短命シリーズの今回は、有名な列車名ながら、意外に短命だった電車時代の鳥海(ちょうかい)号を取り上げます。

 

 終戦直後から遡れる鳥海号の歴史

今回取り上げるのは電車特急(485系)時代の鳥海号ですが、名称には大変長い歴史があります。

急行鳥海号(客車→ディーゼル) 1965年10月1日〜1982年11月14日

特急鳥海号(電車)1982年11月15日〜1985年3月13日

特急鳥海号(臨時、電車)1985年3月〜 ※不定期・1987年以降設定なし

寝台特急鳥海号(客車)1990年9月1日〜1997年3月21日

 

定期の電車特急鳥海号は足掛け2年半という短期間の設定でした。極めて個人的ながら、この485系鳥海号を図鑑の写真でみた幼少期のブログ筆者は、鳥海号のイラストヘッドマークに惹きつけられ、乗ったことも、生で見たこともないのに、とても印象的な列車です。

 

spaceaero2, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons

 

 

 

 特急いなほ号の上野乗り入れを引き継いだダイヤ

急行列車から485系使用の特急列車に格上げされたのが1982年11月ダイヤ改正です。運用に就いたのは青森運転所の485系の12連と、当時の国鉄特急としてはあまりに平凡な編成でしたが、現在では垂涎モノの編成ですね。

交通公社の時刻表 1982年11月号より
 
この電車特急鳥海号のダイヤは、上越新幹線開業をうけて全列車新潟発着に変更された上野発着のいなほ号のダイヤを引き継いだものでした。
 
【下り(2041M)】上野発10:30 → 青森着21:13
【上り(2042M)】青森着7:56 → 上野着18:34
停車駅(下り基準で記載):大宮、高崎、水上、長岡、新津、新発田、中条、坂町、村上、あつみ温泉、鶴岡、余目、酒田、象潟(きさかた)、羽後本荘、秋田、八郎潟、東能代、鷹ノ巣、大館、大鰐(おおわに)、弘前
交通公社の時刻表 1982年11月号より
 
些末ながら、上野発いなほ号時代と途中停車駅を比較した際(参考資料は1982年9月号時刻表)、坂町、余目の2駅はいなほ号では通過でしたが、特急鳥海号は停車と、以前から停車駅が増えています。
 

 

 東北・上越新幹線上野乗り入れを機に臨時化

下記は1985年3月号の紙面より。鳥海号は上野発特急としては残ったものの、臨時化され、運転区間も秋田止まりに変更されました。

 
時刻表から見る編成内訳には、グリーン車、指定席、自由席とありますが、定期列車時代にあった食堂車はありません。1985年3月ダイヤ改正以前は、食堂車を連結する特急白鳥号との共通運用(青森運転所の485系)だったのものが、改正後は共通運用相手が特急いなほ号(秋田運転所485系7連)に鞍替えされたことが一因です。
余談ながら1985年当時、国鉄の昼行特急で食堂車連結、営業されていたのは、北海道の特急おおとり号、一部のオホーツク号のみにまで勢力縮小していましたので、食堂車非連結は日常の時代に突入しておりました。一昔前の旅情を掻き立てたアイテムが一つ消えていくことも、時代の流れも感じることができます。
交通公社時刻表 1985年 3月号より
 
今回は以上となります。 過去シリーズのバックナンバーもご覧ください。

 

 

参考サイト:いなほ(列車)(Wikipedia)

サイト内写真:spaceaero2, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons

参考資料 交通公社時刻表 1982年11月号、1985年3月号、日本鉄道旅行歴史地図帳 2号 東北