2020年12月の年末から、2021年春の定期列車廃止をもって愛称消滅となる「有明」にフォーカスしております。
いよいよ有明号の足跡に、新型特急「ハイパーサルーン」783系電車が登場します!そこで、登場直後のダイヤを中心に取り上げてみたいと思います。
783系ハイパーサルーンについて
JRグループで一番最初の新型特急として1988年3月から営業運転に入りました。
・九州島内のみで使用を想定したため、交流専用の特急電車として登場。
・客室から前面展望ができるよう前頭部形状と、運転席との仕切りは透明アクリルに。
・座席はグリーン車、普通車ともに回転リクライニングシート、フットレストを採用。グリーン車は横2名+1名の3列シート。
・車両中央部に乗降口を設けて、1車両を2室分割できるようになり、需給状況にあわせて指定席・自由席が細かく設定できる仕様に。
・グリーン車のサービスとして、AVシステム(3インチ!!の液晶テレビ)、ハイパーレディーと呼ばれる女性乗務員がサービスを担当。
下の2枚の画像は、当時ハイパーサルーンに乗車した方に配布していた(記憶。。。)紙製の下敷き!!当時小学生だった私も持っておりましたが何故か捨てておりました。が!メルカリ様のお力を借りて入手できました!
イラストながら、783系の特徴が端的にまとまっているのでアップしてみました。「九州ものしりマップ」も名物・駅弁編ですが、在来線のみだった当時の九州路線網が鮮やかに描かれています。
1988年3月ダイヤ改正の有明号
下記の表紙は、JR九州が作成した1988年3月13日現在時刻表です。当時のダイヤ改正のキャッチフレーズは「ふれあいダイヤ 〜あなたを いっぱい たのしくしたい〜」。当時のマスコットガール酒井法子さんが駅のポスター、チラシのみならず、TVCFにもたくさん溢れていた時代を思い出します。
JR九州となってはじめてのダイヤ改正で、新型車両「ハイパーサルーン」783系の登場は、旧型特急電車しか知らなかったものに取ってとてもセンセーショナルな出来事で、名実ともに「国鉄からJR」への変遷を感じさせました。
この「ふれあいダイヤ」での有明号のダイヤのポイントです。
- 終日30分おきの運転間隔のダイヤで、定期列車28往復中15往復が新型車両「ハイパーサルーン」に置き換え。
- 新型車両への置き換えで、最高時速120Km/hでのダイヤが組まれ、博多〜熊本間最速1時間17分(8分短縮)、博多〜西鹿児島間4時間5分(17分)。
- 停車駅が少ない有明に「スーパー」の冠が付き、「スーパー有明号」が登場(1往復)。JR特急でスーパーがついた最初の事例が有明号でした。
実際の時刻表紙面。下記は交通公社の時刻表です。
当時の紙面ではどれが新型車両かひと目では判別できませんでした。これは485系から783系への置き換えが随時行われる前提だったことが影響しているのかもと推察します。また、1987年に誕生した「水前寺行」は継続され、水前寺にも783系ハイパーサルーンが乗り入れを行われました。
上記2枚とも、交通公社の時刻表 1988年3月号より
ハイパーサルーン登場後の特急有明号の編成です。485系と783系が混在することと、置き換えが進んでいる最中なので、注釈も多めですw。
「新型車両」と明記されているのは783系使用。29輌が第一次として投入されています。783系の特徴である乗降口が中央にあるレイアウトを編成表でも示しているので、新型かどうかのあたりはつけやすいですね。
編成のラインナップは、783系(すべて南福岡電車区)、485系ともに3両(南福岡電車区)、5両(鹿児島運転所)、7両(鹿児島運転所)。3両は熊本(水前寺)行きのみで運用されていました。
JR九州時刻表 63.3ダイヤ改正号より
なお、485系から783系への置き換えは、随時行われていたことが時刻表紙面にも現れています。誌面内注釈に「3月27日から新型車両「ハイパーサルーン」で運転」と明記されています。
JR九州時刻表 63.3ダイヤ改正号より
