21年を通年で取り上げようと考えているテーマのひとつ、「迂回(うかい)運転」の掲載された時刻表から、その事実を残していこうと思っています。
過去に紹介したう回列車の数々については、こちらからご覧になれます。
13回目は、東北本線仙台駅構内工事による夜行列車の宮城野貨物線う回運転の件について。
東北新幹線工事にともない、1973年から1978年の深夜時間帯の作業時間確保のため、仙台駅経由の夜行列車がのきなみ、貨物線経由で仙台駅をう回するルートで運行されています。
う回については、仙台駅通過する列車、停車する列車、ともに貨物線を経由しているわけですが、時刻表紙面で分かる範囲でその状況を追ってみました。
さて、う回の概要です。
概 要 深夜帯に仙台駅を経由する列車(旅客列車)の宮城野貨物線のう回運転
対象列車 深夜に仙台駅を経由する列車
う回期間 1973年2月1日(始発駅ベース)〜1978年10月1日(始発駅ベース)
う回区間 長町〜東仙台間
う回による経由線 宮城野貨物線
う回による運賃計算の特例 なし ※停車駅が長町駅にかわったことによる料金計算の詳細は不明です。
う回区間の代行運転 あり(仙台駅〜長町駅の連絡バス)
備 考:仙台停車しない列車も貨物線経由で運転している模様
下記は私の手書きマップ。ご覧の通り、仙台駅の北には「東仙台駅」、南には「長町(ながまち)駅」があり、その二駅を直線で結ぶ形で宮城野貨物線があります。ここが今回取り上げる工事にともなうう回ルートとなりました。
う回の履歴(1) 東北本線 上り
交通公社の時刻表 1973年 3月号より
う回の履歴(2) 常磐線 下り
交通公社の時刻表 1973年 3月号より
う回の履歴(3) 時刻表紙面内の「連絡バス」時刻表の拡大
交通公社の時刻表 1973年 3月号より
この連絡バスが連絡する列車は下記の通りです。記載の時刻はすべて「長町駅」の発着時刻です。
常磐線上り(上野行) 急行十和田3号(1:28着、1:30発)、急行十和田4号(3:42着、3:49発)
常磐線下り(青森行) 特急ゆうづる1号(0:30発)、急行十和田1号(1:59発)
急行十和田2号(3:03発)、急行十和田3号(5:00発)
東北本線上り(上野行) 急行北星号(0:30発)
う回の履歴(4) 常磐線 下り ※1975年3月号
時代が少し下って、1975年3月号の紙面。引き続き工事は実施されていますが、
過去には長町駅停車していた「ゆうづる1号」「十和田3号」が仙台駅発着時刻が掲載されていることと、2枚めの写真「連絡バス時刻表」から、従来より工事時間が短縮されたと推察できます。
2点とも、交通公社の時刻表 1975年 3月号より
1973年から足掛け5年あまり実施された深夜帯の工事は1978年10月1日深夜で終了し、その後は仙台駅経由での運転に戻ったようです。
今回は以上です。
参考資料:交通公社の時刻表 1973年3月号、1975年3月号
参考サイト: 仙台駅、仙台貨物ターミナル駅(ともにWikipedia)