Trans Europ Express(TEE)を、当時のトーマス・クック鉄道時刻表の紙面から振り返る企画です。
36回目は、前回のミストラル号と同様、パリとフランス南東部を結んだ国内TEE列車であるリヨネ(Lyonnais)号を紹介します。
なお、列車名のフランス語名は「ル・リヨネ(Le Lyonnais)」と冠詞がつくのですが、ブログ執筆でドイツ語資料を参照しているため、このブログでは冠詞なしの名称を扱うことにします。
列車名の由来は?
フランス号でのリヨンの形容詞形、またはリヨンの住民の意味ですね。ちなみにリヨンはフランス南東部、ローヌ川、ソーヌ川という2つの河川が合流する位置にあり、古くから政治、経済の中心として栄えた街のようです。そういえば、アニメ、ルパン三世に登場する銭形警部が出向していたのは、この町に本部があるインターポール(国際刑事警察機構)でした。
運行されていた国 フランス
運転時期と区間
TEEミストラル号の救済列車として、平日のみTEEとして登場
1969年2月9日 〜 1976年9月25日
パリ・リヨン駅 〜 リヨン・ペラーシュ駅
2等車併結により、国内急行列車に降格
使用された車両、編成
【フランス】
ミストラル型56客車 1969年〜1970年1月4日
ミストラル型69客車 1970年1月5日〜
2種の客車が使用されていました。「ミストラル」形というものの、本家ミストラル号に見られた美容室、書籍販売スペースといった「豪華車両」は連結されていません。運転開始当初はワゴン・リ社のプルマンカーを連結していたことのあるようですが、半年程度で営業休止、もしくは編成から外されているようです。
編成両数ですが、
・運転開始当初の1969年では10両編成(食堂車、プルマンカー含む)
・1970年で9両編成
・1971年ではリヨン行(TEE13)6両編成、パリ行(TEE12)11両編成でした。リヨン行とパリ行で編成両数が異なるのは、リヨン行急行列車用として1・2等混合の181列車(急行)でリヨネの一部編成を利用し、復路に181列車1等車とTEE13を併結して運転した、という経緯があったためです。
備忘:1971年の編成詳細
【リヨン行】
- R181 A4Dtux A8u+2 A8tu+Vr (5両) と2等車(?両)
- TEE13 Vru+A8tu+A3rtu+2 A8u+A4Dtux (6両)
↓
- TEE12 [A4Dtux A8u+2 A8tu+Vr]+[Vru+A8tu+A3rtu+2 A8u+A4Dtux]
※上記はあくまでも編成内容を提示するもので、編成内の連結順を正確に提示しているものではありません。
牽引機
【フランス】
BB9300型、CC6500型直流電気機関車
運転開始当初はBB9300型、1970年以降はもっぱらCC6500型が使用されていました。下記写真はCC6500型機関車です。
実際の時刻表紙面
今回は以上です。
すでに取り上げたTEE列車の一覧ページです。こちらもご参考ください!
参考資料:
・Cook Continental Timetable、Thomascook International Timetable
・Das Grosse TEE-Buch 40 Jahre Trans-Europ-Express /Jörg Hajt/HEEL 1997年
・Die Geschhichte Des Trans Europe Express /Maurice Mertens、Jean-Pierre Malaspina 2009
参考サイト:TEE、ル・ミストラル(列車)(ともにWikipedia)
ページ内写真:Flickr の各リンク
カバー画像:Deutsche Bahn AG, converted by , Public domain, via Wikimedia Commons