Trans Europ Express(TEE)を、当時のトーマス・クック鉄道時刻表の紙面から振り返る企画です。
46回目は、フェデルブ号に続き、フランス国内のTEE、フランス北部のトゥールコワンを結ぶ、ガヤン(Gayant)号を紹介します。
前回紹介したTEEフェデルブ号、ヴァトー号と共通の運用であったことを前提です。
パリとフランス北部の工業都市リールを結ぶ列車が朝、昼、夕でそれぞれ1往復のTEEとして設定されています。ガヤン号は昼の部担当としてキャリアをスタートさせました。この昼の部は文献によるとパリ〜リール間のTEEの中では最も「利用客が少ない」列車だったようで、いち早くTEE列車でなくなった理由もうなづけます。
列車名の由来は?
列車の目的地であるピカデリー地方の方言で「ガヤンの巨人」を指します。ピカデリー地方にあるドゥエーの街で毎年夏に「巨人祭り」も開催されているようです。
運行されていた国 フランス
運転時期と区間
国内急行列車からTEEに格上げする形で登場
1978年10月1日 〜 1986年5月30日(37列車は1983年9月23日)
パリ北駅 〜 トゥールコワン
使用された車両、編成
客車列車
ミストラル69型客車
運転開始当初編成が不足していた影響で、SNCFの従来の客車も投入されていたようです。なお、同区間で運転されたTEEヴァトー号、フェデルブ号と共通運用でした。
編成の詳細ですが、
1978年10月 下記2本の編成をローテーションで運用
・ミストラル69型客車 7両編成(1 A4Dtux、4 A8u、1 A3rtu、1 Vru)
・フランス国鉄の客車(ステンレス) 9両編成(7 A9tj、1 A5rtj、1 Vr(赤「GrilExpress」)
フランス国鉄の客車(ステンレス)は、ミストラル69型の追加編成が賄われるまでの暫定運用として投入されていたようです。暫定運用だった理由の一つに、この車両にはエアコンが装備されていなかったことが挙げられます。
1979年5月夏ダイヤ
フランス国鉄の客車(ステンレス)は下記のような車両です。写真は A9tj。
牽引機
トゥールコワンまでの電化開業を挟んで大きく2期に分けることができます。
【第1期】1978〜82年
パリ〜リール間(電化)
BB16000型交流電気機関車
リール〜トゥールコワン間(非電化)
BB66400型ディーゼル機関車(1978〜80年)、BB67400型ディーゼル機関車(1980〜82年)
写真はBB67400型です。BB66400型は、日本の国鉄DLであるDE10に似た形状の電気式ディーゼル機関車のようです。
実際の時刻表紙面
すでに取り上げたTEE列車の一覧ページです。こちらもご参考ください!
参考資料:
・Cook Continental Timetable、Thomascook International Timetable
・Das Grosse TEE-Buch 40 Jahre Trans-Europ-Express /Jörg Hajt/HEEL 1997年
・Die Geschhichte Des Trans Europe Express /Maurice Mertens、Jean-Pierre Malaspina 2009
参考サイト:TEE、リール(フランス)、ドゥエー、SNCB Class BB 22200(ともにWikipedia)
ページ内写真:Flickr の各リンク
カバー画像:Deutsche Bahn AG, converted by , Public domain, via Wikimedia Commons