71年12月〜3月 大阪発9:00(1日目) → 大阪着5:51(2日目) 途中停車駅:京都、大津、米原、田村、長浜、敦賀、武生、福井、金津(現:芦原温泉)、加賀温泉、小松、金沢、津幡、石動、高岡、富山、滑川、魚津、黒部、泊、糸魚川、直江津、高田、新井、関山、妙高高原、黒姫、豊野、長野、篠ノ井、麻績、松本、塩尻、木曽福島、上松、中津川、多治見、名古屋、岐阜、米原、大津、京都 ※太赤字は同列車で2回目の停車 列車番号の遷移 9513レ 大阪→直江津、9816レ 直江津→大阪 2号 ※’71年12月〜3月 大阪発22:24(1日目) → 大阪着18:14(2日目) 途中停車駅:京都、大津、米原、岐阜、名古屋、多治見、中津川、木曽福島、塩尻、松本、麻績、篠ノ井、長野、豊野、黒姫、妙高高原、関山、新井、高田、直江津、糸魚川、泊、黒部、魚津、滑川、富山、高岡、石動、金沢、津幡、金沢、小松、加賀温泉、金津(現:芦原温泉)、福井、武生、敦賀、長浜、米原、大津、京都 ※太赤字は同列車で2回目の停車 列車番号の遷移 9817レ 大阪→直江津、9514レ 直江津→大阪 |
備 考 |
※運転日等は手元の時刻表で確認できたものだけ。1971年10月から運転されていたという情報も拝見しました(トレインマーク事典・別館 愛称別トレインデータ館) |
運行ルートを図示すると
ブログ筆者による手書き地図です。大阪〜米原間は1号、2号ともに「2回」通過する区間ですね。鉄道ミステリー小説が当時存在していたのかわかりませんが、臨時列車ながら、アリバイできそうなルートだな、と勝手に妄想しております。
当時の時刻表紙面での臨時列車
1972年1月号の北陸本線上り紙面より。ご覧の通り、この当時は湖西線(1974年開業)は存在していませんので、京阪神〜北陸間の列車は米原経由だった時代です。アルペン号は客車急行ですが、北陸本線には同じ急行列車でも電車急行、ディーゼル急行が存在しており、加速度や表定速度では、電車、ディーゼル列車が圧倒的に早く、優位でした。
たとえば、急行越後号(ディーゼル)と急行アルペン2号(客車)を糸魚川〜富山間での所要時間を比較すると、越後号が1時間12分、アルペン2号は1時間20分ながら、この区間の停車駅数は越後号が多いというちょっとした逆転現象が起きます。
加速度の劣る機関車牽引による客車列車は、停車駅を少なくすることでダイヤを調整をしていたことがよく分かります。
交通公社の時刻表 1972年1月号より
本日は以上です。
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参考資料 交通公社の時刻表 1972年1月号、3月号