Trans Europ Express(TEE)を、当時のトーマス・クック鉄道時刻表の紙面から振り返る企画です。
40回目は、引き続きフランス国内で運行区間を完結するTEE列車、クレベール(Kléber)号を紹介します。
列車名の由来は?
この列車の目的地である、ストラスブール生まれのフランス革命戦争時の将軍、ジャン・バティスト・クレベールにちなんだようです。
運行されていた国 フランス
運転時期と区間
1971年5月23日 〜 1989年5月27日
パリ東駅 〜 ストラスブール駅
この列車、途中停車駅はナンシー駅のみというダイヤでしたが、パリからの利用者のほとんどはナンシーで下車しており、ストラスブールへの利用客はわずかだったといいます。後述する編成両数の増加はパリ〜ナンシー間の利用客対応でした。ご存知の通り、ストラスブールは第二次世界大戦後、欧州の主要行政機関が置かれたことで、TEE列車も設定されたと思われいますが、そもそも地理的、歴史的に西ドイツと密接な関係にあるため、パリとの接続が実現しても数は伸びなかったという話のようです。
ちなみに、TEEスタニスラフ号(TEE 63/62)という同区間で運行されていた兄弟列車も追って紹介していきます。
使用された車両、編成
客車
【フランス国鉄】
グランコンフォール型客車
運転開始時からグランコンフォール型客車が使用されています。その後1982年3月10日以降は、国内TEEジュール・ベルヌ号との車両交換が行われ、ミストラル69型客車が使用されています。
- 1 A4Dtux、1 A8u、3 A8tu、1 Vru、2 A8u の8両編成が基本編成。週末に、2 A8u が増結。
その後、A8tu型の追加納入が行われ、
- 1974年9月29日(≒冬ダイヤ施行)から基本編成は10両(週末は12両)編成
- さらに、1975年9月28日(≒冬ダイヤ施行)以降では基本編成12両(週末は13両)編成
と着々と積載量は増えております。(増加分はA8tuと推察)
また、1982年3月10日以降のミストラル69型編成については、
1 A4Dtux、3 A8u、4 A8tu、1 Vru、1 A3rtu の10両編成を基本とし、日曜日は2 A8tu+1 A8u の3両を減車し、7両編成で運転されていたようです。
A8u | 1等コンパートメント車両 |
A8tu | 1等オープン座席車両(≒日本のグリーン車) |
A4Dtux | 1等オープン座席・荷物・電源の合造車 |
A3rtu | 1等オープン座席とバーの合造車 |
Vru | 食堂車 |
Arux | 特別バー ※クレベール号にはなし |
牽引機
【フランス】
CC15000型交流電気機関車
牽引機について、運転開始当初に一時的にBB9200、またはCC16000型電気機関車も使用されたことがあるようでしたので付記しておきます。
実際の時刻表紙面
61列車は毎日運転、60列車は平日のみ、夏のバカンス期は運休。1972年夏は8月2〜27日がバカンス期運休だったようです。
クレベール号も運転開始当初は2都市間を3時間45分(表定速度134Km/h)というスピードだったのですが、その後軌道メンテナンスなど諸事情で徐々に表定速度が下がり、今回提示した1972年夏時点では3時間48分と、ピーク期から3分ほど所要時間が増えています。
すでに取り上げたTEE列車の一覧ページです。こちらもご参考ください!
参考資料:
・Cook Continental Timetable、Thomascook International Timetable
・Das Grosse TEE-Buch 40 Jahre Trans-Europ-Express /Jörg Hajt/HEEL 1997年
・Die Geschhichte Des Trans Europe Express /Maurice Mertens、Jean-Pierre Malaspina 2009
参考サイト:TEE、ストラスブール、Kléber (train)(ともにWikipedia)
ページ内写真:Flickr の各リンク
カバー画像:Deutsche Bahn AG, converted by , Public domain, via Wikimedia Commons