時刻表紙面から確認できる国鉄(JR)⇔私鉄線の乗り入れがあった記録を残しております。現在も現役路線もさることながら、すでに廃止された地方私鉄を優先して取り上げてゆこうと思います。

 


■大分交通耶馬渓(やばけい)線

今回は、大分交通線へ乗り入れを行なっていた国鉄列車について。日豊本線中津駅から臨時の行楽列車が乗り入れを行っていた軌跡をたどります。

 

大分交通耶馬渓線の詳細についてはこちらを御覧ください。

 

ちなみにこの線は1975年には全線廃止されており、現存していません。

この耶馬渓は九州では有名な観光地。山国川沿いの渓流美を楽しむことができ、特に秋口では紅葉狩りの名所です。

Yamakunigawa River and Mount Kyoshuho from Zenkaibashi Bridge 2

そらみみ, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons

 
 

下記が1967年10月時点での耶馬渓線の時刻表。中津駅から守実(もりざね)温泉まで36.1Kmの私鉄線。日中は60〜90分に1本程度の運転頻度。地方私鉄については決して少なくはないですね。

交通公社の時刻表 1967年 10月号より

 

 

下記写真はWikipediaページからの引用。当時大分交通線で運転されていた車両です。軽便鉄道の車両に見えてしまいますが、国鉄と乗り入れ実績があることからもわかるとおり、れっきとした狭軌(1067mm)の私鉄線でした。

大分交通耶馬渓線

Spbear, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons

 


■紙面からうかがえる「乗り入れ」の様子

耶馬渓線への国鉄列車の乗り入れ実績については、下記の紙面にあるやばけい観光号の情報しか見つけられていません。乗り入れ開始時期や、年間の乗り入れ頻度の情報は分かり次第反映したいと思います。
 
下記は1967年10月号の紙面です。
赤棒線に示している通り、やばけい観光号が11月3、5、12、19、23日の限定で運転されています。

交通公社の時刻表 1967年 10月号より

 

行きの始発駅は2箇所あり、一つは博多(7:34発)、もうひとつは下関(8:53発)で、それぞれの駅から出発し、小倉で併結されたあと、日豊本線を南下。途中行橋、豊前松江、中津に停車し、中津から耶馬渓線(耶鉄)に乗り入れ。
(停車駅の豊前松江は誤植で、おそらく宇島だったのではないかと推察しております。あくまでも推察ですよ。。編集部に校正を信じていないのではありませんw)
 
なお、乗り入れ区間ですが、耶鉄内を全線踏破したわけではなく、途中の耶鉄柿坂(中津から24.8km)まで。

 

帰りのやばけい観光号です。耶鉄内の始発駅は、柿坂よりも中津寄りの耶鉄洞門駅(中津から14.3km)となっています。おそらく耶馬渓の紅葉狩りをした観光客のルートを想定して設定したものと思われます。

洞門駅16:26発→博多19:26着、下関19:03着、というダイヤでした。

交通公社の時刻表 1967年 10月号より

 

限られた季節のみ行われていたようで、私の所有する1960年代の時刻表でもこの号くらいしか運行を確認できませんでした。

 

今回は以上です。

 

参考資料:交通公社の時刻表 1967年 10月号

参考サイト:大分交通耶馬渓線(Wikipedia)

ページ内写真:車両:Spbear, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons

耶馬渓:そらみみ, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons