2021年の通年で取り上げたテーマのひとつ、「迂回(うかい)運転」の掲載された時刻表から、その事実を残していきました。
【再掲】ここで取り上げる、迂回(うかい、う回)列車について クリックで展開
迂回(うかい) 本来の経路を通らず、特定の場所を避けて目的に向かうこと。迂回も細分化できまして、
- 突発的に実施されるもの
- 計画的に実施されるもの
があるかと思いますが、時刻表で追うことができるもの「計画的なう回」を取り上げてゆこうかと思います。
5回目は、2000年3月末に発生した北海道南部の活火山「有珠山」のマグマ水蒸気噴火が発生した際に行われたう回運転について。同年3月27日に有感地震が始まり、震源地の沿線であった室蘭本線の東室蘭〜長万部間が3月29日から運転見合わせとなっています。
室蘭本線の優等列車が、函館本線(山線)経由で運行された件
このブログでは、突発的に発生した迂回については、時刻表紙面に出てこない情報が多いため、取り扱わない予定でしたが、当時の北海道版の「道内時刻表 2000年 5月号」に、お知らせレベルながら、その情報がのこっていたので、記録としてとりあげてみました。
弘済出版社 道内時刻表 2000年 5月号 より
ということで、う回の概要です。
概 要 有珠山噴火による室蘭本線不通区間の迂回運転
対象列車 特急北斗号、寝台特急トワイライトエクスプレス号、北斗星号、カシオペア号、急行はまなす号
迂回期間 2000年3月29日〜2000年6月8日(=室蘭本線通常運転開始)
迂回区間 長万部〜札幌(不通区間は長万部〜東室蘭間)
迂回による経由線 函館本線(山線)
迂回による運賃計算の特例 なかったと思われます。というのも山線経由のほうが営業キロは短くなるため、実キロで発券されたと推察します。
迂回区間の代行運転 あり
備 考:迂回区間での詳細時刻の情報は継続調査中
有珠山噴火に関連する鉄道関連の時系列情報は、「有珠山噴火による鉄道関係 PDF資料」が詳しいです。内閣府の資料をもとに作成された資料です。
その上で、一次情報の内閣府資料から、迂回に関する情報を引用させていただきます。
01. JR 北海道・JR 貨物は、臨時特急列車や貨物列車の函館本線への迂回を行った。
◆3 月 30 日、室蘭本線の東室蘭~長万部間の不通に伴って、同線経由の優等列車と貨物列車が全面的に函館本線の山線へ迂回運転を開始した。北海道の各地と函館を結ぶ唯一の 鉄道路線となった山線は、一時的に同線の持つ地域間を結ぶ生活路線としての役割を解 消し、主要幹線としての使命を担うこととなった。[『有珠山噴火 鉄道輸送の挑戦』 JR 北海道(2001/3),p.49] 参考サイトはこちら
03. JR 室蘭本線特急列車の運転が 6 月 1 日に再開された。
◆6 月 1 日、運転時間が午前 5 時~午後 7 時に拡大されるとともに新しい軌道監視体制の下、札幌~函館間のディーゼル特急「スーパー北斗」6 往復、「北斗」3 往復が復活。貨物列車 も 7 往復が室蘭本線に戻った。しかし、まだ輸送量が十分ではないために夜間にかかる 寝台特急や臨時特急「北斗 75・76 号」、5 往復の貨物列車は山線迂回のまま残された。『[ 有珠山噴火 鉄道輸送の挑戦』
第 4 期 被災地応急対応期 (2 週間~3 ヶ月)
JR 北海道(2001/3),p.71]、JR 北海道(2001/3),p.82]
◆JR 北海道は、有珠山噴火以来運行を休止していた室蘭線・東室蘭-長万部間の特急の運行を 1 日から、再開した。特急列車の運行再開は 3 月 29 日以来 64 日ぶり。復活したの は 1 日 9 往復。同時に普通列車や貨物列車も増便された。依然として夜間運行再開の見 通しは立っていないものの、本州と北海道を結ぶ大動脈はこれでほぼ回復した。
(中略)特急が運行されるのは当面、午前 5 時から午後 7 時までの日中。札幌-函館間 1 日 9 往復は通常の 11 往復より 2 往復少ないだけとなる。有珠山ろくの洞爺-北入江間は時速 45 キロの徐行運転を行う。 [『有珠山-平成噴火とその記録-』室蘭民報社(2000/12),p.231] 参考サイトはこちら
次に紹介する引用ですが、興味深いのですが、この迂回で、「長期化」を踏まえて地上設備の新設、更新が行われていることです。
02. JR 北海道は、山線迂回運転の長期化に備えて、山名駅の行き違い施設の新設や ATS(列 車自動停止装置)設備の付け替えなどを行った。
◆4 月 8 日(ディーゼル特急 10 両・コンテナ貨物 10 両+機関車 2 両対応)と 14 日(北斗星等 客車 12 両+機関車 2 両対応)の 2 日に分けて、長大編成の列車を安全に運行するために山 線の各駅の ATS 地上子の位置変更、新設工事を実施した。
(中略)昭和 61 年以来定期の優等列車の運行がなくなった山線の単線区間の各駅の ATS 地上 子の位置は、臨時特急列車等最大 8 両までしか対応できない。そのため、行き違い駅で、 長い編成の列車が ATS の位置で停止すると後部が行き違い線へはみ出してしまい、行き 違いができなくなる場合が出てくる。そこで、行き違い線のある熱郛、蘭越、ニセコ、 倶知安、銀山、然別、塩谷の 7 つの駅の従来の ATS 地上子を 10 両編成の列車が行き違 いできるよう長い編成の列車の進入時には作動しないように種別変更を行うとともに、 長い編成の列車に対応する新たな地上子を設けたのである。[『有珠山噴火 鉄道輸送の 挑戦』 JR 北海道(2001/3),p.42] 参考サイトはこちら
なお、この内閣府の報告書では、貨物列車のう回についてもまとめておりますが、このブログの趣旨から少しずれますので、紹介割愛します。
う回を確認できる時刻表紙面 ★タイトルクリックで時刻表が展開
う回の履歴(2) 千歳線・室蘭本線
こちらも欄外記事のみに迂回情報があります。こちらでは迂回情報以外に、「臨時特急列車」の運行にも触れられていますが、紙面内は通常ダイヤの掲載でした。
弘済出版社 道内時刻表 2000年 5月号 より
迂回列車の時刻表情報が入手できれば、この随時更新していきたいと思います。
ひとまず、このような出来事があったんだよ、という備忘でした。
今回は以上です。
参考資料:弘済出版社 道内時刻表 2000年 5月号 より
参考サイト:


