私の故郷、九州でかつて存在していた国鉄線について、廃線間際の時刻表を中心に取り上げ、振り返ろうという企画をやっています。
11回目は、に存在したローカル線、漆生(うるしお)線を取り上げます。これまで取り上げたローカル線と少し経路の違うのが、本線から分岐するタイプではなく、下鴨生(後藤寺線)、下山田(上山田線)と両方ともローカル線が接続駅である点。
漆生線の形成経緯として、先行開業した漆生駅より北側区間は、筑豊本線の貨物支線として、漆生以南は苅田港からの石炭積み出し用として油須原線の一部として建設されており、その後幾多の線区の変更の結果、最終的に下鴨生〜下山田を漆生線とされました。
ちなみに、油須原線は、国鉄未成線のひとつとして名前が挙がりますが、漆生〜下山田間と、上山田〜豊前川崎(上山田線の一部)は1966年に油須原線計画のもと開業しており、1970年に計画中止が発表されたことで「全線」として未成線となったことを付記しておきます。
漆生線 路線概要
線 名 | 漆生(うるしお)線 |
距 離 | 7.9 km |
区 間 | 下鴨生 〜 下山田 ※設備的には下山田手前の嘉穂信号所が分岐点となる |
開業日/会社/開業区間 | 1913(大正2)年8月20日/官設鉄道/上三緒〜赤坂(のちの下鴨生)〜漆生間 ※そのうち新飯塚〜漆生を漆生線とした |
全線開業日/会社 | 1966(昭和41)年3月10日/国鉄 ※漆生〜嘉穂信号所〜下山田の延長開業 |
貨物取扱 | あり ※1974年9月に貨物取扱廃止 ※漆生〜稲築貨物駅 で貨物線あり(1923.5.21〜1968.11.1) |
廃止日 | 1986(昭和61)年4月1日 |
廃止理由 | 特定地方交通線第二次対象線として承認されたため |
運行された旅客列車 | SL+PC、DL+PC(?)、DC ※無煙化達成 1973(昭和48)年9月30日 という記事を発見したので明記しておきます。(サイト名:国鉄路線別無煙化日(暫定版)より) |
時刻表 (昭和61年3月3日改正)
営業 キロ |
列車番号 → |
621D | 623D | 625D | 627D | 629D | 631D | 633D | 635D | 637D |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
→始発 | 新飯塚 | 新飯塚 | 新飯塚 | 若松 | 直方 | 新飯塚 | 漆生 | 新飯塚 | 新飯塚 | |
0.0 | 下鴨生 | 519 | 658 | 821 | 1406 | 1656 | 1842 | 1934 | 2141 | |
1.2 | 鴨生 | 522 | 702 | 825 | 1410 | 1700 | 1845 | 1937 | 2144 | |
3.6 | 漆生 | 543 | 707 | 止829 | 止1413 | 止1703 | 止1849 | 1851 | 止1941 | 止2148 |
5.1 | 才田 | 546 | 710 | 1855 | ||||||
7.9 | 下山田(発) | 553 | 717 | 1902 | ||||||
→終着 | 川崎 | 川崎 | 漆生 | 漆生 | 漆生 | 漆生 | 川崎 | 漆生 | 漆生 |
※川崎:豊前川崎
※駅名の読み方、上から、しもかもお、かもお、うるしお、さいだ、しもやまだ
駅間 キロ |
列車番号 → |
620D | 622D | 624D | 626D | 628D | 630D | 632D | 634D | 636D |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
→始発 | 漆生 | 川崎 | 川崎 | 漆生 | 漆生 | 川崎 | 漆生 | 漆生 | 漆生 | |
0.0 | 下山田 | 728 | 815 | 1836 | ||||||
2.8 | 才田 | 735 | 822 | 1843 | ||||||
1.5 | 漆生 | 548 | 740 | 842 | 1423 | 1724 | 止1846 | 1855 | 2000 | 2154 |
2.4 | 鴨生 | 552 | 744 | 846 | 1427 | 1728 | 1859 | 2004 | 2158 | |
1.2 | 下鴨生 | 554 | 746 | 849 | 1429 | 1731 | 1902 | 2007 | 2201 | |
→終着 | 新飯塚 | 新飯塚 | 新飯塚 | 新飯塚 | 新飯塚 | 漆生 | 新飯塚 | 新飯塚 | 新飯塚 |
当時を偲ぶ動画(ブログ筆者が選びました)
漆生線自体の尺はほとんどありませんw。映像内でポイントは2:15あたりで分岐があらわれるのですが、嘉穂信号所。ここが施設上の漆生線の分岐点。動画内では右手に漆生線が分かれてきます。
廃線の跡をたどった動画(ブログ筆者が選びました)
スライドショー形式ですが、作者の撮影した写真も織り交ぜているとてもバランスのいい内容だと思いました。
当時の駅はここにありました(Powerd By Gooマップ)
駅ではありませんが、施設上の分岐点だった嘉穂信号所について。
この地図内で示されているポイントですが、県道沿いであることは明確ですが、何か痕跡があるわけではなさそうです。
参考資料 日本鉄道旅行地図帳 12号九州沖縄 新潮社、時刻表、国鉄の車両18 九州各線 保育社、交通公社の時刻表 1987年2月号
参考サイト 漆生線、油須原線(ともにWikipedia)、動画 Youtube、地図 Googleマップ