2020年12月の年末から、2021年春の定期列車廃止をもって愛称消滅となる「有明」にフォーカスしております。

 

今回はつばめ号が登場した1992年7月から、2004年3月の九州新幹線暫定開業までの特急有明号の動きをまとめてみたいと思います。このところ1〜2年ごとに新たなキャンペーンやダイヤが立ち上がっていましたが、この頃以降、有明号が福岡〜熊本間の都市間特急に「コンパクトに収まった」ことと、鹿児島本線優等列車の成熟期にはいったことで、小粒な変更が多数を占めるようになります。とはいえ、JRのサービスの向上の歩は止まる兆しもなく、高速バスとの競争は熾烈を極めます。

 

 

■1992年3月ダイヤ改正

この改正で特急つばめ号が登場します。この影響をうけて、西鹿児島行きが「つばめ号」、熊本・水前寺・八代・水俣発着は「有明号」と運転系統が分離されます。分離後の運転本数は、つばめ号 14往復、有明号 18往復。2列車合計では32往復と本数自体は変わらない規模でした。

 

すでにご存知かと思いますが、787系のつばめ号です!いつ見てもかっこいい。

 

 

そして有明号の動きですが、

  • ハイパー有明号の呼称が廃止
  • 有明号でも一部787系が運用開始(1往復)
  • 門司港発着の有明号が消滅(つばめに編入)。その結果、有明号は博多発着に統一

となっています。

 

7月号のスピード時刻表ですが、紙面の一部ではありますが、「ハイパー有明号」の名称はなくなっています。

JTBスピード時刻表 1992年7月号より

 

 

1992年7月「つばめ号」登場時の編成。787系(鹿児島運転所)が使用された有明号ですが、編成内にビュッフェがあることから29号、6号とわかります。残念ながら有明号では営業休止ですが。

 

そして、787系以外は、783系 4両(6両)編成、485系 5両編成(RED EXPRESS)で、ともに所属は南福岡電車区でした。

 

なお、この当時まだ非電化だった水前寺乗り入れに787系は加わっていません。

2点とも、JTB時刻表 1992年9月号より

 


■小規模な変更が続く(1994年、1995年)

1994年2月13日
783系のリニューアル車両が使用開始

1994年7月1日

この改正では、

・有明号が783系(南福岡電車区)に車種統一。結果、787系、485系が有明号の運用から外れることになります。

・豊肥本線水前寺乗り入れの有明号が中止。この後、1999年10月の豊肥本線の肥後大津電化開業まではこの状況が続きます。

 

1995年4月20日

この改正では、一旦783系に統一された有明号編成に、再度787系9両編成(鹿児島運転所)が1往復運用が復活しています。

JTB時刻表 1995年4月号より

 

 


■1999年の2つ大きな改正

1999年3月13日ダイヤ改正

ここで有明号の運行本数が下り8本、上り10本増発され、下り25本、上り27本の大所帯となります。

ダイヤ改正時の時刻表紙面ですが、つばめ号と有明号とあわせると博多〜熊本間が20分間隔の高頻度ダイヤとなりました。

ただし、高速バスとの運行本数の比較すると、ひのくに号はすでに10分間隔のダイヤで運行されていたので、肉薄とまではいかない状況でした。

JTB時刻表 1999年3月号より

 

運用車両については、有明号で運用される787系が増やされ、787系4両編成(南福岡電車区)有明号ロゴの入った専用編成が入りました。

JR kyushu type787 ariake konoha 1

MK Products, CC BY-SA 3.0 <http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/>, via Wikimedia Commons

 

その編成表。787系「有明」4両編成は博多〜熊本間下り8本・上り10本の運用でした(5号、9号・・・・)。

787系ですが、つばめ号共通運用時代にあった個室グリーン車は設定されていませんね。「ハイパーサルーン車両」という記事があるようにこのころは、787系(4両編成が南福岡、ほかは鹿児島)、783系(南福岡)の2車種による運用が実施されていました。

JTB時刻表 1999年3月号より
 

1999年10月1日 豊肥本線電化開業

1994年7月以来中止していた水前寺乗り入れですが、豊肥本線の熊本駅 - 肥後大津駅間電化完成に伴い、乗り入れ再開しています。これに伴い、熊本駅発着列車の一部が水前寺駅・肥後大津駅発着に延長。なお、この当時の肥後大津行きは1往復のみ(上り朝、下り夜)。

JTB時刻表1999年10月号より

 

 


■九州新幹線暫定開業までの動き(2000年〜2004年3月ダイヤ改正直前) 

2000年3月11日ダイヤ改正
この改正では、
  • 運転本数が27往復(54本)に増発。
  • 運用車両でのトピックといえば、車種が787系に統一される。
1988年に有明号として誕生した783系ですが、12年で有明号の運用から外れます。
 
