2022年前半のテーマの一つ、「日本の博覧会関連の臨時列車」、第12回目は神奈川県横浜市で開催された「横浜博覧会」の臨時列車を取り上げます。

 

横浜市制100周年・横浜港開港130周年を記念して開催された博覧会で、海に面する大都市が、埋め立てをともなう再開発の一環として博覧会を開催する手法は、Wikipediaでも、神戸ポートピアアイランド博覧会に倣っているという指摘があります。横浜もご多分に漏れず、今となれば、当時博覧会が開催されたことを知らない市民が多いという時代まで下ってきました。

 

また、この横浜博覧会においては、これまで取り上げてきた国鉄線、JR線での臨時列車に加え、羽田、成田空港からのヘリコプター輸送、会場内に存在した貨物線活用の旅客輸送が存在していましたので、こちらは その2 として、次回取りまとめたいと思います。

 

ということで、今回は、その1 JR東日本が設定した横浜博覧会会場への臨時列車を取り上げます。

 

  博覧会の概要

博覧会については、Wikipediaのページもご紹介します。

会 期 1989年(平成元年)3月25日 〜 10月1日
来場実績 1,333万人 ※Wikipediaより
会 場 横浜市 みなとみらい地区

 

この博覧会の略称は「YES’89」、YOKOHAMA EXOTIC SHOWCASE '89 の略称だったそうです。

 

 

  臨時列車の運行概要

快速 横浜博サロン号

運転区間 新宿 〜 桜木町
運転時期 1989年7月25〜27日、8月1〜19日
使用車両・編成 全車グリーン車指定席、欧風客車7両編成
(サロンエクスプレス東京:品川客車区所属)
先達の皆様の残した写真から、牽引機はEF65PF、EF58 61 のプッシュプル運転。EF58 61は新宿・品川方面時に先頭となる編成だった模様。
運行ダイヤ 9989レ 新宿発9:02 → 桜木町着9:41
9990レ 桜木町発17:25 → 新宿着18:18
途中停車駅 なし
備  考 ・山手貨物線〜品鶴線〜高島線と経由。桜木町到着後は一旦根岸まで回送され、その後やってきたルートを辿って品川で留置後、夕方の桜木町発の仕業に備えて再度送り込みが行われたようです。

 

使用編成でも触れていますが、1983年8月に登場した欧風客車です。民営化の具体的検討がはじまったタイミングとほぼ同じくして誕生した、国鉄東京南鉄道管理局の意欲作ですね。1997年に引退後、改造されて「ゆとり」として2008年まで活躍しています。

 

この列車は貨物線を経由したのですが、2022年現在もここを旅客列車が通ることは稀で、時刻表上では何気なく掲載されている点が若干残念な点でもあります。

 

 

普通 ホリデーヨコハマ号

運転区間 小山 〜 横浜
運転時期 1989年7月2日〜9月24日の休日のみ運転
使用車両・編成 新前橋電車区の165系6連 
※ネット上の写真から推察
※115系の写真もアップされていました。
運行ダイヤ 【行き】
9532M 小山発8:58 → 横浜着11:02
9534M 小山発10:20 → 横浜着12:28


【帰り】
9537M 横浜発13:20 → 小山着15:22
9539M 横浜発16:47 → 小山着18:48


途中停車駅(小山起点)間々田、野木、古河、栗橋、東鷺宮、久喜、新白岡、白岡、蓮田、東大宮、土呂、大宮、東所沢、新秋津、西国分寺
備  考 東海道本線〜品鶴線〜武蔵野貨物線〜埼京線〜東北貨物線〜東北本線というルートで運行された模様

 

この列車の運行ルートが首都圏中心部ルートを回避するために「武蔵野貨物線」を経由した点が横浜博来場者よりも鉄道ファンを熱くしたものと思われますw。今でこそ、東京上野ラインも、湘南新宿ラインも開通していますので、ここまで大掛かりなう回は不要となり、当時の鉄道網の実態を知る意味で貴重だと思います。

 

 

快速 横浜博アドベンチャー号

運転区間 日立 〜 横浜(運転日によって大船、高萩まで延長運転)
※常磐線→常磐線連絡線→山手貨物線→品鶴線→横須賀線
運転時期 1989年 〜9月24日までの日曜日を中心に運転
使用車両・編成 415系7連 勝田電車区のものと思われます。
運行ダイヤ JTB時刻表に掲載されていたダイヤ
9472M 日立発6:33 → 横浜着9:51 ※7月2日〜のダイヤ
9475M 横浜発18:30 → 日立着22:04
途中停車駅(日立起点)常陸多賀、大甕(おおみか)、東海、佐和、勝田、水戸、友部、石岡、土浦、新宿

鉄道ダイヤ情報1989年7月号に掲載されていたダイヤ
6月18日からのダイヤ
9472M 日立発6:23 → 大船着10:08 池袋から9473M

9474M 大船発18:11 → 高萩着22:26 池袋から9457M
 
備  考 田端信号所で方向転換を行う

 

こちらの写真は列車名で検索いただければ、先達の皆様が撮影された作品をご覧になれます。415系はじめ、401系、403系など多様な車種が運用に入っていたようですね。それにしても交直流電車とはいえ、神奈川エリアに415系が乗り入れるのはなかなかインパクトありますね。

 

 

  当時の時刻表紙面での臨時列車

紹介した列車情報はこの紙面を参考にまとめました。どの列車も貨物線経由の独特のコースのためか、常磐線、東北本線、東海道本線各紙面内での掲載は一切ありません。また、当時の鉄道ダイヤ情報内の情報と比較しても、相違点が多く、途中停車駅も割愛されているなど実態と大きく異なっている可能性も否定できません。

交通公社の時刻表1989年6月号より

 

 

本日は以上です。

 

まとめページはこちらから

 

参考資料:JTB時刻表1989年6月号、8月号

参考ページ 博覧会、横浜博覧会(ともにWikipedia)