Trans Europ Express(TEE)を、当時のトーマス・クック鉄道時刻表の紙面から振り返る企画です。
45回目は、フランス国内のTEE、フランス北部のトゥールコワンを結ぶ、フェデルブ(Faidherbe)号を紹介します。この同区間では、ガヤン号、ヴァトー号という姉妹列車も活躍します。
トゥールコワンと聞いてもピンと来ませんでしたが、この街の手前にあるリール(Lille)は、オー=ド=フランス地域圏の中心都市、繊維業で隆盛を極めた街だったようです。そんな大都市とパリを結ぶ列車が朝、昼、夕でそれぞれ1往復のTEEとして設定されています。フェデルブ号は朝の部担当としてキャリアをスタートさせました。パリ〜リール間のTEE設定にあたっては従来から運行されていた急行列車が「Train d'affaires(ビジネス列車)」と呼ばれていたことと、リールの商工会議所からの「圧力」が功を奏した結果のようです。
列車名の由来は?
19世紀のフランスで活躍したリール生まれの19世紀のフランスの将軍、植民地行政官が由来だったようです(1818-1889)。
運行されていた国 フランス
運転時期と区間
国内急行列車からTEEに格上げする形で登場
1978年10月1日 〜 1991年5月31日(35列車は1990年9月28日)
パリ北駅 〜 トゥールコワン
使用された車両、編成
客車
ミストラル69型客車
運転開始当初編成が不足していた影響で、SNCFの従来の客車も投入されていたようです。なお、同区間で運転されたTEEガヤン号、ヴァトー号と共通運用でした。
編成の詳細ですが、
1978年10月 下記2本の編成をローテーションで運用
・ミストラル69型客車 7両編成(1 A4Dtux、4 A8u、1 A3rtu、1 Vru)
・フランス国鉄の客車(ステンレス) 9両編成(7 A9tj、1 A5rtj、1 Vr(赤「GrilExpress」)
フランス国鉄の客車(ステンレス)は、ミストラル69型の追加編成が賄われるまでの暫定運用として投入されていたようです。暫定運用だった理由の一つに、この車両にはエアコンが装備されていなかったことが挙げられます。
1979年5月夏ダイヤ
フランス国鉄の客車(ステンレス)は下記のような車両です。写真は A9tj。
牽引機
トゥールコワンまでの電化開業を挟んで大きく2期に分けることができます。
【第1期】1978〜82年
パリ〜リール間(電化)
BB16000型交流電気機関車(1978〜83年)
リール〜トゥールコワン間(非電化)
BB66400型ディーゼル機関車(1978〜80年)、BB67400型ディーゼル機関車(1980〜82年)
写真はBB67400型です。BB66400型は、日本の国鉄DLであるDE10に似た形状の電気式ディーゼル機関車のようです。
実際の時刻表紙面
すでに取り上げたTEE列車の一覧ページです。こちらもご参考ください!
参考資料:
・Cook Continental Timetable、Thomascook International Timetable
・Das Grosse TEE-Buch 40 Jahre Trans-Europ-Express /Jörg Hajt/HEEL 1997年
・Die Geschhichte Des Trans Europe Express /Maurice Mertens、Jean-Pierre Malaspina 2009
参考サイト:TEE、リール(フランス)、SNCB Class BB 22200(ともにWikipedia)
ページ内写真:Flickr の各リンク
カバー画像:Deutsche Bahn AG, converted by , Public domain, via Wikimedia Commons