ダンナの食堂の関係でお世話になっている人が、小さな葬儀屋さんを営んでいたのを思い出して、亡くなる直前にダンナに連絡を取っておいてもらっていた。
ダンナが亡くなったことを伝えると、すぐに病院へ行き、義母を葬儀屋へ連れて帰って来てくれた。
そのまま、ダンナや集まれる義きょうだいたちが葬儀屋に集まり、お義母さんを見守った。
翌々日に葬儀が決まり、前日の夜に身体拭きなどの儀式をすることとなった。
無所属で逝きたいという義母の意向があり、お経などはなかったが、その分家族の心がこもった温かな雰囲気の儀式になった。
義母は眠っているようで、なかなか実感が湧かない。
それに、みんな最期に病院で過ごしたときに、それぞれゆっくりと気持ちが整理されていったからか、泣く者はなく、本当に温かい見送りのような時間だった。
パステルカラーのカーネーションの花束やアレンジメントが飾られ、薄い桃色の額とリボンの可愛い遺影の中で、義母はピースサインをしながら微笑んでいる。
最期に食べらせてあげられなかったお寿司や大好きなチーズケーキなどを、義きょうだいたちが用意して義母が旅に出るときに持っていくという袋に入れてお棺へ。傍らにはパスポートを添えて。
鬼と闘うための木刀なども入れた。
白装束で、お寿司のお弁当を持って木刀で果敢に闘う、義母の旅姿が眼に浮かぶような気がして、頼もしく思えた。
早く集まっていた義妹たちが、みんなで義母のお化粧をしてくれていて、義母は10歳以上若返って見えた。
ダンナ曰く、義母は一番、25歳の時が良かったと言っていたらしい。
きっと25歳の姿で空を飛び回ってるだろうと言っていて、きっとそうだろうなぁと思った。
続く。