1989年3月ダイヤ改正の特急有明号
実際の時刻表紙面。下記は交通公社の時刻表(一部のみ)です。
1988年3月ではなかった「新型車両」の表記が目立っています。運転本数も31往復と微増です。
そのほかの注目ポイントですが、
- 新型車両の一部でカフェテリアサービスが開始
- 熊本〜西鹿児島間の有明号が新設(1往復)
- 八代発有明号が新設(上りのみ)
となります。
交通公社の時刻表 1989年3月号より
この改正での有明号の編成一覧です。新型車両(783系)の編成ですが、この改正にむけて19輌増備されて、結果、3両編成に1両増結され4両編成となっています。783系のカフェテリアのある車両ですがサハ783形200番台となっています。所属は大きく変わらず、485系は3両編成が南福岡電車区、5(7)両編成は鹿児島運転所所属となっています。
JR九州時刻表 平成元年3月ダイヤ改正号より
この改正に関連した有明号の動きで忘れてならないのが、特急「オランダ村特急」号との動力協調運転の開始でしょうか。
1988年春にハイパーサルーンと同じタイミングで登場した「オランダ村特急」号ですが、キハ183系1000番台というディーゼル列車でした。
従来、電車(EC)とディーゼル列車(DC)の併結運転の場合、DC側を無動力化した形で運転されたケースはあったものの、どちらの動力も動かす「協調運転」の事例はありませんでした。その、世界初となる事例を作ることになるオランダ村特急とペアを組んだ電車は、有明11号となります。そして、実は3月11日のダイヤ改正時点ではこの協調運転は行われず、少し時期をずらしてから実施されています。
下記は3月11日改正時点の時刻表紙面です。当時オランダ村特急号は、門司港発7:50→博多 9:07着、9:15発→(佐世保)と門司港〜博多駅間は単独で運行されておりました。一方で特急有明11号ですが、博多駅始発の特急になっており、オランダ村特急の3分後発で博多を出発するダイヤでした。
JR九州時刻表 平成元年3月ダイヤ改正号より
その1ヶ月後、動力協調運転開始時に、下記のように変更されます。
- 有明11号は、4月29日から始発駅が門司港駅に変更
- オランダ村特急号と有明11号は門司港〜博多駅間で併結
- 博多駅で解結され、オランダ村特急が先発(9:15)、そのあとに有明11号が出発(9:18)の順となる。
- ただし、オランダ村特急号の運休日は、有明11号は単独で門司港始発として運行される。
ちなみに、この併結運転の歴史ですが、その後1990年3月のダイヤ改正で併結区間が門司港〜鳥栖間に変更され、1992年3月25日「ハウステンボス」開園の前日である3月24日までこの併結は行われました。
1988〜89年の福岡〜熊本間のバス(ひのくに号)
前回のブログで触れたとおり、1987年11月ダイヤ改正が行われ、これまでの40往復から46往復に更に増便されます。1988年3月時点での高速バスのダイヤは以下の通りです。
1989年3月の高速バス「ひのくに号」ダイヤ 所要時間1時間58分(ノンストップ)、片道 2,200円、58往復。
次回は、高速バス「ひのくに号」に次ぐ有明号のライバルが増えます。福岡〜鹿児島間の「桜島号」です。この運行スケジュールとも比較しながら、1992年7月ダイヤ改正前までの出来事をまとめたいと思います。
本日は以上です。
参考資料:
鉄道ファン 2011年6月号 特集:485系パーフェクト
鉄道ピクトリアル 1992年3月臨時増刊号<特集>九州の鉄道、2014年11月号 485・489系電車(Ⅰ)
列車名変遷大事典 三宅俊彦 ネコ・パブリッシング
交通公社の時刻表 1988年3月号、1989年3月号、5月号
JR編集時刻表 1988年3月号
西鉄高速バス時刻表 1991年1月号
画像 Frickrのリンクより、画像、カバー画像写真:オレンジカード下敷きはブログ筆者所有のものです。
参考サイト:ひのくに号、有明(列車)、国鉄485系電車、JR九州783系電車(ともにWikipedia)