フルトレインとグランドセントラル 再度運行停止に     

 

Railway Gazette International 2020年11月4日記事「Hull Trains and Grand Central to suspend services again」の日本語抄訳です。

 

 

イングランドでは11月5日から4週間、コロナウイルスのロックダウンの第2期に入ると、オープンアクセス事業者のフル・トレインズグランド・セントラルは再びサービスを停止することになった。

 

オープンアクセスの会社は、純粋に商業ベースで運営されているが、パンデミックの間に利用者数が減少した影響で縮小されたサービスの実行を維持するために政府の財政支援を受ける権利がない。

 

 

フル・トレインズ社のコメント

フル・トレインは、2020年3月29日から8月21日間の初回の運行停止前では、週92便を運行されていた。

 

2 回目の運休が11 月 5 日 00:01 に 開始されることを発表されたことについて、マネージング・ディレクターのルイーズ・チーズマン氏は次のように述べた。

 

「事業の将来を守るために決定した。それは人々が家に滞在するように求められているときに列車を実行することは無謀であろうし、私たちは列車の切符を購入する乗客から収入を得られる状況ではない。」

 

また、チーズマン氏は「私たちをサポートし続けてくれる忠実なお客様」に感謝の意を表しつつ、

 

「財政的に可能であれば、将来的にはできるだけ早くサービスを安全に再開したいと考えている」

 

とも述べた。

 

 

グランドセントラル社のコメント

 

グランドセントラルは3月から7月まで運行を見合わせていましたが、11月6日の終電をもって、一時的に全線運休することを決めた。なお、12月3日以降のチケットは販売中。

 

11月3日、マネージング・ディレクターのリチャード・マクリーンは次のように述べた。

 

「選択肢を慎重に検討し、運輸省や労働組合の代表者と協議した結果、短期の冬眠期間を取るという、困難だが必要な措置が当社の唯一の行動であることがわかった。今回新たに発生したロックダウンによる乗客数減少は避けられず、運行を継続することはできない。運休によって、乗務員や関連スタッフの一部は政府の一時帰休制度でサポートされる。スタッフの理解、プロフェッショナリズム、献身に感謝するし、彼らはグランド・セントラルの誇りの源であり続けている」

 

 

各方面の反応

 

運行停止に関するニュースへの反応だが、RMT(National Union of Rail, Maritime and Transport Workers;鉄道・海上運輸労働者の組合)はオープンアクセスサービスに対する政府の保証された長期的な支援を求めたが、

 

「鉄道の支援では悪い関係に陥っており、フランチャイズ会社を支える財政支援が否定され、スタッフは一切の保証がない極限状態で生活している」

 

と述べた。

 

TSSA(the union for people in transport and travel;交通機関に勤める労働者組合)組合は、オープンアクセス事業者を公営のインターシティ東海岸事業者であるLNER(London North Eastern Railway)に引き取らせるよう求め、

 

「事業者が入る余地は非常に限られており、鉄道は公営で統一されるべきだ」

 

と述べる。

 

また、同マヌエル・コルテス書記長は、

 

「高額で欠陥のあるフランチャイズシステムを完全に消し去るなら今だ」

 

と述べた。

 

ちょっと政治的な話が入りましたが、日本と異なり鉄道事業者の上下分離方式、フランチャイズ方式を推進させてきた英国の現状はこの通り。良し悪しの判断はしませんが、すでに英国内では紛糾している鉄道運営の在り方に新たな一石を投じた出来事になりました。