2026年1月、European Rail Timetable(ヨーロッパ鉄道時刻表、以下ERTと略)のSpring 2026 Digital Editionがリリースされました。

 

その中のNEWSLINESページの掲載情報から現地時間2025年12月14日にすでに施行されているヨーロッパ鉄道の2026年ダイヤの概要をまとめました。

 

今回は、ドイツ、オーストリアです。

 

カテゴリー(クリックすると展開します)
カテゴリ 説明
【開通/開業】 新規路線の開業、新サービス開始の情報
【ダイヤ変更】 列車の増便/減便(臨時・季節列車関連含む)、発車時刻・運転区間の変更といったダイヤの情報
【駅/施設】 駅やそれに準ずる施設に関連した情報
【プロモーション】 乗客向けに展開しているキャンペーンの情報
【サービス廃止/終了】 サービスや列車種別、路線の廃止、消滅の情報
【軌道工事関係】 工事に関連した運休、迂回運転の情報
【トラブル/災害】 災害や予期せぬ政治的判断による運行変更の情報

 

 

  ドイツ

  • 【ダイヤ変更】 ドイツ鉄道では、ICEが30分間隔で運転される主要幹線(コア・コリドー)が拡大された。現在では21都市が30分ヘッドの長距離列車サービスを享受しており、代表例としてハンブルク〜ハノーファー〜カッセル間、ベルリン〜ハレ〜エアフルト間が挙げられる。さらに、ハンブルク〜フランクフルト間およびベルリン〜ミュンヘン間という重要幹線では、停車駅を限定したICEスプリンターを14本新設することで、列車本数が増強されている。
  • 【ダイヤ変更】 新たに、シュトゥットガルト〜ベルリン間をニュルンベルク経由で結ぶICEスプリンターが1日1往復設定された。所要時間は4時間45分で、従来の最速記録から1時間以上短縮されている。北行列車はシュトゥットガルト発7:03、復路はベルリン発16:12である(Table850)。
  • 【ダイヤ変更】 ドイツ鉄道はまた、長距離列車の運行体系を簡素化し、運転経路や停車駅パターンの統一を進めている。列車の分割・併合運転への依存を減らすことで、遅延拡大の要因を抑制する狙いがある。その結果、一部の直通列車は廃止されたものの、全体としては安定性と予測性の高いダイヤとなっている。具体例として、キール発のICEは原則として2時間間隔で、ハノーファー・フランクフルト経由でシュトゥットガルトへ向かう同一ルートで運転される(Table901)。従来は行先や時刻がばらついていた。
  • 【開通/開業】 新型のICE-L編成は、ベルリン〜ケルン間の一部列車で営業運転を開始しており、低床構造による完全バリアフリー乗降を実現している。5月1日にハンブルク〜ベルリン間が再開通した後は、同編成がヴェスタ―ラント方面でも使用され、将来的にはドルトムント〜オーバーストドルフ(アルゴイ)間でも運転される予定である。
  • 【軌道工事関係】 ベルリン〜ドレスデン間では、ベルリン郊外におけるベルリン・ズュートクロイツ駅〜ブランケンフェルデ間の幹線改良が完成し、所要時間は従来の2時間超から95分へ短縮された(Table839)。さらに、新設された連絡線により、ベルリン中央駅〜ベルリン・ブランデンブルク空港間のエアポート・エクスプレスは所要20分で結ばれる(Table847a)。
  • 【軌道工事関係】 一方で、上記のサービス改善があるものの、2026年には大規模なインフラ工事に伴う長期運休・減便も予定されている。ハンブルク〜ベルリン間の改良工事は4月末まで継続し、完了までは所要時間が約45分延びた状態が続く。そのほか、長距離列車に影響する主な工事区間は以下のとおりである。

・ニュルンベルク〜レーゲンスブルク間:2月6日〜6月14日

・ケルン〜ハーゲン間(ヴッパータール経由):2月6日〜7月10日

・ハノーファー〜ハンブルク間:5月1日〜7月10日

・レーゲンスブルク〜パッサウ間:6月14日〜12月14日

 

これら工事期間中の暫定ダイヤについては、特別版のドイツ関連表がpp.571〜574に掲載されている。

ドイツ鉄道 ICE スプリンター列車

フランクフルト中央駅、2025年、ブログ筆者撮影

 

上記以外のドイツの2026年ダイヤについて、ドイツ鉄道の発表の概要は下記からご覧になれます。

 

 

