カートレイン沼にハマってみた 

 

第5回は日本のカートレインの歴史の「しんがり」を務めた、カートレインさっぽろについていろいろまとめてみたいと思います。

 

※2021年6月、この列車に関する情報が掲載されたJTB時刻表1999年8月号が入手できましたので、内容を追補しております。

 

カートレインさっぽろ

前回「カートレインくしろ号」の回で触れたように、道内カートレインを3シーズン運行後にJR北海道が企画した対本州向けカートレインです。なんとか成功させたいという想いはなかく、1シーズンの運行で終了しています。

 

JTB時刻表 1999年8月号より

 

 運行時期、区間、運行ダイヤ

 

運行年 1999年 夏休み 1シーズンのみ
運転区間 白石〜東青森  
運行ダイヤ
東青森発 22:24 → 白石着 7:06  
白石発 22:30 → 東青森着 6:52

※往復ともに途中の客扱いはなし

 

 

 車両、編成について

 

牽引機 ED79(東青森〜五稜郭)、DD51(五稜郭〜白石)
客 車 14系 座席車×1、カーペットカー×1 合計2両
荷物車 ワキ10000 ※1両で自動車2台積載できる仕様

 

JTB時刻表 1999年8月号より

 

編成については、鉄道模型メーカー、マイクロエース社の「カートレインさっぽろ」セットというマニアックなセットに関する情報もご参考ください。

http://www.microace-arii.co.jp/release/pdf/A5944.pdf

 

なお、カートレイン北海道号でも触れたましたが、カートレイン運行にあたって、客車と貨車の順序が「機関車+客車+貨車」と定められているため、五稜郭駅での方向転換の際に、機関車と客車がセットで入れ替えが必要でした。深夜の作業でしょうから労務上もなかなかの苦労があったと思われます。

 

 


 

 始発・終着駅の地図情報

 

カートレインは乗客とその自家用車を同時に輸送するため、自動車積み込み可能な貨物駅、または専用ホームからの出発が必要でした。当時の時刻表紙面から、その積み込み場所の地図情報をならべてみました。

 

白石駅

1985年には貨物取扱は取りやめになっているようですが、1988年にカートレイン用にホーム改良がなされたようです。

 

 

東青森駅

当時のJTB時刻表紙面でも東青森駅構内の案内図はありませんでした。

そのため、鉄道ジャーナルから図解を接写、スキャンさせていただいております。当方、東青森駅には詳しくはないのですが、図解にはカートレイン積み込み場所の他にも、積み込み後の貨車の転線経緯など記載されています。客車の動き、というのは、青森から回送列車が入り、上り本線をまたいで下りホームに入る必要があるため。なかなか手間のかかる作業。

鉄道ジャーナル 1999年11月号 P.77の図解を接写

 

 


 

 運賃

1人 21,000円、追加人員については、プラス5,000円(小人2,500円)。
大人2人、子ども2人の場合、31,000円(運賃、車両運搬費込)。

 

 


 

 輸送実績について

鉄道ジャーナル1999年11月号では、

運行期間16日での利用台数は167台、積載率87%(1編成12両換算で平均10台の積載)ということでした。

 

積載率だけをみると相当好調な数字ですが、1シーズンで運行が止まってしまったのは大人の事情が多分にあったと思われます。

 

今回は、以上です。

 

カートレイン関連のまとめページはこちらからどうぞ!

 

 

参考ページ カートレイン、白石駅、東青森駅(いづれもWikipedia)

参考資料 JTB時刻表 1999年8月号、鉄道ジャーナル1999年11月号(No.397)

カバー写真 ブログ筆者のコレクションの接写