Trans Europ Express(TEE)を、当時のトーマス・クック鉄道時刻表の紙面から振り返る企画です。

 

8回目は、前回紹介したラインゴルト号の兄弟列車、ラインプファイル(Rheinpfeil)号です。

 

 

列車名の由来は?

ドイツ語で「ラインの矢」という意。ライン川を意識した命名とのこと。


運行されていた国 西ドイツ

 

運転時期と区間

 

1952年にドルトムント〜ミュンヘン間のF-Zugとして運転開始

 

1965年5月30日〜1971年9月25日

 ドルトムント 〜 デュイスブルク 〜 ミュンヘン

 

それ以降は、ハノーファー〜ミュンヘン間の一等車のみのインターシティーに降格

 

TEE発足した1957年当時は、ラインプファイル号は、ラインゴルト号と同様にTEEではありませんでした。しかしながら、車両スペック、サービス面では昇格間違い内容でしたが、頻繁な併結合がTEE委員会の眼鏡に叶わなかったようすです。

 

また、このラインプファイル号は、ラインゴルト号と編成交換することでかろうじてオランダ、スイスに乗り入れできましたが、主となる運転区間は西ドイツ国内で完結していたTEEでした。それが影響して、1971年に西ドイツでのインターシティ網が整備されたタイミングで「オール1等車のインタシティ」となっています。

 

使用された車両、編成

客車

【西ドイツ】

ラインゴルト型客車

ミュンヘン〜ドルトムント間を直通する客車は最大8両(1969年夏)。その中には展望車(ADümh101型)も含まれていたようです。

 

ここで、ラインゴルト型と呼ばれた客車編成の食堂車について、深堀りを。WRümh131型の模型です。1976年まで活躍したようです。

 

この列車のスペックについて、1960年代の鉄道雑誌を紐解きましたら、料理、配膳室を2階式につくって空間を最大限に利用している車両構造になっているとのこと。中央部の高さが出ているのはそのためです。そして、中央部上部にプロパンガスレンジのキッチンがあり、そのキッチンの下には皿洗い場があり、汚れたお皿がベルトコンベアーで送られる仕組みだった!とのこと。そして、料理運搬用のエレベータも設置されていました。そんな仕組み、見たことありませんw

 

ドイツ語サイトですがラインゴルト号との車両交換についてとても詳しくまとめているサイトです。PDFデータではダイヤ改正ごとの編成の移り変わりもご覧になれます。客車のUIC分類記号がわかる方には楽しめるデータです。

 

 

牽引機

【西ドイツ】

E10型交流電気機関車 ほか

その他103型も運用にはいっていたようです。

 

 

実際の時刻表紙面

1969年8月号より。
この紙面自体はとてもシンプルではありますが、(7)で取り上げたラインゴルト号のくだりをご覧になられた方は、ラインプファイル号も「車両交換の一味か」とご理解いただけるかと。
22列車 ドルトムント中央駅発9:16→ミュンヘン中央駅着17:24(デュイスブルクでTEEラインゴルト号と車両交換)
21列車 ミュンヘン中央駅発13:04→ドルトムント中央駅着20:49(デュイスブルクでTEEラインゴルト号と車両交換)
基本編成は ドルトムント〜ミュンヘンですが、ラインゴルト号と車両交換を行うことで下記の直通車両を、すべてデュイスブルクで併解結を行いました。
・フーク・ファン・ホラント〜ミュンヘン(食堂車含む)
・アムステルダム〜ミュンヘン
・ドルトムント〜ジュネーブ(食堂車含む)
いやー、何度見ても複雑です。目が回ります。
Cooks Continental Timetable August 1969 より
 
ラインプファイル号は、1971年にインターシティー網に取り込まれましたが、当時のインターシティーは西ドイツ国内列車といえども、TEEに匹敵するサービスを提供しつつ、西ドイツの主要都市間を4系統のインターシティ網をもってカバーする、とても斬新なコンセプトが実現した時代でした。

 

今回は以上です。

 

すでに取り上げたTEE列車の一覧ページです。こちらもご参考ください!

 

参考資料:

  • Cooks Continental Timetable August 1969
  • Das Grosse TEE-Buch 40 Jahre Trans-Europ-Express /Jörg Hajt/HEEL 1997年
  • 写真で楽しむ 世界の鉄道 ヨーロッパ3 交友社 1965年

参考サイト:TEE、ラインプファイル、インターシティー(ドイツ)、西ドイツ国鉄E10形電気機関車(ともにWikipedia)

ページ内写真:Flickrより

カバー画像:Deutsche Bahn AG, converted by  , Public domain, via Wikimedia Commons