私の故郷、九州でかつて存在していた国鉄線について、廃線間際の時刻表を中心に取り上げ、振り返ろうという企画をやっています。

 

7回目は、宮崎県にかつて存在したローカル線、妻(つま)線を取り上げます。

 

ちなみに、この妻線については、有蓋気動貨車キワ90形が試験運用された線として記憶に残っている方もいるようです。私はこのブログを執筆するまではその車輌の存在すら知りませんでした。

 

 

 

妻線 路線概要 

 

線 名 妻(つま)線
距 離 19.3 km
区 間 佐土原 〜 杉安
開業日/会社/開業区間 1913(大正2)年12月15日/宮崎県営鉄道/(宮崎〜)広瀬〜福島町 ※両駅ともその後廃止
全線開業日/会社 1922(大正11)年8月20日/妻軽便線
※同年9月2日に妻線と改称
貨物取扱 あり ※1972(昭和47)年3月14日取り扱い廃止
廃止日 1984(昭和59)年12月1日
廃止理由 特定地方交通線第一次対象線として承認されたため
運行された列車 SL+PC、DC
※客車列車の運行歴史は不明
※無煙化は1972(昭和47)年3月14日に達成。

 

 

時刻表 (昭和59年2月1日改正) 

 

廃止10ヶ月前に行われたダイヤ改正時点でのダイヤです。土休日運休列車はなく、朝夕を除いては日中1往復と長閑(のどか)な1日6往復のダイヤでした。
 
運行形態は路線の起点である佐土原始発、終着の列車はなく、全列車宮崎発着でした。また時間帯によっては列車離合が発生しましたが、その場合は妻線内での離合とならないダイヤが組まれていました。
 
実際に朝の621D、620Dの組み合わせと、夕方の629Dと628Dは佐土原での離合となり、627Dと626Dは日豊本線の日向住吉駅での離合となっています。ちなみに妻駅にはかつて列車離合ができる設備がありましたが、廃線直前には1面1線での運用だったようです。
駅間キロ 列車番号→ 621D 623D 625D 627D 629D 631D
13.2 宮崎 657 845 1436 1619 1734 2047
0.0 佐土原 716 904 1505 1648 1806 2122
6.0 西佐土原 723 912 1512 1655 1814 2130
10.0 黒生野 729 917 1518 1701 1819 2135
13.5 735 923 1524 1707 1825 2141
16.7 穂北 740 928 1529 1712 1830 2146
19.3 杉安 745 933 1532 1717 1835 2151
※宮崎〜佐土原間は日豊本線。区間内の駅は各駅停車。
※佐土原の時刻は発時刻

 

駅間キロ 列車番号→ 620D 622D 624D 626D 628D 630D
0.0 杉安 641 750 1305 1600 1735 1938
2.6 穂北 645 754 1309 1604 1739 1942
3.2 651 800 1316 1610 1746 1948
3.5 黒生野 656 805 1321 1615 1751 1953
4.0 西佐土原 702 811 1326 1620 1757 1959
6.0 佐土原 710 819 1334 1628 1805 2007
13.2 宮崎 731 837 1402 1657 1841 2025
※佐土原〜宮崎間は日豊本線。区間内の駅は各駅停車。

※佐土原の時刻は着時刻。

上記2点とも、交通公社の時刻表 1984年1月号を参照

 

 

当時を偲ぶ動画(ブログ筆者が選びました) 

 

当時の走行風景を中心としたYoutube動画では長尺のものです。前半は3分程度は普段の妻線を走行する列車(キハ20+キハ26?)の映像、その後、さよなら列車の映像で構成されています。走行中のディーゼルエンジン音、レールの継ぎ目音、かすかに聞こえる隙間風音などとともに、のどかな風景が展開されています。

 

 

廃線の跡をたどった動画(ブログ筆者が選びました) 

 

 

この動画でのハイライトですが、

・妻駅の駅名標。宮交西都バスセンター近くの児童館で保管されているようです。

車載カメラで廃線跡、またはその側の道路を丁寧に辿っている映像ですが、地形的に山谷がある路線ではなかったためか、全体的に単調な印象でした。終点杉安駅跡周辺は製材所が多数存在していたことからもわかるとおり、九州山地への入り口となった場所。かつては熊本方面への線路延伸計画もあったようです。

 

また、映像内では自転車道となった段階で切れてしまったのですが、黒生野駅跡は車輪のモニュメントや案内看板、駅名板も立ち、当時を振り返ることができるポイントのようです。

 

 

当時の駅はここにありました(Powerd By Googleマップ) 

 

Googleマップで、終点杉安駅跡を示差しました。一ツ瀬川沿いが削ってできた河岸段丘の底部にあります。かつては西の熊本県湯前までの鉄道建設も計画されていたとのことですが、峻険な九州山地はことを容易に運ばせなかったのですね。

 

今回は以上です。

 

まとめサイトはこちらから

 

 

 

 

参考資料 日本鉄道旅行地図帳 12号九州沖縄 新潮社、時刻表、国鉄の車両18 九州各線 保育社、交通公社の時刻表 1984年1月号

参考サイト NHKみちしる

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