2020年12月の年末から、2021年春の定期列車廃止をもって愛称消滅となる「有明」にフォーカスしております。

 

今回の区切りにはいろいろ迷ったんですが、九州新幹線暫定開業後(2004年)から、2011年3月の全線開通までの7年あまり特急有明号の足跡を追いたいと思います。

 

 

 九州新幹線(新八代〜鹿児島中央間)開業 2004年3月ダイヤ改正

当時の時刻表付録に改正概要が掲載されていました。改正の目玉は九州新幹線だったことを記憶しています。誕生する一方でなくなるものもあり、悲喜こもごもを感じるダイヤ改正でした。

 

下記がそのダイヤ改正後の鹿児島本線の優等列車の時刻表。

それまでの特急つばめ号が、すべて特急リレーつばめ号に改称。つばめ号は九州新幹線の列車名称となりました。

そんな中での有明号ですが、

  • 水俣・八代発着の有明号がなくなる
  • 水前寺止まりの一部列車が武蔵塚駅発着に変更される

という動きがありました。そのほか有明号の動きを感じられるのは、深夜早朝帯のダイヤです。下り有明41号が午前0時6分発と深夜の博多駅発が、上り有明2号も午前4時52分発と早朝の熊本駅発の設定が目立ちます。

2点ともJR時刻表 2004年3月号より

 

41号のスジは、このダイヤ改正で廃止となった特急ドリームつばめ号のスジを踏襲する形で設定されたものです。深夜博多に到着した新幹線からの乗り換え客、または熊本から始発の新幹線利用を希望する乗客にとっては「ありがたい列車」だったに違いないですね。なお、ドリームつばめ号と同様「座席車」なので、それほど違和感なく利用できたのかも。熊本乗車の方は「始発」なので、ほぼ間違いなく着席できたのかなと邪推したりします。

 

そしてこの改正、2004年3月ダイヤ改正時の有明号編成表。バリエーションも

4両、6両、7両、8両(4両の2本)、11両(4両+7両)と豊かな点は変わらずです。なお、車両の所属も鹿児島が外れたため、すべてが南福岡電車区の所属となりました。

JR時刻表2004年3月号より

 

※2005年3月にもダイヤ改正は実施されましたが、有明号関連では大きな動きはありませんでしたので、記事は割愛しております。

 

 

 光の森駅発着が新設、小倉発着が大幅増 2006年3月18日ダイヤ改正

2006年3月のダイヤ改正での特急有明号ですが、

  • 豊肥本線新駅「光の森」駅発着の特急有明号が新設
  • 小倉発着が日中にも増設。結果 小倉〜水前寺・武蔵塚・光の森間という設定が大半というダイヤとなりました。

ちなみ運転本数ですが、下り16本、上り15本という布陣でした。

JTB時刻表 2006年4月号より

 

2006年3月ダイヤ改正での編成表。記録として残します。

ちなみに黒丸(●)号車番号は喫煙可の車両ですが、翌年2007年ダイヤ改正で喫煙車全廃となります。

JTB時刻表 2006年4月号より

 

Frickrより、角度が微妙ですが、光の森行きの方向幕を捉えた写真がありましたので、当時を偲ぶ写真としてシェアさせていただきます。

Peggy WongのFrickrより

 

 

 本数微減、全車喫煙車に変更 2007年3月18日ダイヤ改正

この改正での動きについては、

  • 下り1本設定がなくなり、下り上りともに15本(15往復)となります。
  • JR九州管内の昼行特急列車全車禁煙化が有明号にも。

下記の編成から喫煙車車両の印である黒丸(●)が消えました。

・有明6号(朝の上り)が従来の熊本発から光の森発に変更。光の森〜熊本間は普通列車で熊本から増結し11両編成で運行されました。

JTB時刻表2007年4月号より

 

 

 

 吉塚行きの有明号が登場 2008年3月ダイヤ改正

小規模な変更ながら、朝の上り有明号2本が、従来の博多終着を、一駅先の吉塚駅に変更しています。

2点とも、JR時刻表2008年4月号
 

そして、些末ながら、2008年夏頃に、エル(L)特急の名称が消滅しています。

ついに、という記憶があります。エル特急の呼称に特別な思いがあった世代ですので、ちょっとショックでした。

 

