短命シリーズ36回目は、東北新幹線でかつて存在した列車名、Maxあおば号を取り上げます。

 

 先日上越新幹線から2階建て新幹線が引退したばかりですが、以前は東北新幹線でも活躍していたことを先達の皆様は昨日のことのように覚えている方も多いのではないでしょうか。そんな短命列車を、東北新幹線開業時からの愛称であるあおば号が消滅したタイミングと重ねながら振り返ります。

 

 

  東北新幹線でのMaxあおば号の位置づけ

Maxあおば号の愛称は3年あまりの短命でしたが、E1系の登場、あおば号の愛称消滅と、大きな2つの出来事にかかわった列車でした。

1994年7月15日 E1系の営業運転開始。那須塩原→東京間の1本を「Maxあおば」として設定される

 

1997年10月1日 あおば号の名称が消滅し、やまびこ号、なすの号にバトンタッチ

 

あおば号という名称について、聞き慣れない方も多いかもしれませんので、ここで少し時代をさかのぼって補足します。

 

1982年6月23日の東北新幹線(大宮)開業時から存在した由緒ある名称でした。

開業当初 やまびこ号→速達タイプ(≒ひかり号)、あおば号→各停(≒こだま号)

1994年7月当初

従来からの、やまびこ号、あおば号に加え、1992年7月に開業した、山形新幹線のつばさ号(山形行、やまびこ号と併結)の3つの愛称名が存在し、このラインナップに2階建て新幹線が加わり、愛称が更に細分化されることになります。

 

 

  E1系営業開始とあわせて登場

 

新幹線では初めて編成中の全車両が2階建となるE1系が1994年7月のダイヤ改正をもって東北・上越新幹線に登場します。Maxに込められた意味ですが、Multi Amenity Expressを略した車両愛称であり、後輩となるE4系新幹線が登場するまでは、時刻表紙面のみで車種を限定できる都合がよい列車名でした。

 

1994年7月号時刻表の東北新幹線紙面より。あおば号の中では唯一260号のみがMaxあおば号を名乗っており、しかも運用の都合上、E1系が運用に入るのは毎日ではなく、毎週水、木曜は200系で運転されるという変則的になっていました。

JTB時刻表 1994年7月号より

 

 

下記は1994年7月号時刻表の編成表ページから。E1系は12両編成。普通車全車自由席(グリーン車は9号車2階部分のみ乗車可)。

JTB時刻表 1994年7月号より
 

 

  東北新幹線の名称の整理のあおりをうけて消滅

 

Maxあおば号誕生の翌年、1995年12月1日に実施されたダイヤ改正では、東北新幹線で大幅な輸送体系の見直しが入りました。

 

具体的には、やまびこ号が速達、緩行の2つに大別され、あおば号の守備範囲だった、東京駅 - 那須塩原駅間が「なすの」「Maxなすの」として切り出されることになり、あおば号が大幅に削減されます(東京〜仙台間で13往復→6往復)。

 

なお、この改正でMaxあおば号は従来の上り1本(260号)はMaxなすの号に改称されます。代わりに下り209号、上り200号のあおば号にE1系が使用されMaxあおば号を名乗るようになり、地味に増発(?)されていました。

 

その後、秋田新幹線が開業した1997年3月22日を経て、長野新幹線開業にともなう同年10月ダイヤ改正で、あおば号やまびこ号に統合されることになり、Maxあおば号も同時に消滅しています。

 

今回は以上となります。

 

なお、過去のシリーズをまとめたページがあります。よろしかったらバックナンバーもご覧ください。

 

 

 

参考サイト:やまびこ(列車)、新幹線E1系電車、東北新幹線(Wikipedia)

参考資料 JTB時刻表 1994年7月号、1995年12月号、1997年8月号

列車名変遷大事典 三宅俊彦 ネコ・パブリッシング