2001年3月3日ダイヤ改正
この改正での有明号のトピックスは、小倉発着の有明号が8往復設定された点。下記はその改正時の紙面の一部です。
小倉〜博多間の有明号は日中1時間おきのダイヤになっています。
 
この時点での有明の編成。すべて787系ですが、バリエーションが豊かに。
4両編成(南福岡)にはじまり、6両編成(鹿児島)、7両編成(鹿児島)を基本編成として、それらを2本つないだ8両編成(4両編成2本、南福岡)、10両編成(4両+6両、南福岡+鹿児島)でも運行されています。編成表内に特急「きらめき号」もありますが、一部は787系が運用に入り、有明号とも共通運用されていたようです。
2枚とも、JTB時刻表2001年3月号より
 
 
2002年3月23日ダイヤ改正
この改正で
  • 夕方下り1本が追加
  • 博多発の1本が、小倉発に延伸運転。
  • 土休日に限り、上り1本の終点が博多から門司港に変更、延伸運転となる。
このあとの有明号は、運転本数の削減(リレーつばめ号の増発に伴う)が象徴するように、従来の福岡〜熊本間の都市間特急列車として新たな位置づけを模索せざる得ない時期に入ります。
 
 

 
■高速バス「ひのくに号」のサービス拡充について
 
JRが鹿児島方面へ特急つばめ号を運行開始、鉄道も質・量ともに充実していくなか、高速バスも独自のサービスの進化、拡充がなされていきます。前回は「桜島号」に触れましたが、再び有明号との比較に立ち戻り、ひのくに号に絞ってダイヤを見ていくことにします。
 
以下は、1998年高速バス時刻表です。1991年8月に60往復となって以降、しばらく下記のダイヤで7年ほど運行が続きました。使用バスについては、「デラックスひのくに号」での運行で、車内サービス面も充実した内容になっていました。
 
 
それから1年後、1999年3月に福岡都市高速道路と九州自動車道が直結し、太宰府IC口での停車がなくなりました。その分博多駅〜熊本交通センター間で10分程度の時間短縮が実現し、運行本数も1999年3月に68往復と微増。
 
その後、急速に運行本数を増加ペースが加速していきます。
1999年11月  72往復
2000年 8月  80往復
2001年 8月  88往復
そして、2002年4月には大台の100往復となります。
 
下記は、2002〜03年冬の高速バス時刻表紙面ですが、日中は10分おきに出発していく高頻度ダイヤがほぼ完成している状態です。
 
 
運行本数以外でのダイヤの変更点は下記の通り。益城ICは高速道路外ながら益城インター口というバス停があります。益城IC、植木ICに停車させるダイヤについて微調整が重ねられていることからも、周辺地域の交通結節点として重要なハブであることを察することができます。

 

2000年7月   

・スーパーノンストップ(益城IC経由)、各停便(益城IC経由)新設

・空港経由便を廃止し、すべて従来の経由便は福岡空港始終発となる

 

2001年3月 

・運賃値下げを実施。片道2,400円/往復4,100円から片道2,000円/往復3,600円に変更。

・各停便(益城IC経由)廃止(短命でしたね。)。あわせて、各停便はすべて福岡空港始終発に変更。

・ノンストップ便に植木IC経由10往復設定、空港発着便が国際線ターミナルまで延長

 

2001年8月 空港線熊本行きは経路を国内線→国際線→筑紫野に変更

 

2002年1月 通勤利用のニーズに応えて「ひのくに定期券」が登場。西鉄と九州産交という共同運行路線で初めての定期券導入となる

 

2002年4月26日 ノンストップ便全便植木IC経由

 

バスの種別について、2002年〜03冬時刻表では、各停便、ノンストップ、スーパーノンストップと3種別が存在しました。

備忘として、それぞれの通過したバス停ですが、

ノンストップ 福岡空港、基山〜鹿央間、自衛隊前

スーパーノンストップ  福岡空港〜植木IC間、松の本〜帯山中学校前間、水前寺公園、味噌天神

でした。

 

本日は以上です。

 

 

参考資料:

JTB時刻表 1992年9月号、1993年5月号、1994年7月号、1995年4月号、1999年3月号、同年10月号、2001年3月号、2002年3月号

交通公社のスピード時刻表 1992年7月号

全国高速バス時刻表&ガイド 1992年春号、92年行楽号、98年春 いづれも 弘済出版社

高速バス時刻表 夏号、冬号(’02〜03) 交通新聞社 

西鉄バスのチャレンジ戦略 鈴木文彦 交通新聞社新書144

列車名編成大事典 三宅俊彦 ネコ・パブリッシング

 

画像 787系有明号専用編成 MK Products, CC BY-SA 3.0 <http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/>, via Wikimedia Commons

画像、カバー画像写真:オレンジカードはブログ筆者所有のものです。

 

参考サイト:ひのくに号、有明(列車)、国鉄485系電車、JR九州783系電車、きらめき(列車)(ともにWikipedia)