2022年前半、「日本の博覧会関連の臨時列車」を取り上げます。

 

今回の注目ポイントとしては、

・博覧会会場が埋立地や大都市郊外となったケースが大半でしたので、どの駅が「会場最寄り駅」として設定され、臨時ダイヤが組まれたのか。

・どのような車両が投入されたのか

を、時刻表紙面から追える情報で構成していきます。

 

第3回目は、岡山県、香川県で1988年に開催された、瀬戸大橋博’88での臨時列車を取り上げます。この博覧会は岡山側が瀬戸大橋線児島駅前、香川側が坂出市と2会場にわけて実施されました。臨時列車的には、JR西日本が岡山会場向けに設定した、伝説の「ホテル列車」があまりにも有名です。

 

  博覧会の概要

この博覧会については、Wikipediaにて詳細がまとまっています。

 

会 期 1988年3月20日 〜 8月31日(165日間)
来場実績 岡山側296万人、香川側350万人 ※Wikipediaより
会 場

岡山側会場 瀬戸大橋線児島駅前会場 (最寄駅:児島駅)

香川側会場 坂出市番の州沙弥(しゃみ)地区(最寄駅:坂出駅、宇多津駅)

 

児島駅ですが、博覧会開催当初は瀬戸大橋未開業だったため、終点駅として暫定開業しています。その後4月10日に本四備讃線が茶屋町〜宇多津間で正式開業し、中間駅にかわった経歴があります。

 

また香川側、坂出、宇多津にむけた臨時列車の設定は確認できませんでしたが、かつては四国の一ローカル駅であった宇多津駅に特急、急行列車が臨時停車し始める「歴史的事件」が起きますが、それは後ほどご紹介します。

 

 

  臨時列車の運転概要

快速列車(列車名なし)

運転区間 岡山〜児島間、岡山〜高松・琴平、児島〜多度津など
岡山〜児島の途中停車駅 一部はノンストップ、その他は茶屋町のみ(一部列車が岡山〜茶屋町間各駅の日もあり)
運転本数など

4月9日まで 岡山〜児島(快速:11往復)

4月10日以降 岡山〜児島(快速:17往復)はじめ、その他区間でも数往復設定あり ※6月末までの本数

参考:4/9までの暫定開業時の定期列車 岡山〜児島(各停:15往復・快速:11往復)、茶屋町〜児島(各停:1往復) 

運転時期

会期中毎日(一部は繁忙期のみ)

使用車両 本四備讃線の定期列車と共通運用。そのため、213系を中心に、山陽本線の113系、115系あたりが充当されていたのかなと推察します。

 

下記写真は参考として同形式が写った写真です。1988年のマリンライナー号ですね。

 

ちなみに、4月10日に瀬戸大橋を含む、本四備讃線が開業し、児島駅には普通、快速にくわえて四国への特急しおかぜ号、南風号、うずしお号の全列車が停車するようになります。

 

エキスポトレインわしゅう

かつて日本国内では、寝台列車の設備を利用した「列車ホテル」として運行された列車がいくつかありました。この列車もその一つで、博覧会開催時の岡山周辺のホテル不足を補う目的で、再繁忙期に、博覧会会場最寄り駅ホームに停留し、寝台列車内の寝台に乗客が泊まる、という画期的な列車が運行されました。

この列車については、過去のブログで触れていますので、そちらもご参照ください。

 

 
運転区間 岡山〜児島間(時刻表上は児島行が寝台快速列車、岡山行が快速列車)
運転時期 岡山発1988年7月15、16、19、20、26、27、8月2、3日
使用車両 583系寝台電車(8両編成、ホーム有効長の関係で10両編成から2両(=1ユニット)を抜いて対応)
運行ダイヤ

9583M 岡山発22:08 → 児島着22:36 そのまま車内泊

(乗客は7:07まで寝台利用可能)

9584M 児島発7:07 → 岡山着7:42 ※実質回送列車

途中停車駅 茶屋町(両方ともに)

 

ちなみに、編成内にはA寝台、B寝台があり、乗車券の他にひとりあたりA寝台5500円、B寝台3000円が追加料金が必要(こども同額)。なお、寝台の上中下で料金区別なしw。
 

  実際の紙面から

こちらは本四備讃線開業直前、児島駅が終点として機能していた時代のダイヤです。茶屋町以南は本四備讃線が暫定開業し、博覧会会場への送客用路線として機能していた時期です。

交通公社の時刻表 1988年 3月号 より

 

 

下記は1988年3月号紙面内の【付録】ページ。3月20日に博覧会スタートし、4月10日に本四備讃線開業する「すき間」のダイヤです。

 

前述の通り、宇多津駅が本四備讃線の四国側の結節点、かつ博覧会会場最寄り駅となって、日中に限り、優等列車が停車し始めます。この紙面では高松行のしおかぜ号、南風号、四国内最後の急行列車の一つ、土佐号が走っている時代の「宇多津」停車が実現しました。なお、この紙面にはないものの急行いよ号の高松行、急行あしずり号も宇多津停車をしています。

 

あきらかにJR四国となった時代ですが、かろうじて国鉄時代を感じられる「貴重な」紙面だなと感じます。


交通公社の時刻表 1988年 3月号 より

 

 

本日は以上です。

 

参考資料:交通公社の時刻表1988年3月号、JR時刻表1988年8月号、鉄道ダイヤ情報1988年7月号(No.51)

参考ページ 博覧会、瀬戸大橋架橋記念博覧会、エキスポトレインわしゅう(ともにWikipedia)