今回は、JR九州が1999年から2003年に運行していた短命の特急列車「シーボルト号」にフォーカスします。

 

こちらは私が所有している特急シーボルト号デザインの使用済オレンジカードです。

先達の皆様がご存知の通り、オランダ村特急と似て非なるデザインで長崎に再登場した列車です。

 

ちなみに、シーボルト号の短命ぶりを略歴で示すと、

 

1999年3月13日 長崎〜佐世保間で新設

 

2003年3月15日 ダイヤ改正をもって廃止

 

となります。

 


 

  人名をつかった特急列車名

 

フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト氏、鎖国時代に長崎出島で活躍したドイツ人の学者、医師でした。国鉄、JR通しても人名が定期列車につく事例は、シーボルト号のほか、かいおう号(博多〜直方間の特急)くらい。かいおうも「魁皇」と相撲の四股名ですが、本名の一部がついたのは極めて珍しい事例だったのかなと思います。

Ph. F. von Siebold (timbre RFA)

Deutsche Post AG, Public domain, via Wikimedia Commons

 


 

  快速列車の格上げとして登場

まずは、特急シーボルト号の歴史と当時の運行概要について。

 

1999年3月13日 ダイヤ改正にて、長崎〜佐世保間に新設された特急列車です。
JTB時刻表 1999年3月号より
 
すでに快速シーサイドライナーが設定されていう中での大村線での位置づけは、展望席付き編成ながら、毎日運転という設定上、長崎県内の主要都市を結ぶビジネス特急という色合いが強かった気がします。あ、ハウステンボス駅は通過しますので、もちろん長崎県内の縦断観光にも使えたとは思いますが、どっちつかづな立ち位置で4年あまりの運行が続いたということになります。
 
地図で経路の確認ですが、佐世保から南下すると、早岐から大村線に。1992年にハウステンボス駅までは電化開業していますが、それ以降は非電化区間となりますので、キハ183系の本領発揮です。その後、主要駅川棚(2001年から)、大村に停車し、諫早(いさはや)駅で、長崎本線と合流。長崎にむけて西に進路を取りますが、喜々津から二手に線路が分かれます。他の優等列車と同様、現川(うつつがわ)経由で浦上、終点長崎に向かいます。
JTB時刻表1999年3月号索引地図より
 
1999年3月の特急列車のページから。登場から運転終了までの4年間、終始1日2往復運転でした。使用車両が1編成しかない183系1000番台となりますので、1編成での仕業です。
JTB時刻表 1999年3月号より
 
 
現在も大村線の主要列車として活躍している快速「シーサイドライナー」号ですが、当時はほぼ1時間間隔で運転されていたところ、そのスジを利用する形で新設されています。長崎・佐世保間の所要時間ですが、最速1時間24分(2号)と、快速シーサイドライナー号よりは停車駅が少ない分速達ですね。
JTB時刻表 1999年3月号より
 
 
仕業といえば、定期点検が入ると、代替列車としてキハ185系が運用に入りました。その場合の列車名は81〜84号と列車名、列車番号も変更することで展望スペースがあると思ってしまう「誤乗」を防いでいたと思われます。
JR時刻表 1999年12月号(冬号)より
 
 
4年の間に、細やかなダイヤ修正は行われていますが、その中で2001年川棚駅に停車が、話題の少ない中でのトピックでしょうか。大村とハウステンボスの間に、川棚駅の記述が追加されているのがわかりますね。
JTB時刻表 2001年3月号より
 

 

  編成と使用車両について

 

ここからは編成について。1999年冬の時刻表から。
シーボルト号は通常4両編成で、代替編成によるシーボルト号(81〜84号)はキハ185系の3両編成で運転されています。
また、些末ながら、シーボルトの指定席位置がこの1999年冬の定期点検をきっかけに、従来の佐世保寄りから、長崎寄りに変更されています。何故なんだろう。。。
JR時刻表 1999年12月号(冬号)より
 
 
使用車両「キハ183系1000番台」のお歴々

特急シーボルト号に仕様されたキハ183系ですが、ご存知の通り、1988年にオランダ村特急で登場し、2021年現在では「あそぼーい!」で活躍が続いているディーゼル列車ですね。

「オランダ村特急」(1988〜1992)

「ゆふいんの森II世」

「シーボルト」

「ゆふDX」※漆色時代

「ゆふDX」※黄色時代

「あそぼーい!」(2021年、いまここ)

 

写真はこちらのページをご覧ください!

 


 

 

  カウントダウンシーボルト号のこと

 

これまた短命ながら、年末年始の臨時列車の特急「カウントダウンシーボルト」号が運行されていた時代もありました。

沿線のテーマパーク、ハウステンボスで開催されたニューイヤー・カウントダウンイベントにあわせて、長崎→早岐、ハウステンボス→長崎で運行されました。

結局3シーズン(’00〜’01,’01〜02,’02〜’03)運行されたようです。

JTB時刻表2000年12月号より

 

今回は以上となります。

 

参考資料:JTB時刻表 1999年3月号、2000年3月号、12月号、JR時刻表 1999年12月号(日本テレコム用冬号)

シーボルト肖像 Deutsche Post AG, Public domain, via Wikimedia Commons

画像、カバー画像 ブログ筆者所有のオレンジカードの撮影画像より

参考サイト:シーサイドライナー(列車)、JR九州キハ183系気動車、フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト(ともにWikipedia)