時刻表紙面から確認できる国鉄(JR)⇔私鉄線の乗り入れがあった記録を残しております。

 

今回は23回目、現在も営業中である三重県の三岐鉄道三岐線の乗り入れ実績について。この線は現在旅客のみ営業ですが、かつてはセメント輸送の貨物取扱がある私鉄として有名でしたね。

 

 

  三岐鉄道三岐線

三岐鉄道三岐線については、Wikipediaページが参考になります。

 

Wikipedia参照情報ですが、10年余りの乗り入れに関する略歴です。

1952年12月 1日  富田駅から国鉄四日市駅まで旅客列車直通運転開始
1956年12月25日  三岐鉄道、電車運転開始
1964年10月 1日 富田駅から国鉄四日市駅までの旅客列車直通運転廃止

 

乗り入れ(=直通運転)の期間中に三岐鉄道の電車運転開始というイベントがありますが、乗り入れ車輌は終始気動車だったようです。乗り入れは国鉄車輌だったと推察します。

 

また、Wikipediaには、三岐鉄道の乗り入れ列車専用の駅についての記事がありました。

関西本線富田浜 - 四日市間には三岐鉄道からの直通列車専用の「午起駅」も設けられた。

午起は「うまおこし」と読むそうです。四日市から1.4Km地点に設置されていたようです。時刻表紙面上では確かに、三岐鉄道・西藤原発着の列車のみが停車する駅ではあるのですが、その事実だけでこの駅が「乗り入れ列車専用」かははっきりしませんでした。ただし、この駅の開業・廃止の歴史から、おそらく「専用」だったと思わせる事実になっています。

開 業 1931(昭和 6)年 7月 7日 仮駅として開業
廃 止 1948(昭和23)年 8月30日  
復 活 1954(昭和29)年 6月 1日 三岐鉄道との乗り入れ列車専用駅?
廃 止 1964(昭和39)年10月 1日  直通運転廃止と同時

 

Wikipedia「四日市駅」での情報によると、この午起駅近くにはかつて海水浴場があり、そこへのアクセスとして仮駅が開設されたようです。その後一旦廃止されながらも、何らかの理由で復活。なぜに三岐鉄道直通列車専用になったのか、明確な資料は見つかっておりません。

 

 

  紙面からうかがえる「乗り入れ」の様子

 

下記が関西本線の紙面内で確認できる、三岐鉄道乗り入れ列車です。2512D、2514Dが四日市から西藤原にむけて運転されています。前述の「午起(うまおこし)」もしっかりと時刻表に載っています。たしかに、国鉄線列車は片っ端から通過しています。
JTBのMOOK 時刻表完全復刻版 1964年9月号より
 
 
下記は私鉄線紙面での三岐鉄道線時刻表。富田駅の上に四日市という欄があります。四日市発西藤原行は1日3本、逆は夕方1本のみというダイヤ。一見すると沿線住民の大都市四日市への通勤用かなと勘ぐりましたが、四日市から三岐線沿線の学校、会社への通勤に便宜を図る目的があったようです。
JTBのMOOK 時刻表完全復刻版 1964年9月号より
 
 

なお、過去のシリーズをまとめたページがあります。よろしかったらバックナンバーもご覧ください。

 

参考資料:JTBのMOOK 時刻表完全復刻版 1964年9月号、日本鉄道旅行地図帳 7号東海 新潮社

参考サイト:三岐鉄道三岐線、四日市駅(ともにWikipedia)