私の故郷、九州でかつて存在していた国鉄線について、廃線間際の時刻表を中心に取り上げ、振り返ろうという企画をやっています。

 

13回目は、かつて鹿児島県北部に存在した宮之城線を取り上げます。

 

鹿児島県北部、北薩(ほくさつ)エリアを横断する線で、川内川(せんだいがわ)とその支流と付きつ離れつしながら、海から山へ進んでいく路線でした。内陸側の終点は盆地の中心にある薩摩大口駅で、山野(やまの)線と接続していました。

 

 

宮之城線 路線概要 

 

線 名 宮之城(みやのじょう)線
距 離 66.1 km
区 間 川内 〜 薩摩大口
開業日/会社/開業区間 1924(大正13)年10月20日/官設鉄道/川内町(現:川内)〜樋脇
全線開業日/会社 1937(昭和12)年12月12日/官設鉄道
貨物取扱 あり ※1980年10月1日、宮之城駅での貨物取扱廃止が最後
廃止日 1987(昭和62)年4月1日
廃止理由 特定地方交通線第二次対象線として承認されたため
運行された旅客列車 SL+PC、DC
※無煙化達成 1970(昭和45)年10月1日。
なおSL引退以降、貨物列車は、DL牽引ではなく、ディーゼル列車に牽引されて「客貨混合」運行がなされていたようです。 

 

 

 

時刻表 (昭和61年11月1日改正) 

 

廃線間際のダイヤです。沿線には決して小さくはない街が点在していたためか、全線通しの列車の設定が1日のダイヤの大半を占め、通勤通学への配慮と思われる休日運休の区間列車も確認できます。とはいえ、日中は列車頻度も低い典型的なローカル線です。928Dは西鹿児島発という、宮之城線唯一の他線からの乗り入れ列車。

【川内→薩摩大口】

【凡例】◆休日運休、※1:宮之城〜薩摩鶴田間は休日運休、※2:西鹿児島始発(鹿児島本線経由)、駅名、ならびに時刻の「黄色塗り」は対向列車との交換箇所

駅名の読み方、上から、せんだい、さつましらはま、くすもと、よしのやま、ひわき、かみひわき、いりき、さつまやまさき、ふなき、みやのじょう、さし、さつまゆだ、さつまつるた、さつまぐみょう、ひろはし、さつまながの、はりもち、にしたら、はつき、さつまおおくち

 

【薩摩大口→川内】

【凡例】◆休日運休、◎1:土曜運休、◎2:土曜運転、駅名、ならびに時刻の「黄色塗り」は対向列車との交換箇所

 

 

当時を偲ぶ動画(ブログ筆者が選びました) 

 

この動画では、廃線直前で活躍していた列車が見れるのですが、薩摩永野駅を出発した列車が緊急停車する「トラブル」も収録されています。何が起きたのかはぜひご覧くださいw

 

 

廃線の跡をたどった動画(ブログ筆者が選びました) 

 

スライドショー形式ながら、丁寧なキャプション解説に好感を持てる動画を紹介します。

廃線後27年経っているため、朽ちた建物や線路跡ばかりが出てくるとおもいきや、沿線住民の方々の息のかかった展示・保存物を見ると安堵しました。機会があれば訪れてみたいと思わせる展示。

 

樋脇駅 駅舎、線路跡、動輪(C57)が鉄道公園として残されています。

宮之城鉄道記念館 とても立派な駅と思いきや、こちらも廃線後建て替えられたようです。鉄道公園が付近にあるようで、C57の前頭部が保存されているようす。

鶴田鉄道記念館 駅跡に新設されたそうですが、屋外にはホーム、レール跡が確認できるようです。

薩摩永野駅 後述しますが、沿線唯一のスイッチバック駅で、敷地内にはシーサスクロスポイントの線路や、緩急車、保線で使用されたモーターカーも展示されているようです。

 

 

当時の駅はここにありました(Powerd By Googleマップ) 

 

薩摩永野駅を取り上げます。この駅は当時「スイッチバック」がありました。

 

前後の駅関係ですが、広橋駅は地図の西(左)側、針持駅は北(上)側となり、この駅はつくらず直通させる予定だったようですが、地図右側に見える「永野金山」が薩摩永野駅を「つくらせた」ようです。

 

それは金山への資材、労働者の運搬が目的ではり、金山に近い場所として谷頭部に駅をつくることと、川内〜大口間を直通させることを両立した結果、スイッチバック駅に落ち着いたようです。

 

しかし、その金山も1943年に休山、その後1953年に閉山となります。そのため金山方面への延伸もなく廃線となりました。

 

サイト上にアップされている構内の写真を拝見しましたが、移設されたシーサークロスポイントがいまでも見れるようです。

 

今回は以上です。

 

 

 

参考資料 日本鉄道旅行地図帳 12号九州沖縄 新潮社、時刻表、国鉄の車両18 九州各線 保育社

参考サイト 宮之城線(Wikipedia)、さつま町サイト「永野金山産業遺跡群」、動画 Youtube、地図 Googleマップ