 

 高速バス「ひのくに号」サービス拡充と「基山PAにおける乗り継ぎ社会実験」

有明号の記事が単調になりつつあることに反省をしながら、同時期のひのくに号についてまとめてみたいと思います。

Wikipediaからお借りしてきました。2009年頃のひのくに号。2000年前後あたりから、共通塗色「青十字色」が少しずつ影を潜めてきまして、各社の高速標準色に変わっています。懐かしいです。

Nishi-Nippon Railroad - 9932

JKT-c, CC BY 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/3.0>, via Wikimedia Commons
 
 
さて、ダイヤについて。下記は2007年〜08年高速バス時刻表のひのくに号紙面から。有明号同様、福岡〜熊本間は成熟路線となっていますので本数の激増はないものの、2007年7月現在で、スーパーノンストップ、ノンストップ、各停(福岡空港発着)をあわせると100往復と引き続き大所帯となっています。
 
この改正から「高速基山」にノンストップ便が停車するようになっています。各駅とあわせて片道で概ね1時間4本程度の停車ですね。基山に何ができたのか?
高速バス時刻表 冬号(’07〜08)Vol.36 より
 
基山パーキングエリアは、ここは九州を南北、東西移動するバスの殆どが通過する鳥栖JCTからほど近く、九州の高速道路路線網の要となる位置にあります。
 
その地の利を生かして、2007年7月から社会実験という形で、基山パーキングエリアをハブとして、九州島内の高速バスの乗り継ぎ利便性向上を測る取り組みが開始されました。下記サイトは2021年現在のものですが、要は高速バスを途中下車し、バス同士の乗り継ぎが図られれば、利用者数が伸びるだろうという考えで、高速基山での乗り継ぎ前提で通しのきっぷを買うと、1割〜4割程度の割引にし、誘導してきたようです。

 

その誘導による増客増の現れか、2021年現在、高速基山に停車する高速バス路線は下記の数に上っています。

  • 福岡県内/福岡空港-久留米
  • 福岡-佐賀/わかくす号
  • 福岡-長崎/九州号
  • 福岡-佐世保/させぼ号
  • 小倉-長崎/出島号
  • 福岡-大分/とよのくに号
  • 福岡-日田/ひた号
  • 福岡-湯布院/ゆふいん号
  • 福岡-熊本/ひのくに号
  • 福岡-熊本/福岡空港-大牟田・荒尾 
  • 福岡-宮崎/フェニックス号
  • 福岡-鹿児島/桜島号

 

すべて福岡発着のバス路線ですが、途中基山で乗り換えることで、熊本→(基山)→長崎、大分→(基山)→熊本といったように、福岡まで行かずとも基山を軸に九州島内各都市への移動が可能になり、直行便以外も選択肢となる「乗車チャンスの増加」と、福岡⇔基山間往復時間が削減でき「移動時間の大幅短縮」ができるというものです。

 

で、その総括的な資料はこちらのリンクで確認できます。(主に施設面ですね、乗客数などの情報はなし)
 
現在もサービスが継続されていることから推察する限り、改善点は上がるが、概ね目的は達成できているといえるのではないでしょうか。少しひのくに号の話から逸れましたが、九州のバス事業者全体で各路線の利用者数増を図って取り組んでいるという事例の紹介をもって「ひのくに号も頑張っているよ」というまとめとさせていただきますw。
 
そして次は、いよいろ最終回となりますでしょうか。九州新幹線全線開業後から今日までの有明号の足跡をたどりたいと。全線開業から10周年を迎える2021年に、特急有明号は運転終了を迎えます。
 

本日は以上です。

 

 

参考資料:

JTB時刻表 2003年12月号、2006年3月号、2007年4月号、2008年4月号

JR時刻表 2004年3月号

高速バス時刻表 冬号(’07〜08)Vol.36 交通新聞社 

西鉄バスのチャレンジ戦略 鈴木文彦 交通新聞社新書144

列車名変遷大事典 三宅俊彦 ネコ・パブリッシング

 

画像 JKT-c, CC BY 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/3.0>, via Wikimedia Commons

画像、カバー画像写真:オレンジカードはブログ筆者所有のものです。

 

参考サイト:ひのくに号、有明(列車)(ともにWikipedia)