2020年12月の年末から、2021年春の定期列車廃止をもって愛称消滅となる「有明」にフォーカスしております。

 

2021年3月11日を持って特急有明号が廃止となります。九州新幹線全線開業から廃止までの足跡を辿ってみようと思います。また、九州新幹線開業後の高速バスひのくに号はライバルともならないのですが、これまで取り上げたよしみで、目立った動きをピックアップしてみようと思っています。

 

 

 九州新幹線(博多〜新八代間)開業 2011年3月12日ダイヤ改正

 

2011年は九州鉄道史に大きなくさびを打ち込むことになった「九州新幹線鹿児島ルートの全線開業」した年でした。同時に鹿児島本線の優等列車として長く活躍してきた有明号も、新幹線と並行するため大幅な減便となります。

 

とはいえ、博多〜熊本間が第三セクター化しなかったのは、鹿児島本線の需要があったからこそ。運転区間も長洲発着をメーンとし、福岡都市圏への通勤客への「ライナー号」的な位置付けで生き残っていきます。そしてドリームつばめ時代から名残である深夜下り、早朝上りの各1便は健在していました。

 

マニアックな話だと、長洲発吉塚行きなど、これまで一度も存在しなかった有明号の運転区間がこんなタイミングで発生してしまいました。

JR時刻表 2011年3月号より

 

 

編成は3種類あり、4両編成✕2の8両、4両が783系、6両編成が787系というラインナップでした。

JR時刻表 2011年3月号より

 

 


 

 減便&長洲発着に運転区間短縮 2014年3月15日ダイヤ改正

この改正で熊本発着便が廃止され、下り上り各1便がさらに減便。深夜下りの熊本行が長洲行となり、山陽新幹線の最終新幹線からの乗り継ぎという特急らしい役割がかろうじて残っていた時期です。

 
編成については、引き続き783系、787系というバリエーションには変わらず。
2点とも、JTB時刻表2014年4月号より

 

 

 かもめ号との併結が実現 2017年3月4日ダイヤ改正

この改正での注目ポイントは、上り1本がかもめ104号との併結を実現したことでしょうか。これは線路容量が厳しい朝の鹿児島本線で2本の特急のスジ捻出するため「苦肉の策」として設定されたわけです。

2点とも、JR時刻表2017年3月号より

 

編成について。有明号とかもめ号の併結は後にも先にもこの1年間しか存在していません。

JR時刻表2017年3月号より

 
この「有明」「かもめ」併結については、過去にブログでまとめていますので、
よろしければご参考ください。

 ついに上り1本体制に 2018年3月17日ダイヤ改正

いやー、コメントはいらないですね。これが栄華を極めた有明号の末路です。この時点では毎日運転ではなくなっています。

JTB時刻表2018年3月号より

 

編成は辛うじて7両編成と、特急を感じさせますが、普通車に指定席がないところは、通勤特急ならでは、といったところです。

JTB時刻表2018年3月号より

 

 

 

 高速バス「ひのくに号」の動き

週末深夜便のひのくに号

2014年10月号の時刻表から。かつて存在した「深夜ひのくに号」のご紹介です。
当時でもそれほど「もてはやされた」わけではなかったのですが、週末の深夜のみ運転されていました。予約制、かつ運賃は通常の倍増4320円で設定されていました。これも2015年6月には運転取りやめになっていますので、ニーズがなく、喚起もできなかったという結果だったのでしょうか。
JR時刻表2014年10月号より
 
福岡側の始発が「天神バスターミナル」に変更
1989年から続いていた福岡側の博多駅交通センター始終着ダイヤでしたが、2017年にかつての天神バスセンターに「帰り咲き」しています。
高速バス時刻表 2017〜18 Vol.56 より
 
 
熊本バスセンターが新規オープン。運賃も値上げに。
2019年4月に運賃改定が行われ、片道2160円→2280円で5%程度の値上げとなっています。また、九州最大級のバスターミナルとして名を馳せた熊本交通センターの改築が行われ、同年9月11日に桜町バスターミナルが開業し、ひのくに号のダイヤにも表示されています。
高速バス時刻表 2019〜20年 Vol.60 より
 
 

高速バスの貨客混載・産直販売の取り組み

最後に、西鉄が行った高速バスの空きスペースを利用した「貨客混載」運行について

http://www.nishitetsu.co.jp/release/2020/20_077.pdf

 

2020年9月に行った福岡〜宮崎間フェニックス号でおこなった第一弾をうけて、今回は福岡から長崎、大分、熊本便も対象に加わって行われたようです。

熊本便では、熊本で有名な洋菓子店のシュークリームの運搬を「ひのくに号」が担ったそうです。

すでに、期間満了にて、運行終了したようですが、結果はどうだったんでしょうか。折しもコロナ禍による乗客減少の穴埋め的な見られ方をしがちですが、少量高単価の商品を速達する手段として、高速バスは今後も選ばれていくでしょうね。

 

 

最後に、書き始めてみて、知らない有明号について、振り返ることができました。そのうえで、個人的には「ハイパーサルーン」が登場したときのキラキラとした有明号の思い出が忘れがたく。

 

特急有明号の記念きっぷも申し込みました!到着は4月だそうです。この執筆段階では、現物はありませんが、JR九州のプレスリリースのイメージ画像でなんとか糊口をしのいで生きていきますw

http://www.nishitetsu.co.jp/release/2020/20_077.pdf

 

 

過去記事をまとめたページがあります。あわせてご紹介いたします。

 

今回は以上です。

 

 

参考資料:

JTB時刻表 2014年4月号、2017年3月号、2018年3月号

JR時刻表 2011年3月号

高速バス時刻表  Vol.36、56、60 交通新聞社 

西鉄バスのチャレンジ戦略 鈴木文彦 交通新聞社新書144

 

画像、カバー画像写真:オレンジカードはブログ筆者所有のものです。

 

参考サイト:

・ひのくに号、有明(列車)(ともにWikipedia)