2020年12月の年末から、2021年春の定期列車廃止をもって愛称消滅となる「有明」にフォーカスしております。

 

現在、昭和40年〜50年代の特急有明号の足跡を追っています。

 

その中で、昼行特急としての有明号ながら、年末年始、お盆時期など多客期を中心に追加設定される夜行列車であった、臨時特急有明号の存在にも触れておきたいと思います。

 

手元の時刻表を辿っていきましたが、1975年11月から12月にかけて動きがありました。

 

■1975年11月の時刻表では、夜行の急行かいもん号のみ

1975年11月号の時刻表の、鹿児島本線(出水〜鹿児島)の頁より。当時鹿児島本線を走る九州島内完結の夜行列車は、急行かいもん号のみで、かつ定期化されていたのは、門司港〜西鹿児島間の4号(下り101・上り102)でした。

 

その定期4号に、繁忙期に臨時の急行かいもん号が博多〜西鹿児島間で設定されていました。かいもん51号(下り9109M、上り9110M)です。列車番号からわかるように、これは電車の夜行列車です。当時は急行型車両が使われていたことが推察できます。

 

実際の時刻表紙面(1975年11月、下り)です。博多駅ベースだと、臨時が定期よりも20分ほど先発するダイヤです。 

交通公社の時刻表 1975年11月号より

 

同時刻表の上り紙面です。始発駅ベースだと、臨時は定期の1時間程度後発するダイヤ。しかし定期の途中駅停車時間の関係で、博多駅到着ベースだと、臨時は定期に4分の差まで詰め寄って到着するダイヤとなっています。

交通公社の時刻表 1975年11月号より

 

■1975年12月の時刻表では、はじめて臨時の夜行特急有明号のダイヤを確認

翌、1975年12月の時刻表です。振り返っておきますと、1975年3月に新幹線が博多まで開業し、特急有明号が大幅に増発されました。この年から夜行急行かいもん号に加えて、臨時の特急有明号が設定されるようになります。
 
実際の時刻表紙面(1975年12月、下り)です。
博多駅ベースだと、出発順は、臨時かいもん51号(23:52)、定期の急行かいもん4号(0:11)、臨時特急有明52号(0:22)となっていますが、到着順は出発時と異なり、臨時特急有明号→臨時かいもん号→定期かいもん号となっています。紙面から分かる通り、臨時特急有明号は、川内駅にて先発する臨時かいもん号を抜いていくダイヤとなっています。
交通公社の時刻表 1975年12月号より
 
同時刻表の上り紙面です。始発駅ベースでの出発順は、定期かいもん号(22:08)→臨時かいもん号(23:01)→臨時有明号(23:16)の順番ですが、博多駅到着時点で、一番後発の臨時有明号が一番最初に到着します。
臨時有明号の「俊足」の理由は、途中川内駅でまず臨時かいもん号を、さらに熊本駅で定期かいもん号を追い抜くダイヤが組まれた結果でした。
交通公社の時刻表 1975年12月号より
 

■夜行の臨時有明号が設定された時期

ちなみに、夜行の臨時特急有明号ですが、冬以外にも、主に春〜5月の大型連休、夏の繁忙期など通年で設定されます。
しかし、冬以外は下りのみ設定された時期が続き、1980年代に入ると、冬、春、夏とも上り、下り双方で運行されるようになります。
(なお、1980年1月号では下りのみの設定しかありませんでしたが、1981年1月号では上り、下りの両方の設定があるなど冬の中でもまちまちだったようです)
 
1984年夏以降、博多〜西鹿児島間の電車特急による臨時有明号の他に、客車による有明号の設定もありました。
下記が1984年6月号時刻表の紙面です。辿ってみた限り、1984年夏から設定されているスジのようで、小倉発西鹿児島行き。下りのみの設定でした。
交通公社の時刻表 1984年6月号より
 
なお、この下りのみのスジを利用して、1986年5月に臨時の寝台特急桜島号が誕生しています。博多発西鹿児島行き、5月3日のみ運転というレア度。
私が1984年以降時刻表を毎月追跡してみた結果、1986年3月号に掲載されたこれが最初の桜島号のダイヤかと思います。
(Wikipediaの有明(列車)には1985年に運転開始との記事がありますが、出典なしの情報のため信憑性が低いです。)
また紙面をよく見ると、A個室寝台が連結されています。寝台特急のはやぶさ号の編成をそのまま使っていた影響とのこと。これまたかなりレアケースです。
交通公社の時刻表 1986年3月号より
 
この臨時寝台特急桜島号は、翌年1987年からは上りのみ(西鹿児島→博多)に変更され運行が続きます。
 

本日は以上です。

 

 

参考資料:

交通公社の時刻表 1975年11月号、12月号、1976年4月号、8月号、12月号、1977年4月号、8月号、12月号、1979年2月号、1980年1月号、4月号、8月号、1981年1月号、1984年6月号、1986年3月号

 

カバー画像写真:オレンジカードはブログ筆者所有のものです。

 

参考サイト:

・有明(列車)(Wikipedia)

・桜島号について Rail・Artブログ様のサイト