  オーストリア

  • 【開通/開業】 今回のダイヤ改正において、ヨーロッパで最も重要な鉄道プロジェクトの一つが、グラーツ〜クラーゲンフルト間を結ぶ高速新線コーラルム線の全線開業である。延長127km、全長33kmに及ぶコーラルムトンネルを含むこの路線により、ウィーンとオーストリア南部間の所要時間は約20分短縮され、ウィーン〜クラーゲンフルト間の最速所要時間は3時間34分となった。新線区間では最高速度250km/hが許可されており、高頻度かつ高速な列車運転が可能となったことで、移動の利便性は大きく向上している。

コーラルムトンネル開坑部分と周辺の風景

コーラルムトンネルの開坑部分 ©ÖBB Press

 

  • 【開通/開業】 グラーツにとっても、コーラルム線の開業は国内外の接続強化という点で画期的である。従来、グラーツ〜クラーゲンフルト間は2時間間隔・所要約2時間の直行バスに依存していたが、現在では毎時1〜2本の列車が設定され、最短41分で結ばれるようになった。ウィーン中央駅〜フィラッハ間には、2時間間隔で運転される高速列車レイルジェット・エクスプレス(RJX)が設定され、ウィーン・マイドリング駅、ブルック・アン・デア・ムーア、グラーツ、クラーゲンフルトのみに停車する。一部列車は国際列車として運転され、プラハ〜フィラッハ間をウィーン、グラーツ経由で直通するほか、ウィーン〜北イタリア間の所要時間短縮にも寄与している。
  • 【開通/開業】 これに加え、ウィーン発の毎時運転レイルジェット(RJ)が設定され、新線上ではヴェストシュタイアーマルクやザンクト・パウル・イム・ラヴァンタールなどにも停車する。一部列車はバート・ガスタイン経由でリエンツまたはザルツブルクまで直通する。また、従来グラーツ〜ミュンヘン間で運転されていたユーロシティ(EC)は、ICEまたはRJに格上げのうえ新線経由に変更され、クラーゲンフルト、フィラッハ経由で運転されるようになったことで、国際輸送の利便性が大きく改善されている。
  • 【開通/開業】 独立系事業者ウェストバーン(WESTbahn)は、3月からウィーン〜フィラッハ間に自社列車を投入する。3月1日からは3往復、3月16日からは各方向2本ずつ増発される予定である。新ルートを経由するこれらの列車の詳細は、pp.457〜458のTable980に掲載されている。一方、ブルック・アン・デア・ムーア〜フィラッハ間の旧本線沿線各駅についても配慮されており、長距離列車の代替として毎時運転のインターレギオ(IR)が新設された。これらの列車は他の幹線列車との接続を考慮したダイヤとなっている。加えて、一部には直通ICも設定され、旧線沿線からウィーンへの直通アクセスも維持されている(Table979)。

ウェストバーン社車両 2026年ダイヤ

ウェストバーンの主力車両、ウィーン西駅、ブログ筆者撮影

 

  • 【開通/開業】 今回のダイヤ改正では、新たな列車種別としてインターレギオ(IR)が導入された。この種別は、以下の準幹線ルートにおいて定期的な長距離輸送を担う。

・グラーツ〜ブルック・アン・デア・ムーア〜レオーベン〜ウンツマルクト〜フィラッハ間(Table979)

・グラーツ〜レオーベン〜ゼルツタール〜リンツ間(Tables974・975)

・グラーツ〜ブルック・アン・デア・ムーア〜レオーベン〜ゼルツタール〜ビショフスホーフェン〜ツェル・アム・ゼー〜ヴェルグル〜インスブルック間(Tables960・975)

・ザルツブルク〜ビショフスホーフェン〜ツェル・アム・ゼー〜ヴェルグル間(Table960)

これらIR列車は1等・2等座席を備え、事前座席指定が可能である。車内サービスとしては、自動販売機または車内販売(ワゴンサービス)が提供されている。

OBB、メルク駅、オーストリア鉄道の列車

IRに投入されると推察される車両、Desiro ML、メルク駅、ブログ筆者撮影

 

上記以外のオーストリアの2026年ダイヤについて、オーストリア鉄道の発表の概要は下記からご覧になれます。

今回は以上です。

 

★ERTの春号(デジタル版)が発行されました★

 

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過去のERT NewsLines、The Friday Flyerのまとめサイトはこちら 

 

参考ページ European Rail Timetable Editolial Note ”Spring 2026 Editorial Notes”